全然知らなかった。気付かれているなんて・・・
m a l e - a t t i r e
「なんで目腫れてるん?」
「さぁ・・・」
「さぁ・・・って自分のことやん」
忍足は聞かれたくないことをズバっと聞いてくる。
景吾でさえ聞いてこなかったのに。
「いや、起きたら腫れてた」
「ホームシックにでもなったん?俺にもあったでホームシック」
「はぁ!?侑士にホームシックとか合わないしっ!!」
「そりゃそうやわ。なってへんし」
グーで腹をなぐってやった。
すると、侑士はうずくまりながら「ナイスパンチや・・」って。
アホだよ・・・この人。
「ところで侑士、冗談はこの辺にして、景吾知らない?朝登校してから見てないんだけど・・・」
「なんや、跡部になんか用なん?」
「別に用事があるってわけじゃないんだけど、見てないから」
「・・・・マジかいな」
「えっ?何?」
侑士はなんとなく気付いていた。が女だということに。
だからこそ、侑士はを気に入っていた。『姫さん』と呼んだことも気付いていたから。
まだ好きという感情まではないが恋愛対象とみていたのだ。
そんな相手が他の男を好きになっているかもしれないと分かるとショックなのは当たり前。
「いや。何も言ってへんで」
「そう?まっいいけど」
と侑士のやりとりが交わされているとき、が急に声をあげた。
「あっ!!」
「どないしたん」
「景吾いたっ!!」
の目線を辿ると、廊下を相変わらず優雅に歩く景吾の姿。
もちろん周りには女子の山。
「本当すごいよね」
そんなことを呟いた瞬間、景吾がこちらを見た。
そして、教室へ入ってくるなり、こちらに向かってくる。
「よう」
「相変わらずの人気だね」
「どこ歩いとっても跡部すぐわかるわ」
私達3人が揃えばさらに奇声が高まる。
「うるせぇな・・・」
「そりゃ跡部様やもん。にせよ、せっかくのとの2人の時間邪魔すんなやぁ。なぁ」
「そうそう」
そんなことを冗談で侑士と私が言うと、跡部は睨みを利かせて侑士を見る。
なんかマジで睨んでません??
「景吾、マジ睨みはキツイって・・・」
「ッ!ちょっと来いっ!!」
私は景吾に引っ張られるままに教室を後にする。
階段と廊下をすごいスピードで駆ける跡部。
周りの視線も何事かと驚きの目で見ている。
「待って・・・ハァ・・・早いっ!!てかどうしたの!?ハァハァ・・・」
息が途切れながらも訴えると、聞こえたのかスピードが落ちた。
でも、掴まれている腕は取れなくて引っ張られたまま。
景吾・・・どうしたの?
そんなことおもっている間に生徒会室についた。
ポケットから鍵をおもむろに出すと、素早く扉を開ける。
そして、私を中に入れると、自分も入って扉を閉めた。
「景吾、どうしたの・・・?」
「俺様は心が狭い」
「景吾?」
急に呟きだした景吾。それは自虐的で、今までに無い姿だった。
景吾は常に頂点に立っていて、自分でも過大評価してるって思わせる程、自信に満ちていたはず。
なのに今の景吾の姿にはそんな姿1つも見当たらない。
「自分の好きな女が他の男と楽しそうにしているだけで腹が立つ」
「それは誰にでもあると思う。・・・景吾、好きな人いたんだ・・・」
相談なんだ。そう思った。
これからどうすればいいのか。そういうことを聞いてくるのかと思った。
そして、私は景吾に好きな人がいることにショックを受けた。
でも、それは分かりきってたこと。自分以外を景吾が好きになるって。
景吾に映る私は男なんだから・・・
「自分がおかしいのかと思った。男を好きになるなんて」
「景吾・・・」
景吾がすきなのは男!?
「でも、そいつは女で」
もしかして・・・・
イヤな予感がした。景吾は気付いているのかと。
「。いや、。いつまで隠しとくつもりだ?」
今確かに景吾は私を『』と呼んだ・・・
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