あれから3度試したが、全て返された。
あれはマグレなんかじゃない。
m a l e - a t t i r e
1セット終わり、チェンジコートでが俺の前を通った時話しかけた。
「残念だったな。もう止めるか?」
でも、返ってきた言葉は1言と自信に満ちた瞳だった。
「まさか」
綺麗だと思うぐらい、吸い込まれるような瞳。
俺はの背を目で追うしかなかった。
2セット目。
滋郎のサーブが始まった。それを軽々と返す。
幾度となくラリーが続く中、また滋郎が駆け出した。
またやられる・・・そう俺は思った。
しかしは笑ってラケットを構え、一振り。
「ロブだと?」
「打ち返されるに決まっとるやん。は何考えてんや」
案の定、滋郎は高く飛びスマッシュを。
しかし、ボールはにより滋郎の後ろに落下。
「マジ!?すげ〜!!忍足と一緒じゃんか!!」
急にテンションの高くなった滋郎には目をパチクリさせていた。
「マジかいな。不二と俺と・・・3人も羆落としができる奴がおったやなんて」
「でも、そこまでってことだろ。滋郎は羆落としを返す術はしってんだからな」
「そうですよ。宍戸さんの言うとおりです。これはどっちにしろ芥川先輩の勝ちじゃ・・・」
どうなんだ?。まだ隠しているんだろ?
全てをさらけ出せ。この俺様に。
「てか、何そのテンション・・・」
「マジ目覚めるって!!すんげーだもん!!ほら、次いくよっ!!」
また滋郎からのサーブ。
次もロブを上げる。
それじゃかわんねぇ。。。本当のを見せろよ。
そう思った瞬間、俺達は初めてのものを目にした。
滋郎のスマッシュ決まらなかったのだ。
「どういうことだ?」
宍戸が1番に口を開いた。
それもそのはずだ。
滋郎のラケットは見事にボールに当たった。
しかし、ボールはネットに当たってのコートには帰ることはなかった・・・
「滋郎がネットから離れていた言ってもおかしいだろ。あんな角度で落ちるなんて」
「俺も宍戸の意見と同じやわ・・・跡部は分かったん?」
「いや・・・」
「すげぇ〜!!すげーよ!!もう1度してっ!!」
「だから、相手にもう1度って・・・まぁいいよ。ただ、次は普通のロブかもしんないからね」
「よっしゃー!こいっ!!」
まるで遊んでいるようなテンション。
は構えてサーブを待つ。
そして、ロブを上げた。その時、俺様のインサイトはボールを見逃さなかった。
「の勝ちだな」
「「「「えっ?」」」」
傍にいた忍足と向日、宍戸、鳳が反応したと同時に滋郎が打ったスマッシュはまたもネットに阻まれた。
「なんで分かったん?」
「ボールの回転だよ」
「ボールの回転やて・・・?」
「そうだ。のボールは変わったボールの回転している。恐らくそのせいだろう」
「ただロブを上げるだけで、そな技可能なん?俺らからしてみれば普通に上げてるだけやで」
「そういえば!!」
急に声を張り上げた鳳。
俺たちは鳳に目を向けた。
「プロにいますよ!!あのロブあげれる人が!!」
「誰や?」
「えーっと・・・今海外にいる!・・・ダメです。名前が出てきません・・・」
「誰でもいいよ。どうせ、もそいつの技を盗んだんだろ。それだけでもすげーし」
「向日さん!!そうですよね!!でも、先輩なんで選手は断ったんでしょうか?
あれだけの実力があればレギュラーも夢じゃないんじゃ・・・」
「そや。なんでなんや跡部」
「・・・しらねぇ」
そういえば、理由を聞いてなかった。
今日ぐらい聞いてみるのもいいかもな。
そして、あっという間に試合は終わり、5−3では勝利を収めた。
S2の滋郎に勝ったんだ。
不動峰が黙っていたとは思えねえが・・・
橘、スカウトはしない主義なのか?
「どうだ!!」
そんなことを考えていると、自信満々に帰ってきた。
対する滋郎も嬉しそうな顔で帰ってきた。
「マジすげーの!!力はないんだけど、技がマジすげーの!!」
「力ないっていうなぁー!!気にしてんだから!!」
「でも!でも!すげーの!!くやC→!!」
嬉しそうな顔の。
俺様はその顔をずっと眺めていた。
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