「こんなところにいるとは驚きですね。しかも、他のヴァンパイアは知らないとみえる」
「まだ知っているのは枢と理事長だけだから。一翁、あなたも内密におねがいしますね。
最後にはちゃんと元老院にもどるつもりだから・・・」
「それならば、お約束いたしましょう。異血種も残りわずか。様は特に異血種の血を
濃く継いでいらっしゃる。我々には貴重な存在なのですから、決して無理のなされぬよう」
「わかっている」
「管理者は枢様でよろしいのですね?」
「・・・そういうせざるおえないでしょう。この学園には枢しか純血種がいないのだから」
「わかりました」
「・・・ここが理事長室。私はここで失礼するわ」
これは全て一翁を理事長室へと連れて行くまでの会話。
本当の姿
〜助けられた私〜
これは昔の話。まだ私が幼い時。
「寒い・・。ここ・・どこ?」
日中雪が降りしきる中、私は街中を薄着で歩いていた。
目の前には1人の女の人が歩いてくるだけ。
「あのっ・・・」
「何?お譲ちゃん。いい血もってそうね、私にくれない?」
「えっ?」
抱きしめられ、首筋に牙が立てられそうになるのを私はボーゼンと見ていた。
警告が頭の微か端のほうで鳴っている。でも、私はそんなのどうでもよかった。
目を瞑った瞬間、体中に暖かな液体が付着したんだ。
静かに目をあけると、さっきまでいたはずの女の人は消えていて、
ただ男の子が1人手を真っ赤にして立っていた。
「大丈夫?」
「うん」
何故か気持ち悪いとか、恐怖とかかんじなかった。
見慣れている。そんな感覚。
「家は?」
「わからない。気付いたらここにいたの」
「そう・・じゃあついておいで」
「あなたは大丈夫なの?咬まない?」
「うん。大丈夫、咬まないよ。あと、僕は枢」
「枢?それ名前?」
「そうだよ。君は?」
「私は」
「よろしく、」
私は枢だけには心が許せた。
傍にいるだけで安心できたの。
その時は気付かなかったけれど、たぶん異血種の血が純血種に反応してたのだろう。
枢に連れてこられたところには1人の人がいた。
黒主というらしい。
色々と目の前で枢と黒主の話がすすむ。なんか、私は黒主のお世話になるみたい。
枢は用事があるとかで帰ってしまった。今は黒主と2人だけ。
「これからよろしくね、ちゃん」
「うん。黒主」
「黒・・主・・?」
「違うの?」
「いや、黒主なんだけどね。それは苗字。ちゃんも黒主になるんだよ」
「じゃあ、なんて呼べばいいの?枢みたいに理事長がいい?」
「お父さんでv」
「わかった。お父さん」
それが理事長と私との初めての会話。
そして、2度目には核心の話だった。
−夜−
「くるっしぃ・・・」
「ちゃん!?どうしたの!?」
ヴァンパイア化が始まった。
今日は満月。苦痛を伴うものだ。
みるみる牙が生えてくる。それをお父さんは驚いた表情で見ていた。
「ハァハァハァ・・・」
「落ち着いたみたいだね。ちゃんはヴァンパイアに咬まれたのかい?」
「ううん。元々こういう体なの。夜になると何故か牙が出てくるの。気持ち悪い?」
「・・・そんなことないよ」
「みんな・・・気持ち・・悪いって・・・」
「みんな?」
頭の中には同年代の子が叫んでいる。
『ちゃん、気持ち悪い』
『昼間人間だし』
『半端もんだー』
『は半端もんなの?』
『そんなことない。は立派な異血種だ。みんなのすごさをまだ知らないだけだ。
みんなにいじめられたくないのならココから出なければいい』
誰だっただろうか。私の頭をなでながらそう説いた人は。
「うん、みんな言ってた。ただ、誰か大人はは立派な異血種だって・・」
「異血種!?本当かいちゃん」
「うん」
お父さんは考え事を始めてすぐに言ってくれたんだ。
「ちゃん。ううん、。いいかい?君は昼は人間、夜はヴァンパイアなんだ」
「ヴァンパイア?この牙の出てる人をいうの?」
「そうだよ。血を好むんだ。そして、異血種は・・・・」
それからお父さんの異血種についての難しい説明は始まった。
元老院にいたということも私はこの時に知った。
どうやら枢にも黙っておくという。
ただ、分からないのは何故私は元老院から逃げ出したのか。それだけ分からなかったんだ・・・
それから優姫もヴァンパイアに襲われそうになったとかで枢に助けられて来た。
優姫は私の事を『お姉ちゃん』と馴染むようになっていった。
夜は私は部屋に閉じこもるようになったけれど・・・
ヴァンパイア化を優姫に見られたくなかったから。
「、異血種は純血種以外の者を膝まつかせることができると言ったよね?」
「うん」
「優姫はそれができないから、が守ってやってくれないかな?」
「いいよ。は優姫が好きだもん」
「じゃあお願いね」
「うん」
そんな些細なお願いを私はずっと守ってきたんだ。
私の中でお父さんは絶対だったから。
だから、私は優姫に全てを譲った。優姫を守るのはそういうことも含まれていると幼い頃に勘違いしてて。
ううん。優姫に全てを譲ることで優姫が私から離れないようにしたんだ。
お父さんにもいい子で映ることで捨てられないようにしたんだ。
1人になりたくなかったがために・・・
それから何年後かに零も来た。
「彼は錐生零。悪いヴァンパイアに家族を殺されてしまったんだ」
「この子、ヴァンパイアハンターの血が・・・」
「は慣れるまで部屋にいるといい」
「そうするっ!!」
私はそれから約1週間部屋に閉じこもった。
まだヴァンパイアハンターとして未熟な零だったから、そこまでの恐怖を味わわなくてよかったけれど。
そして、数年後にはデイ・クラスとナイト・クラスの2クラスの制度が設けられることになったのだ。
ヴァンパイアの“穏健派”を玖蘭枢を女王蜂として招きいれ、育てていく。
そうやって現在の黒主学園ができているのだ。
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