胸にさらしを巻いて、男子の制服に袖を通す。

久しぶりの感触・・・


なんといっても今日から合宿が始まるのだ。










m a l e - a t t i r e







「準備できたか?」




景吾が私の部屋に入ってきた。




「勝手に開けないでよ!!サラシ巻いている途中だったらどうするの!!」

「そんな今更だろうが。お前の体なんか知り尽くしてんだよ」

「ちょっと!それセクハラだし!!てか、そんなサラッと言わないでよ。こっちが恥ずかしいじゃない」




絶対今の私は顔が真っ赤だ。

だって景吾が笑ってるんだもん。

いつもそう。景吾は私の上をいくんだ・・・

なんかめっちゃ悔しいんですけど・・・




「準備できてるなら行くぞ」

「うん」




ちょうどドアの近くにあった私の荷物を景吾は軽々と持ち上げて先に行った。

その後を駆け足で私は追う。

なんだかんだ言っても景吾は優しいよね、荷物さりげなく持って行ってくれるし。























−氷帝学園 集合場所




「おはよーさん。今日もご夫婦揃ってかいな。ホンマうらまやしいわ」

「おはよ。侑士、夫婦って自分のこと言ってる?」

「決まってるじゃねーか。。他にいねーよ」

「岳人、侑士。いい?自分は男子の制服着てるから。男同士なのに夫婦ってないでしょ?」




まるで夫婦扱いすんな!!と言いたそうな笑顔で言われた侑士と岳人は思いっきり頭を縦に振った。




「あと、言っとくけどあくまで合宿中は景吾とは部長と部員の間柄だから」

「えらい間おくんやなぁ。親友とかにすればええやん」

「だって他校は自分と会ったことないんだよ?なのに突如出てきて親友です。だなんて信じられないでしょ」

「そりゃそうやな。跡部はそれで納得したん?」

「しょうがねえだろうが。そいつが言うことは最もなことなんだからよ」

「てことで。お世話になります。あっ!これから俺って言うから」




なんだかんだでバスに乗り込み、合宿所に向かった。

メンバーは景吾・侑士・岳人・ジロー・宍戸・長太郎・樺地・日吉・俺の9人。



「ねぇ宍戸、他校ってドコが来るの?」




全く知らない私は通路を挟んだ方の席の宍戸に聞いた。

ちなみに隣は景吾ね。これ強制的だった・・・




「はぁ?お前知らないで来たのかよ」

「すみませんねっ!!」

「逆ギレすんな。ったく・・跡部も教えとけよ」

「知らないなんて知らねぇよ」

「お互い様かよ・・・今回は青学、立海大、不動峰、ルドルフ、山吹、六角の6校と合同だ」

「なんかすごいね・・・」

「そりゃそうだろ。じゃねーと学校休むのを学園長が許すはずねえし」

「でも楽しそうv」




それからたくさん話をして、ジローには餌付けして(笑

そうしている間に目的の場所に近づいた。




「そろそろだ。全員準備しておくように」

「「「「「はいっ」」」」」




榊監督の言葉はまるでスイッチのようにみんな返事を返す。


その後、景吾が私の手を握った。

みんなに見えない位置で。

景吾を見ればこっちをみている。




「何かあれば言え。あと、約束の出来る限り俺様の目の届く範囲にいろ。いいな?」

「うん。ありがと」




本当に優しい景吾。

窓の外を見れば合宿所らしきところに着いたようで、制服姿の男子がちらほら見える。




バスが止まり、岳人・ジロー・長太郎と降りていく。

私は最後に降りた。監督に聞きたいことがあったから景吾を先に行かせたのだ。





「どうした」

「あの、俺のお風呂ってどうなるんでしょうか?」

「ああ。心配するな。私の部屋にお風呂が付いている。そこを使うといい」

「ありがとうございます。それと部屋って1人部屋なんですか?」

「いや、2人部屋だ。は溢れるから1人になるが」

「そうですか。よかったです。ありがとうございます」





私は監督に頭を下げてバスを降りていった。

すると周りから注目を浴びている我が学園。




そして、不思議な目で見られる私。

そりゃそうだろう。今までいなかった人物がいきなり合宿で現れたんだから。

しかし、ある1校は私のことを知っているせいか驚いた顔で見ていた。




「キミは・・・」

「まぁ色々事情がありまして。っていうんだ。今日からまたよろしく」

「・・・そういうことか。こちらこそ頼む」




橘は事情を飲み込めたのかわからないが、私の男装を黙っててくれそうだ。

他の部員は私とあまり面識なかったせいか頭に?を浮かべている。


不動峰は男子と女子のコートはかけ離れていて、部長同士の私と橘しか面識ないに近い。

しかも、女子は無名に近いぐらい実力がなかった。

もちろん、橘の妹の杏は強かったけど・・・




「おい。何をしている。いくぞ」




景吾の声がして、私は慌てて氷帝の集団の中に戻った。




「じゃあ、また」

「ああ・・・」




景吾は不機嫌丸出し。

子供みたい。でも、やきもちなんて嬉しかった。




「来てそうそう男作りか?あーん?」

「ちがう。橘は俺のこと知ってるんだから一応口止め」

「・・・そうか」

「もしかして忘れてた?」

「あ〜ん?俺様はどうでもいいことは忘れるタチなんだよ」




言い訳っぽい・・・・





「それよりも、今から部屋に別れてジャージに着替え、食堂に集合。いいな?」

「了解」

「迎えに行ってやろうか?お前方向音痴だろ?」

「食堂ぐらい行ける!!」

「クッ・・・ハハハ。本当お前の反応は面白れぇ」




真っ赤に怒った私を景吾は見て笑ったのだ。




「あんた失礼だっつーの!!」

「まぁ迷うなよ」

「分かってます!!・・・そういえば、景吾は誰と相部屋?」

「ああ、俺様は樺地だ。お前は1人だろ。寂しかったら連絡入れろ。一緒に寝てやるぜ?」

「遠慮します」

「照れんな」

「照れてないから」

「なんや、2人なんだかんだ言ってもラブラブやん」




急に入ってきたのは侑士。

顔がめっちゃニヤけてるんだけど・・・




「今はまだ他校が近くないから。これからはこんな風じゃないから」

「そかそか」




そんな話をしていると、景吾が「行くぞ」とみんなに声を掛け、合宿棟に入っていった。

ただ、すごく他校の視線が痛かったが・・・

















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