「あのなー、言っとくけど姉貴と俺は血は繋がってないぜ」


『『『『『『えーーーーーーーーーー!?』』』』』』


「ちょっとっ!!」


「いいじゃん。本当の話なんだし」


「そうだけど・・・」








☆養子☆










・・・・血が繋がっていない・・・それは事実。








そう。私とは血が繋がっていない。


私が養子として家にやって来たの。


私がまだ6歳で小学1年生、は5歳で幼稚園。







私は前いた家、家が嫌いだった。


何かすれば殴られて、暗い部屋に閉じ込められる。


そして最後には必ず母は『こんな子、産むんじゃなかった』と、父は『お前はうちの子じゃない』と・・・


体には幼い頃から痣が絶えることなかった。


これが私が暗所恐怖症の原因。







私の家は和風で平屋だったから端から端へ走ることができた。


幼い頃は走り回るのが元気の証拠というが、私の家では走ることなんてもっての他。


少しでも走ったことがバレれば体罰がまっていた。







そして、ズボンを着ることさえ禁じられていた。


『かけっこするからズボン買って』と言えば叩かれ、


『何を言ってるのっ!!女の子はズボンを着るものじゃありません!!しかもかけっこなんて!私はそんな子はいりません』と・・・


小学ではもちろん体育がある。唯一着ることができる時間で私は大好きだった。








ご飯も別で、父は帰ってくることも少なかった。


バラバラの家族といえるだろう。








しかし母は笑顔をくれる時もあった。



ピアノを習わされてた私。上手く弾くことができれば母は笑顔で誉めてくれた。


『頑張ったね』って・・・



父は帰ってくると必ず私の所へ来てくれた。


『今帰った』と・・・



今思えば些細なことだったかもしれない。


でも、私にとってそれが支えでもあった。


今でもピアノだけは続けている。








幼いなりに父と母に気に入られようと頑張ってきた。


しかし、最後は見事に捨てられた。









小学校に上がる直前に母から『あなたはもう、私達の子供じゃないわ』って。


私は咄嗟に謝った。何回も。泣きながら・・・・


何に対して謝ったのかは分からないけど、謝らなきゃって思った。


でも、母は私を無視して他の部屋へ入って行ったわ。


私は部屋に駆け込んで今更足掻いても無駄だと知ったの。


・・・・部屋には何一つなかったから・・・・




すぐに母に聞こうと思い、母の後を追った。


しかし、母が入っていったドアを開けると知らない人が2人いた。


それが今の家族、家だった。






母は私の姿を見ると、2人に紹介をした。


『この子がです。本当に役に立たない子ですけど、よろしくお願いします』って。


家の2人は私の前に来て膝をつけた。


私は咄嗟に正座をして頭を床につけて挨拶をした。じゃないと怒られると思ったから。


『はじめまして。(あさひな)と申します』


私の行動を見た家は驚いた顔をしてすぐに優しい声で『ちゃん、立って』と。


私は恐る恐る立ちあがった。


家の人は私の手をとり『ちゃん、あなたにはつらいことかもしれない。でも、これからは私達があなたの親よ』と言った。







・・・・・そして、私は家の一員になった。






家に着くとまず、年下の男のがいた。


男の子はすごい笑顔で挨拶をしてきたわ。



『はじめまして。ボク、かいと。5さい。おねえちゃんがあたらしいカゾク?』



『はい。といいます』



男の子は不思議な顔をして訪ねかけてきた。



『なんでけいごなの?くせ?』



『そうよ、ちゃん。前のおうちではどうだったか分からないけれど、家族なんだから敬語なんていらないわ。



 それにあなたはって名乗って。ねっ!?』



『・・・・でも』



『徐々でいいわ。敬語は使わないこと。いい?』



『はいっ!!』



私は嬉しかった。これが理想の家族だと思った。


笑顔で迎えてくれる家族がいる。それだけで心のカギが外れた気がした。







そして、いつの間にか家の家族を「お母さん」「お父さん」「」と呼ぶようになっていた。


今ではお父さんもお母さんも海外赴任で3年いないけど、でも、連絡をよくくれる。


私は家になったこと後悔はしていない。







景吾には話さなきゃって思って、この前2人きりになったけど、言う勇気がでなかった・・・





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『ってことはって、ねーちゃんに恋してる?』




笑いながら言う友達に対しても笑いながら答えた。




「ああ。でも、姉貴には何回もフラれてるし・・・」


『マジ!?冗談で言ったのに・・・ごめん』


「別にいいって。気にしてないぜ」


『でも、をフルなんてさん彼氏作らない気ですか?』


「違うよ。さんにはちゃんとした彼氏がいるんだぜ」


「悠くんっ!!」




もちろん、悠君もも私が養子だってことは知ってる。




『マジー!?』『ショックー』『狙おうと思ってたのに』




そういう声が飛び交う。




さん。そいつってかっこいいですか?』


「えっ!?まぁ、それなりに・・・」


「ってか、全員見たことあるはずだぜ?」


『『『『『『はぁ!?』』』』』』


「テニス部だし」


さんの制服って青学だよな!?』


『ってことは・・・手塚さんっ!!?』


「違うわよっ!!」


『じゃあ、不二さんっ!!?』


「違うぜ〜♪」


「ヒント!氷帝」


『跡部・・・さん?』




なんでそんなに意外そうな顔をしてるんだろう?





「びんご〜♪」


『えー!?』『マジかよー!!』『さんってすげー』




最後のすげーって何がすごいのか・・・




「で、姉貴帰らなくて大丈夫なわけ?」


「あっ!しまった!!ってことでじゃあね」


「ああ。またなー」


「みんなものこと頼みますっ」


『『『『『『『はいっ』』』』』』』





その後、私はダッシュで買い物を済ませて寮に帰り着いた。

澪には「遅いっ」って言われたけど・・・

なら自分で行けばいいじゃんとか思ったのは内緒。












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