夜が明けかけた有明の刻。
空にはまだかすかに面影を残す月。
この時を君と過ごすことができるということはいかに素敵な事だろうか。
☆有明の月を君と共に☆
「…ねぇ、景吾。」
「なんだ?」
事情後を示す、乱れたシーツのベッドの上。
景吾とは居た。
「外、月綺麗だね…。」
「あぁ…。」
開いたカーテンの先、グラデーションの空と沈みかけた月がなんとも言えない絵を作っていた。
「昔の恋人達は…朝方まで一緒に過ごす事…出来なかったんだよね。」
「…俺だったらお前がそばに居て欲しいと願う限り、いつでも一緒にいてやるぜ?」
「へへっ…景吾なら出来そう。」
「当たり前だろ、バーカ。」
「"有明の月を共に見ることを願う。"か…。」
「なんだよ。」
「やっぱりさ、今の時代で良かったかなって思って。」
「確かに昔よりは良いと思うぜ?ベッドも硬いしなぁ…?(妖笑)」
「…っっ!!もう…///」
「ククッ…。可愛い、愛してるぜ。」
照れて、笑いあい、いつのまにか過ぎ行く時間。
いつしか月は消え、朝日が上り始めていた。
「本当に幸せ。景吾大好き。」
「フッ…。俺も幸せだ。」
「また、有明の刻を一緒に過ごそうね。」
「遠まわしに誘ってんのかよ、アーン?」
「ち、違うって。昔、恋人達が過ごせなかった分を、代わりに取り返してあげたいんだもん。」
「まぁ…良いさ。」
そうして二人は言葉を交わすことなく、瞼を閉じた。
いつでも以心伝心。
目が醒めたら、今度はどんな月が見られるのだろうか。