神様、なぜ私には光を与えてくれなかったのですか?

『だいじょうぶ』


神様、なぜ私には闇だけを与えてくれたのですか?

『僕はが必要なの。だからいつも傍にいる!!』


神様、なぜ人は平等ではないのですか?

のこと大好き』


私も闇ではなく光が欲しかった・・・

『僕がの光になるよ』


全てが真っ暗で・・・みんなに置いていかれた気がいつもしていた・・・

も僕を必要として?』


みんな私に気を使うのに一生懸命で・・・

『僕を信じて。だって僕は    だよ』






☆盲目の少女☆






『跡部様って本当にかっこいいよねー♪もそう思わない!?』

『ちょっと・・・』

『あっ・・・ごめん』

「いいよ。気にしないで。私も気にしてないからさ」



私、 。中学3年。
私は光というものを産まれてから1度も見たことはない。
そう・・・私は目が見えない。
でも、もうそれも慣れてしまっている。
それが当たり前だと思っているから・・・



友達は目が見えない私に気を使ってくれているのは十分すぎるほど肌でかんじた。
私はこれ以上その場にいることを辞めた。
みんな跡部君の話を始めると容姿の話になることが多く、私に気を使ってくれるのが分かっていたから。
私がいるだけで場の雰囲気が沈むのはよく分かる。
だから、音楽室へと私は足を進めることにした。
私の唯一の気晴らしはピアノを弾くことだったから。



「ごめん。私、先生に呼ばれてるんだった」

『マジ!?大変だね』

「まぁしょうがないよ。また後でね」

『うん。いってらっしゃーい』



そう言うと教室をでた。ドアを閉めると一息ついた。
そしたら、友達の声が聞こえてきた。



といるとどうしても心の底から話せないんだよね・・・』

『そうそう。目が見えないから気使っちゃうんだよねー』

『どうにかできないかな?』

には悪いけど一緒にいるの疲れちゃう・・・』



私はそれ以上聞きたくなかった為、音楽室への道を歩き始めた。
もう学校には3年もいる為、学校内は1人で歩くことはできる。







♪〜♪〜〜♪〜♪〜〜♪〜




悲しく、誰かへのメッセージのような曲。


音楽室に近づくにつれてそのピアノの音が大きくなっていく。
私は音楽室の前で音楽をずっと聞いていた。
そしたら途中で曲が止まった。そして、音階の変わりに声が聞こえた。



「おい、いつまでそこにいるつもりだ?入ってこいよ」



私はバレてしまった。と心の中で思いながら、どうしようと考えた。
考えていたらピアノの椅子が引かれる音がして足音が近づいてきた。
私はヤバイ!!と思い、逃げようとしたらドアが開き見事に腕を捕まれた。



「あーん?何逃げようとしてんだよ」

「いや・・・あの・・・」



声からして跡部君だろう。彼は生徒会長だから朝礼などでよく声を聞いていた為に知っていた。



「ピアノ弾きにきたのか?」

「えっ!?」

「だからピアノ弾きにきたのか?って聞いてんだよ!」

「あっ・・・はい。でもなんで分かったの?」

「お前、だろ?」

「なんで名前まで!?」



私は声を頼りに跡部君の顔を見た。いや、正確には顔を向けた。
できるだけ目が見えないことは知られたくなかったから。



「そんなのどうでもいいだろ。それよりピアノ弾けよ」

「えっ・・・でも、跡部君が弾いてたんじゃ・・・」

「あーん?俺様が弾けって言ってるのに弾けないっていうのか?」

「いえ、そんなっ」






私は結局弾かせてもらうことになった。
何故か教室内に跡部君の気配がずっとしていたけど・・・




♪〜♪〜〜♪〜♪〜〜♪〜



私が弾く間、跡部君はじっと聞いていた。
そして曲が終わると私の近くに来て一言。



「やっぱり上手いな」

「えっ・・・」

「お前さっきから『えっ』が多いな」



跡部君は微かに笑っていた。
私は恥ずかしくなって顔が赤くなっていく。



「あの・・・」

「なんだ?」

「さっきの跡部君が弾いてた曲のことだけど、とても悲しく聞えた。誰かに聞いて欲しいようなかんじ・・・
 誰かに宛てた曲?」

「・・・」



跡部君は黙り込んでしまった。
えっ!?私、何かいけないことでも言ったかな!?



「ごめんっ、勝手に・・」



跡部君が動いたのが分かった。
怒らせたか・・・と思っていたら急に後ろから抱きしめられた。



「ちょっと、跡部君っ!!」

はひどいよな」

「えっ!?」



跡部君の声は悲しみを帯びたような、そんな声に聞えた。



「また、『えっ』だ」

「だって・・・」



私は訳が分からなかった。
どうして跡部君が私を抱きしめているのか、なぜひどいと言われなければならないのか。
考えていたら跡部君が語り始めた。



「まだ俺が幼稚園の頃、うち主催のパーティーでちょうど親との挨拶周りが終わった頃にピアノが流れ始めた。
 俺はその曲に、そして姿に魅入った。一目惚れだったんだ。そいつは俺と同じ歳ぐらいで演奏が終わると
 恐る恐る椅子から降り挨拶が終えると、親に手を引かれながら人ごみに消えた。
 俺はそいつの後をいつの間にか追いかけていて、一人で外にいるのを見つけたんだ・・・」




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『おい、そんな暗いところで何してるんだ?』

『・・・ここ暗いんだ?風がきもちいいの』

『暗いんだ?って見れば分かるだろう?』

『私、目が見えないから・・・あっ、気にしないで。産まれつきだからもう慣れっこなの』


『名前は?』

『えっ?』

『だから名前』

。あなたは?』

『跡部景吾。5歳だ』

『一緒。私も5歳』


、僕の女になれ』

『は?』

『だからー僕、に一目惚れしたんだ。僕の女になれ』

『ん〜でも・・・』

『僕のこと大好き!だから僕の女になれ』

『でも、私目が見えないよ?』

『だいじょうぶ!僕がの光になるよ』

『うれしいけど・・・』


『僕はが必要なの。だからいつも傍にいる!!』

『本当?』

『うん。だからも僕を必要として?』

『うん!私も景吾の傍にいる!!』

『やった!!』


『景吾、かわいそうでとかでじゃないよね?』

『そんなワケない!!僕を信じて。だって僕は跡部景吾だよ』




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「まだ思い出せないか?」



私は首を横に振った。



「思い出した。全部。でも、あれが跡部君だったなんて・・・」

「あれ以来会うこともなくて」

「ごめん。目が見えないから、家から出ることできなくて・・・約束すぐに破っちゃったね」



『傍にいる』
この約束を私は次の日で破ってしまったのだ。



「この学園にいると分かった時は声をかけようか迷った。
 俺のことを忘れているみたいだったから。友達と俺の話をしててもお前は顔色1つも変えずにいたからな」

「名前だけ・・・忘れてた。でも、私は跡部君の言葉を、存在を支えにここまで来れたんだよ」



そう、こんな私でも必要としてくれていることが嬉しかったから。




私達はあれから色々話した。
お互いまだ思い合っていたことなどを。



は名前の分からないまま思っていて、景吾はずっとの存在を探しつづけていたのだ。


そして、2人は再会をきっかけに9年越しの恋を成熟させた。





「もう、離さないぜ

「うん。もう離れないよ景吾」