まさか、これが最後の日だなんて思わなかった・・・
たとえ自分が永遠の命を持っていようと、それは偽りだったのかもしれない。
〜VAMPIRE〜
ヴァンパイア
「様、最近お顔の色が優れませんわ。寝不足なのでしょうか」
メイドは細やかなところまで気がつかなくてはならないのは知っている。
だけれど、正直気付いて欲しくない。
「そうでしょうか?別にどうもありませんし、夜も寝れてますわよ」
「それなら宜しいのですが。。。私、心配ですわ」
「ありがとう。何かあったら言うわ」
「はい。いつでもどうぞ」
そう言うと、メイドは仕事へと戻っていった。
一体、急にどうしたのだろうか。
「ヤバイやん顔色」
「侑士っ!?」
「ヒョコヒョコして歩いとるから、追いついてしもうた」
「しょうがないじゃない」
足くじいいてるのを知ってるくせに。
「で?今日はどうしたの??」
「俺最近、病にかかっとんねん」
「はっ!?何それ」
「に会いたくてしかたないんや」
「今に始まったことじゃないじゃない・・・」
「で、今日行ってくるさかい」
「私も行く」
「その足で?」
侑士の目線は足元へ・・・
悔しい・・・
「ダメ?今度さんに会ったら侑士は意地悪だって言ってやってもいいんだけどなぁ〜」
「えっ!?それはアカン!!わかった連れててってやる!」
「やった」
よしっ!私も案外いいこと思いつくじゃないv
夜・・・・
「で、来たと」
「そのとおりや。さすがはやで」
侑士は会うなりすぐにさんに抱きついた。
もちろん、さんはそれを見事に受け止めてたけど・・・
「よぉ」
「こんばんは」
「足大丈夫か?」
「なんとか」
景吾さんは相変わらず優しくて、かっこいい。
(侑士にバカ扱いされたけど)
挨拶が終わると4人でゆっくりと話はじめた。
すると、コウモリが1匹窓から入ってくる。
初めて館に入ってきたのを見たかもしれない。
「どうした」
いち早く反応したのは景吾さん。
さんもコウモリを見ていた。
(人間ですっ!人間がっ!!)
「ココにっ!?」
さんの緊張感のある声で、とんでもないことが起きているのだと察知できた。
景吾さんも顔が強張っていて、尋常ではないことは確かだ。
(火と銃を持ってココに向かってます)
「どのくらいだ?」
(それがかなりの人数でして、追い払うことができず・・・仲間もやられて・・・)
「そんな・・・許せない・・・」
「あのっ!何があったんですか!?」
「人間がここに向かってきてる。銃とか持って。ついにヴァンパイア狩りとでも言うべきかな」
「うそ・・なんで・・そんな話1度も・・・」
「俺らには知らせてないって考えるべきやろうな」
「とにかく、達は裏口から逃げろ」
「ダメッ!!私達も一緒に!!」
「バカかっ!殺されてもしらねぇぞ!!」
「説得します!私たちが説得すればっ!」
そうよ。同じ人間の私達が説得すればいいんじゃない。
「無理やろうな。そんな甘かないで」
「侑士!!じゃあ私たちだけ尻尾まいて逃げろっていうのっ!?さんが危険な目に合うんだよっ!」
「そんなこと言っとらん。一緒に逃げるんや」
(裏手からも人間がっ!!)
コウモリがバタバタと私たちの上を飛び回る。
「逃げられないらしいな、裏も塞がれた。どっちにしろ、お前らは俺らが誘拐したとでも言って助けてもらえ」
「わかった。そうする」
「っ!」
「侑士、大丈夫だから。ねっ」
「2手に分かれる。裏と表だ。どちらか一方だけでは背中を取られてしまって危険だからな」
「と景吾。私と侑士で組ませて」
さんは切なげに、でも凛々しく発言した。
それに対して景吾さんは何かを言おうとする。しかし、さんの考えを納得したようだ。
「それじゃ、お互い生きて会えることを信じて」
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