俺は深く頭を下げると、2階へと向かった。
もうすぐに会えると思うと嬉しかった。そして同時に拒否されると考えると恐かった。
m a l e - a t t i r e
コンコンッ
「いいよ」
「・・・」
てっきりお母さんかお父さんかと思っていた私はドアが開き、景吾の声がした時は驚いた。
「なんでいるの?私の幻覚?」
「幻覚なんかじゃねぇ。迎えに来た。一緒に帰ろうぜ」
「えっ?何言ってるの?」
怒っていると思っていた私は景吾の優しい声掛けにちゃんとした反応を返せずにいた。
「俺はが女だと知った時はすげぇ嬉しかった。堂々と好きでいいんだって、愛していいんだって」
「景吾。。。私も景吾のこと好きだよ。でも、景吾はしょせん私の事もお遊びなんでしょ?」
「!!ちげぇ!!」
急に声を張り上げた景吾。
思わず肩が震える。
それに気付いたのか、景吾はバツのわるそうな顔をした。
「わりぃ・・でも、のことは本気で好きなんだ。今までの女とは違う。
俺の中身を見てくれた。全てを受け入れて支えてくれた。そんなが好きなんだ・・・」
私の目にはたくさんの涙。
零れ堕ちる1粒の涙を景吾は近づき指でそっと拭う。
「好きだ」
「私も・・景吾が好きっ」
お互い抱きしめあう。
聞こえる。景吾の鼓動。
今、すごいドキドキしてるんだね。
「・・・追いかけてきてくれるなんて思わなかった」
「ふん。俺様を誰だと思っているんだ」
「フフ。景吾様?」
目が合い、笑い出す。
そして、顔が近づきどちらからもなく唇が重なった。
「んっ・・・」
「好きだぜ。」
口の中に入ってくる柔らかいもの。
それが景吾の舌だってすぐにわかったんだ。
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『君、女だったの?!』
『うそぉ〜ショックぅー!!』
やっぱり・・・今からイジメでも始まるのかな?
全校朝会で女子の制服を着て現れた私に色々な言葉が飛び交う。
本当、肩身が狭い・・・
「だから、男装したままでいいって言ったのに」
「安心しいや。跡部のことや、なんか考えとるやろ」
「ただ単にイチャイチャしたいだけじゃね?」
「岳人っ!!そな分かりきったこと言ったらアカンやろっ!!」
「侑士〜!!やっぱりアンタもそう思ってたんでしょ!!」
「スマン。つい・・な・・。あっ!ほら、噂の生徒会長様の出番やで」
そう言われて舞台をみると、眼鏡をして立っている景吾。
スラスラといつものような挨拶がはじまる。
そして・・・・
「気付いた奴もいるだろうが、は女でという。まぁとある理由で男として来ていたが、
その理由も解決したから女としてくることになった。ファンには悪かったな。でも、手出したら
俺様男子テニス部が承知しねぇからそのつもりでな」
案の定、ザワザワと声がしだした。
「あぁ、安心しろ。男子テニス部はを友達として扱うからな。は俺様の女だ。
手は出したら覚悟はできていると見る。いいな?」
ザワザワから奇声に・・・景吾、挑発してません?
そしてやっぱり、視線は私に。
逃げたいと思うのはいけないことでしょうか??
〜END〜