と出会って2ヶ月。

いつものように病院に向かっていた。

俺が病院に行く理由はだ。

の歌を聞くために・・・もしくはと話すために・・・



初めて病院に行ったきっかけは忍足の付き添いだった。

俺が忍足に付き合ったのも俺にとっても大切な用事だったからだ。

今じゃもう覚えてねえがな。



それ以来、俺は2ヶ月通い続けた。








☆Reason to shed tears〜涙を流す理由〜☆










「景吾はそういえば、どうして毎日のように病院に?ずっと聞き忘れてた」



笑いながら俺に問いかける

いつもから笑顔が消えることがなかった。




「あーん?んなのどうでもいいんだよ」

「知りたかっただけなのに〜」

「知らなくていいんだよ」




膨れっ面になるの頭に軽く手を乗せてやれば笑顔になった。

俺はこいつの笑顔が好きなんだ。

その笑顔が見たいからとか言えるわけねえ・・・




「あのね、そろそろお別れなんだ・・・」

「あ゛?なんでだよ。退院すんのか?」

「ううん。アメリカ行くの・・・」

「手術決まったのか・・・」

「うん。よかったと思ってる。だって目が見えるようになるんだよ!?そしたら1番に景吾の顔が見たいな」

「俺はお前の歌好きだ・・・だから帰ってきてもう1度聞かせろ」

「うん!」




やっぱりこういうときでもは笑顔だ。

なんでなんだ?師長は50パーセントの確立しかないと言っていたのに・・・




「つらくないのか?」

「つらいよ。確立半分だし、不安がいっぱいだよ・・・でも受けるしかないから。これ以上親に迷惑かけられないよ。
 自分のことぐらい自分でしたいしね」




軽い口調のままは淡々と続けた。

でも内容には重みがあった。




「つらい時の表情とは思えないな」

「泣いたら負けでしょ?」

「いいんじゃねーか?泣くことも大切だとおもうぜ?泣くと角膜に酸素や栄養を供給するらしい。
 にはもってこいじゃねーか。それに、泣く行動にはストレス解消の役割もあるって言われてるんだぜ」

「そうなの?」

「俺様が嘘つくかよ。いいから、不安な時は泣け。俺様がいてやるからよ」




俺はを抱き寄せた。

胸元ですすり泣きが聞こえ始める。




「怖いよ、50パーセントだし、景吾ともう会えないかもしれない」

「俺もと会えないのは寂しい・・・」

「景吾が私のこと忘れてしまうんじゃないかって・・・」

「それはねえ。俺様はいつまでも帰りを待っててやるぜ?」

「本当?」

「だから言っただろ、俺様は嘘つかねえ」




それからはいっときの間泣いていた。





それがとの最後の日だった。

それ以来との連絡は途絶えた。








と離れて5年・・・

俺の頭の中では手術の“失敗”が頭をよぎった。





あの最後の日の次の日、病院に向かった俺は師長に会った。

そして1つのアクセを渡してきた。

それはがいつもしていたペンダントだったのだ。

そしてはつい先ほどアメリカへ発ったと教えてくれた。









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私はアメリカでの手術を受けるにあたりとことん泣けた。

景吾の言葉があったから私はムリして笑うことをやめたんだ。




“泣くと角膜に酸素や栄養を供給するらしい。にはもってこいじゃねーか。それに、泣く行動にはストレス解消の役割もあるって言われてるんだぜ”




景吾らしい博識さ。

普通の中学生でここまで知ってる人っていないと思う。



私、決めた。

絶対に成功して日本に帰る。

そして景吾にあうんだ。

景吾の連絡先とか知らないけど、どうにかして見つけてみせる!












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