「おば様、なんでも景吾様はひとりの女性に執着しているとか・・・」


「景吾が?そういえば、最近指輪を買ったようだけど、あなたにじゃなくて?」


「私はもらってませんわ。それに最近私に対して冷たい気がして仕方ありませんの」


「そう・・・そろそろ景吾にも遊びは辞めて自覚を持ってもらわなければね」








☆迎え☆






の指には指輪が光っていた。




「あーあ。はいいなぁ・・・」




教室の窓際の席では話していた。




「何言ってるの?」


「もうあとは結婚のみ!って感じじゃない?」


こそ忍足とはうまくいってるんじゃないの?」


「そうだけどさ〜」


「じゃあいいじゃない☆贅沢よ、




ちょうど周りにいたクラスメイト(女子のみ)はの意見に賛同するかのように頷いたりしていた。

そんなたわいのない話をしていると先生が入ってきては手を振りながら教室を出て行く。


先生の話も終え、それぞれが部活やら帰宅やらに別れていく。

は部活が休みだった為、1人で寮へ向かっていた。

そしたら途中に1人の40代くらいの女性が・・・



誰かの保護者なのかな?




「あの・・・誰かお探しでしょうか?」


「ああ、ごめんなさい。じつはさんを探しているのだけれど・・・」


「えっ!?私?」






―――――――――――――――――――――――――――――――――――





部活も終了し、帰る間際。




「跡部〜から聞いたで。に指輪買ってやったん?しかもお揃い」


「ああ?それがどうした」


「俺もおそろいのを買わなあかんかな・・・」


「そんなこと俺に聞くな」


「殺生やわ〜少しぐらい相談乗ってくれてもええやん」


のことなんか知るか」


「冷たいわ・・・跡部。にチクってやろう」


「テメェそれはヤメロ」




睨みを効かせる跡部。

相変わらず何を考えているか分からない表情の忍足。


校門に辿りつこうとしたとき、跡部の車がいつものように停まっていた。

しかし、いつもと異なった感じがした。

車の中に人影があったのだ。

車の中の人物は跡部達を確認すると車から降りてきた。

大人の女性だ。




「美人な方ですね」


「なんや、跡部浮気かいな」


「バカか。あれはお袋だ」


「「「「「えーーーー!?」」」」」




でも、何故お袋が・・・



跡部は車のところまで辿りつくと、母親に軽くお辞儀をした。




「今日はいかがされたんですか?俺の迎えとは思えませんが」


「景吾、あなたは婚約者がいるのを知っていての行為ですよね?」


「急になんのことでしょうか?」


さんのことです。申し訳なく思ったけど、景吾の周りを少し調べさせてもらいました。
 今までたくさんの人との交際はお遊びだと目を瞑ってきました。しかし、今回はすごく執着心を持っているようじゃないですか」


「・・・・」



忍足達は黙って2人のやり取りを見ていた。

忍足たちも跡部に婚約者がいるのは知らなかったからだ。




「母上、申し上げたはずです。俺は婚約者などいらないと。自分の相手は自分で決めると」


「景吾、もう少し大人になりなさい。もう高3なんですから分かっているはずです。
 跡部家たるもの、それなりの血筋の者との結婚しか許されないことを。
 あなたは跡部家に泥をぬるつもり?」


「そうは言っていない。しかし、俺には決めた人がいる」


がそんなに大切なのかしら?」


「はい」




睨み合うような親子。

まるでお互いの心を探り合うような目で会話をしている。

それをずっと見ていた忍足は口を開いた。




「親子の話に首を突っ込むのは悪いとは思ったんやけど、ちょっとええですか?」


「あなたは、忍足家の・・・」


「跡部は絶対にを手放すとは思えませんよ」


「それは、僕も同感です」




続いたのは鳳だ。

そしてそれをきっかけに周りのメンバーも同意の言葉を放つ。




「みなさんの言いたいことは分かります。しかし、これは大人の社会なんです。現実はそんなに甘くはありません」


「しかしっ!」


「景吾っ!いいかげんにしなさい!!あなたには自由を与えすぎたかしら?」




滅多に慌てない跡部が感情的に反抗した。

しかし、それも母親の言葉で押し返される。

結局家で話し合うことになり、跡部は元気なく車に乗り帰宅することになった。




「わりぃな。また明日」


「詳しいこと知らせろよ」


「岳人、お前に話しても意味ねえ」


「ひでぇ〜」


「まぁ、それだけ全員心配してんや。俺らにも知る権利くらいあるやろ?」


「ああ。じゃあな」




跡部は車に乗り込み、忍足達は静かに車を見送った。。。






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「えっ!?私?」




を探していると言う女性はの反応を見て悲しそうな顔をした。




「あなたがさん?」


「あっ、はい」


「そう。大きくなったんですね」


「あの・・・申し訳ありませんがどなたですか?」




疑問に思わないわけがなく、は正直に訪ねた。

相手は苦笑いをし、深々とお辞儀をした。

突然お辞儀されたことに戸惑う




「あのっ、頭を上げてくださいっ」


「もうしわけありません。私、家に仕えております葉月ございます。この度、様の御迎えにまいりました」


「迎え・・・?」




迎えってなに??突然家からの迎えなんて・・・

私はもう家なのに。

親の気まぐれなの?

















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