屋根よーり、たーかーい・・・・。




   ☆こいのぼり☆





今日は・・・5月5日、子供の日。
ついでに言っちゃえば、あたしの彼氏である崇の誕生日。
・・・なんて似合わない。
っていつも思う。



「たーかしっ♪」



今日は、崇の誕生日なわけで。
付き合い始めてから初めての誕生日なわけで。
恋人達の三大記念日と言えば・・・
クリスマス・バレンタイン。
そして・・・誕生日。
そう、誕生日!
それなのに!
なんであなたは・・・。



「崇?」



勢い良く崇に会いに来たのは良いけれど。
肝心の崇が居ない。
はその場に突っ立ったまま、もう1度愛しい恋人の名前を呼んだ。



「崇?崇どこっ!?」



しーん。


返ってくる返事はなく。
どこに行ったんだ、崇は。
その時・・・。



ちゃん?」



ひょこっと現れたのは崇の親友(ご主人?)光邦。
現れた場所が問題で。
は声を詰まらせた。



「っっ!?・・・光邦・・・あんたなんでそんなとこから出てくるの?」

「ぇ〜???」



光邦の顔が出てきたのは、そう顔が出てきたのは。
天井。
一体何やってんだよ。



「んとね〜、崇とかくれんぼしててね〜。今は僕が鬼なのっv」

「そう・・・。」



だからってそんな所に崇は居ないと思うけど。
ってか、入れない。入れるのはあんただけよ。



「まぁ、良いわ。あたしも一緒に探してあげる。」



崇に会いに来たんだし。



「ホント!?わ〜い、ちゃん大好き〜w」



はいはい。



それより、崇は一体どこよ。
せっかくの恋人達の日なのに。。。
あたしじゃなくて光邦と遊んでるなんて。
薄情者!








かれこれ、2時間は探したと思う。



「崇〜!おーい・・・。はぁ、もう疲れた。」



光邦は相変わらず自分しか行けないような狭いとこばっか探してるし。
結局あたしが見つけるしかない。
しかもこのルール。降参無し。
見つけるまで崇は出てこない。
はぁ・・・なんつールールよ。
それもこれも環くんが
『庶民の遊びを各自支度でやるように!』って言った所為だわ・・・。
大方の場所はもう探した。
いくら銛之塚の家が広いっていっても、2時間も探していれば、
探していない所の方が少ない。







折角の計画が台無しだなァ。
ちゃんと準備してから来たのに。
これじゃ、いつまでも待たせてる使用人達が可哀相だわ。
1人寂しくもう見ちゃおうかなぁ。
1人寂しく崇の誕生日祝っちゃおうかなぁ。
うん、そうしよう。
後から崇にはたっぷり文句を言ってやろう。



「すみません、梯子貸してもらえますか?」



近くにいた崇の家の使用人さんに尋ねた。





「うっわ〜・・・怖っ!」



梯子に手をかけて登りながら小さく呟いた。
屋根に登るなんて怖いから、やっぱり崇にいて欲しかったな。



「よし、後少し・・・よいしょっとっ・・・!?」



ビックリした。心臓止まるかと思った。



「た・・・かし?」



まるで大きな猫が屋根の上で昼寝をしている様だった。
恐らく登ってきてそのまま眠ってしまったんだろう。
はそっと近付いてみた。


スースー・・・。


可愛いっ!!
なにこの人!?めちゃくちゃ可愛いんですけどっ!
はそのまま崇の横にそっと寝転んだ。



「まつげ長〜い・・・。普段じっくり見ることなんてあんまりないから良い機会かもw」



そのまま数分間は崇の顔を見つめたまま横になっていた。




「ん・・・!?」



モリが目覚めてみると、目の前にはの顔。
しかも静に寝息を立てている。



「いつの間に来たんだ?」



モリが疑問に思っていると、



「んっ・・・崇・・・ムニャムニャ。」



名前を呼ばれて一瞬ビクッとしたが、寝言だったらしい。
クス。モリは微かに笑ってを起こした。



。こんな所で寝たら風邪引くぞ。」



自分はどうなんだよ。と突っ込んでやりたいが・・・。



「んぁ・・・崇?」



目を擦り擦りが起き上がった。



「おはよう、。」

「お、おはよう・・・じゃなーい!!!」



は急に大声を上げた。モリは思わず耳をふさぐ。



「せっかくの記念日に何してたのよ崇!!」

「ぇ?」

「『ぇ?』じゃなくて!恋人達の三大記念日よ!?」



三大記念日?なんだ、それ?
モリは・・・こういう所に疎かった。でもとりあえず、



「ごめん。」



と謝った。



「ふぅ・・・もういいけどねっ。ほら、立って!」



モリは言われるままに立ちあがった。



「崇、HAPPY BIRTHDAY!ちゃんからのプレゼントでーす!」



が指差す方向には、(の家の方面だった。)
5階建てくらいの高さはあろうかという棒1本。
そこにするすると巨大なこいのぼりが上がる。



「へへっ、超特大こいのぼりでーす!特注したんだ!」



今までに。
こいのぼりなんて腐るほど貰ってきたけれど。
こんなに嬉しく思ったのは初めてだった。
は満足げな顔をしてどう?っとモリの顔を覗きこんだ。
瞬間。
モリがを抱きしめた。
キツク・・・キツク・・・。



「た・・・崇!?」

「ごめん。ごめんな、ホントに・・・。」

「ぇ!?もう、良いよぉ///」







・・・愛してる・・・。」




大きな大きなこいのぼりが、二人を祝福する様に・・・揺れていた。