私達の関係は貴族と純血種という間柄。
決して枢様は私を恋愛対象とみてくれはしない。
〜幻覚の壁〜
「本当、一条って馬鹿?」
「うわぁ〜ひどいなぁ。は」
「だって、自分の誕生日に人間呼ぶなんて一条しかしないよ〜」
自分に1番近いだろう一条と笑いながら話しているのは。
家の1人娘で、貴族の娘。そして、もちろんヴァンパイア。
印象は・・・笑顔。いつも笑顔なんだ。
他の女とは違って人間のように感情を表に出す。
僕はずっとそんなのことを目で追うようになっていた。
「でも、おかげで枢が出席してくれたよ〜vね、枢」
一条が僕に話を振ると、の顔つきが強張った。
そう、から唯一笑顔が消える瞬間。
そんなに僕が嫌いなのか・・・コワイのか・・・
それを見て、自分もついそっけなくなってしまう。
「・・・・」
「ほら、枢様迷惑してる〜」
「えー。枢ひどい!!」
「ひどいのは一条だって!」
ほら、僕が関わりを持たなくなれば、自然に笑顔が戻った。
今までもそうだったせいもあってか、積もりに積もった感情が限界をこえた。
「!!」
「っ!はい!!」
の驚いた顔。それを見て、僕は一瞬だけ素に戻ることができた。
「部屋に来て・・・」
「えっ!?私がですか?」
僕にだけ敬語を使う。壁がすごく高いのを感じる。
静かに僕の後ろを付いて来る。
そんな気配でさえも、緊張が漂っていた。
部屋に着くと、はドアの前で立ち止まった。
それ以上奥に入ってこようとはしない。
「あの・・・私何かしましたでしょうか?」
「は僕が嫌い?」
質問に対して驚いた顔。
それはそうだろう。まさか、こんな質問されるとは思ってもないだろうからね。
「そんなことないですっ!!枢様は、尊敬すべき方であって、嫌うようなことはありませんっ!!」
「じゃあ、僕に血を吸ってもらいたい?」
「えっ・・・///」
頬を赤らめるはとても可愛くて、思わず腕を引いて抱きしめた。
そして、首筋をなぞるように一舐め。
「あっ・・枢様・・・」
「どうして敬語なの?」
「純血種ですので」
「どうして僕の前で笑顔がひきつるの?」
「それは・・・あの・・・」
ほら、やっぱり言えない。嫌いなんだろ?
自分の腕からを離すと、は悲しそうな目で僕を見た。
「好きなんです。。。」
「えっ?」
一瞬、自分の耳がおかしいのかと思った。
「好きなんです、枢様のこと。尊敬してるのも違わないけれど、それ以前に好きで、大好きで突き放されるのがコワイんです」
一生懸命言葉にするの姿は可愛くて、真っ白な肌が真っ赤に変わっている。
「僕のこと嫌いじゃないの?」
「そんなこと一生ありえません!!好きだから意識しちゃってみんなのように接することができないだけで」
「本当かわいいね、は」
「え///」
「僕もずっと好きだよ。笑顔が可愛いし、何より他の女のヴァンパイアとは違う雰囲気を持っていることもあって、惹かれている」
手を伸ばせば、それに自分の手を重ねてきた。
そして、腕の中へと閉じ込める。
「血を吸ってください・・・ううん。血を吸って欲しい・・・」
ヴァンパイアにとって純血種に血を飲んでもらうことはとてもありがたいこと。
そして、それが愛情表現でもある。
僕は、耳元で囁いての首筋に噛み付いた。
とっても甘く愛しい味だった・・・
今では僕の隣には必ずがいる。
そして、いつもの笑顔を僕に向けてくれている。
ただ変わってしまったのは・・・・
「枢っv」
そう・・・敬語をやめてくれたことだけ。
「、愛しているよ」
初めて血を吸った時も囁いた言葉は、血を吸う前の儀式のようなものへとなっていた・・・
「私も好き・・・」
は吸われた後、必ずこの言葉を発してくれる。
僕はその言葉が聞きたいために、吸うこともあるぐらい、のことを溺愛しているんだ。
今も・・・そしてこれからずっと・・・永遠の時間を・・・・