部屋の外が騒がしいことで、私は目が覚めた。

零が学園内にいることだけはやっぱり分かるが、恐怖感はほとんどなくなっていた。





「これも枢がいたからね・・・」















本当の姿



〜遅れた編入生〜













その頃、外ではデイ・クラスとナイト・クラスの入れ替わりが始まっていた。





「本当にダメですよ、この先は!!」


「1枚だけでも一緒に写真」


「だめです・・・ってば〜〜〜っ」





私の部屋から外を見れば見える優姫の止める姿。

零も威厳を見せながら止めている。

今日は助けなくてもなんとかなりそうだと、第三者として眺めていると、枢と目が合った。

枢の目は心配を表していて、私は薄く笑顔を見せ頷いた。

すると、枢も安心したのか校舎内に入っていく。




そして、安心しているのもつかの間。

優姫が藍堂英の手によって校舎内に引きずり込まれた。

いわゆる助けるフリをして連れて行ったのだ。

行こうか迷ったが、枢がいると私は安心しており、代わりに零が動き出し、

5分もしないうちに校舎から優姫を連れて出てきた。




コンコンッ





「はい」





私の部屋に今来れるのは1人しかいない。父さんだ。





「もう大丈夫そうだね」


「なんとかね。どうしたの?わざわざ部屋まで来るなんてめずらしい」


「今日編入生が来るんだ」





いつもデイ・ラクスに編入生が来ようが、私にわざわざ言いにくることは今までなかった。

ようするに、今回は特別な人。ナイト・クラスへの編入ということだろう。





「それで、にお願いだよ。枢くんに伝えておいて欲しい」


「わかった。名前は?」


「紅 まり亜」


「紅 まり亜ね。伝えておくわ」


「それじゃ、任せたよ。僕はこれからその子のことで色々忙しいから」





わかったと言うと、私は着替えを済ませて校舎へと向かった。

この時、私は重要なことを聞かなかったことに後悔するハメになる。純血種なのかどうかを・・・

紅なんて苗字は知っている純血種にはいなかったから、私の中で貴族としかインプットされなかったのだ。

























「やけに甘い匂いがするわね、この教室は」





そう言いながら登場した私へナイト・クラスの視線が一気に集まる。





「風紀委員がなんの用かな?」





一条拓麻が代表で問いかけてくる。





「ここのクラス長へ伝言よ」




そう言いながら目線を枢の元へ行き、言葉を続ける。

他の生徒はそれぞれのことをしだした。

恐らく、このまま話せば声は枢と近くにいる一条にしか聞こえないだろう。





「今日編入生の『紅 まり亜』って子が来るわ。それだけ」


「遅れてやってくる編入生・・・か。ミステリアスだね・・・犯罪の匂いがする」


「昨日読んだ本の話?」





一条がふざけて言えば、やはり私の声が聞こえてなかったのか、支葵は真面目には受けなかった。





「いや本当に来るんだって編入生が」




バキン!ポキン!




なんの音かと思えば、甘い匂いの原因であるお菓子だった。

そして、その音に反応したのは藍堂。





「あーーーっ!!僕のポッキンチョコ!!玖蘭寮長にもあげようと思ってたのに」





ポッキンチョコっていうのか!?

確かにポキンという音もしたが、支葵が5本ぐらいいっぺんに食べたせいかバキンって音もしたぞ。




「お菓子の持ち込みは禁止にしてるはずよ、藍堂英」


「うっ・・・」


「没収といきたいけど、残念ながら中身は空になったようね」


「あー・・・今日の楽しみが・・・」



「ふふふ・・・クスクス・・・楽しそうなクラスでよかった・・・v」





突然の笑い声と言葉に全員が声の主へと視線を送る。

そこには1人の女の子が。





「ねえ・・・“授業”はまだ始まらないの?」





初めに冷静に戻ったのか、恐れ知らずだっただけだったのか、反応したのは藍堂。





「お前・・・誰だ・・・?」


「・・・おまえ・・・?」




問い返しながらその子は藍堂の前に軽く飛ぶ。

私は心の中で危険信号が鳴り響いていた。

この子は危険だと・・・逆らえないのだと・・・




「ねえ君・・・おまえって・・・私のこと・・・?」





それは藍堂も同じだったのか、背筋が凍るような恐怖が襲っていた。




「新参の方が自ら名乗れば済むことだよ・・・『紅 まり亜』・・・」


「・・・・あ・・・」





枢がそう言えば、紅まり亜はさっきまでの畏怖感を拭いさった。

この子が『紅 まり亜』・・・私のこの逆らえない状況からして・・・純血種?

でも、あの子のオーラは・・・どこかで。。。





「不愉快にさせてごめんなさい・・・玖蘭・・・枢様・・・」





紅まり亜は枢の手を取り、急に乙女へと変貌した。

そして、その手を可愛いものをだきしめるかのように頬へ。




「ああ・・・!!純血の方にお逢いできるなんてまり亜うれしい・・・!」


「な・・・」





ナイト・クラス全員が驚いた。

純血の枢にあそこまで馴れ馴れしくしたのだから。

それは私も一緒で。驚いたのだ。

そして、驚いた空気から、一気に気まずい雰囲気が流れる。

それを察知した紅まり亜は枢から離れ、教室を後にした。





「あ・・ごめんなさい。なんだか私・・・空気を悪くしたみたいね。私はひとまず席を外したほうがよさそうね」








「『紅まり亜』あれが編入生?」


「そうでしょうね、一条も知らない子なら・・・」


「私追いかけてくる・・・」








教室を後にしようとしたら、枢に止められ振り向いた。





「気をつけて」


「分かってる。あの子は普通じゃない」





あの子の気配を追いはじめて5分後。

紅まり亜の近くに零と優姫の気配も感じ取れた。

そして、実際にその場所に行けば、本当に3人でいた。





「私知っているわ・・・貴女みたいなコの血はとても美味しいの・・・」





優姫に囁いていた紅まり亜がそこにはいた。




「紅まり亜!!この学園ではそのセリフは禁物よ!」


「あら・・・あなたは・・・」





私に向けられた瞳はあの人を思い出させた。

・・・・『緋桜 閑』・・・・





















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