、元気しているか?

「うん。元気。ちゃんとしてるよ」

そうか。父さん達も元気だ。新しい学校はどうだ?

「久しぶりに今日テニスしたんだ。楽しかった」

そうか・・すまないな、男装させているせいで部活も満足にさせてやれず・・・

「大丈夫。自分で納得してココにいるんだから。気にしすぎ。ハゲるよ」

ハっハゲっ!?それはヤバイな。にさらに嫌われてしまう。

「ハハハ・・・あっ、そろそろお風呂に入らなきゃ。じゃ、お互いガンバロ」

何かあったら電話しなさい。

「うん・・・ありがと。じゃあねバイバイ」





の部屋から聞こえてきた声はまるでどこか守りたくなるような寂しい声だった。






m a l e - a t t i r e









コンコンッ




「はーい。どーぞ」





丁度、電話が終わってドアがノックされ返事をしたら景吾が扉の向こうから登場した。





「どったの?めずらしいね、景吾が来るなんて」

「ああ。聞きたいことがあってな」

「聞きたいこと?なんか昨日の逆だね」




笑うに景吾は愛しく思えた。

こんな感情、男に抱くものじゃないと心に言い聞かせて、話を続ける。




「そうだな」

「で?何を聞きたいの?」

「なんで選手じゃなくマネージャーなんだ?」

「!!・・・」




の顔は一転して真顔へと変わった。

お互い沈黙が続く。


先に口を開いたのは景吾。




「わりぃ・・言いたくないことだったか」




バツの悪そうな顔をして部屋を出て行こうとする景吾をは思わず引き止めてしまった。




「待って!」




自分でも何を言ったのか。

引き止めてどうするつもりなのか。

自分自身理解できてない




「あの・・・」




静かに言葉の続きを景吾は待った。




「・・・今はまだ言えないけど、・・・いつか、必ず言うから!!」

「・・・ああ、待ってる」




景吾はその言葉と悲しみを含んだ苦笑いを残して部屋を後にした。

対するは罪悪感で一杯になった。



景吾は自分のこと・・・女嫌いのことをためらいもなく話してくれたのに、自分は話せなかったことに。

でも、景吾に言って自分が女だとバレれば男装の意味はなくなる。




ううん・・・それ以前に景吾に嫌われてしまう。




今の私にはそれが一番恐く思えた。

前なら、バレてしまう事事態が恐かったが、今では景吾を好きになっている自分がいて、嫌われたくない事で一生懸命だった。






正直、悲しかった。

俺だけだったのか・・・俺だけと特別な関係だと思っていたのか。

いままでなかった壁が今になってできた気分だった。























今日は休日。部活も休みだ。

なんとなく、と顔を合わせるのが気まずくて、俺は外にランニングに出た。

いつもならジムなんだが、その時は外の空気が吸いたかったんだ。




「跡部じゃないか」




声を掛けてきたのは、不動峰だった。




「あーん?何か用か?」

「相変わらずだな」

「あっ!!」




突然声を上げたのは橘の後ろにいた女。




「どうした杏」




杏・・だと?!

その時、俺の頭の中に電話の“杏”が浮かんできた。




「あなた!あの電話の時の人じゃ・・」

「おい橘、この女は」

「ああ。紹介してなかったな。俺の妹の杏だ」

「橘の妹・・・」




まるで値踏みをするかのように下から上へと視線をあげる。




「あのっ!何か?」

「あーん?声を上げたのはそっちだろうが」




値踏みしたような視線が気に食わなかったんだろう。

しかし、俺はあえてそっけなくした。




「そうですけど!・・・もういいです。ところで最近私と話しませんでした?電話で」

「したなぁ。の電話で」

「やっぱり!!あの後、確認したんですけど、やっぱりアレ先輩の番号ですよ!!」

「そんなこと知らねぇよ。俺様はの携帯を取っただけなんだからな」

「でも・・」




橘の妹はそれでも納得いかないようである。




「杏、というのはのことか」

「そう!先輩のコトなんだけど・・・転校したきり連絡とってなくて、昨日連絡入れたらこの人がとったの」






・・・



どちらもという苗字。

兄弟なのか?




「おい橘の妹」

「何ですか?」

「そのってやつには兄弟は?」

「いませんけど、1人っ子だったはず・・・ねえお兄ちゃん」

「ああ。それは確かだ」

「そうか」




兄弟の線も消えた。




「跡部は知らないのか?を」

「あーん?知るわけねぇだろ」

先輩はテニス界のマドンナって言われるぐらい綺麗なんですよ!」

「テニスは顔じゃやっていけねぇんだよ」

「そんぐらいわかってます!!」

「それに、俺様は女子テニスなんて興味ねぇ・・」

「それが、跡部。は全国大会でも上位の人物なんだ。俺も1度戦ったことがある。
 その時は時間がなくて決着は着かなかったが、俺と同等・・いやそれ以上の腕があったと言っても過言じゃない」




橘でさえ手こずる女か。

1度戦ってみるのもアリかもな。




「ところで、橘はの方は知らねぇのか?あいつ、元は不動峰だと言っていたが」

?・・・いや、知らないな」

「テニス上手い奴だったんだがな。部活はしてなかったらしいぜ」

「部活をしてなかった?それは変だな・・・」




どういうことだ?

部活をしてないだけで変だと?




「不動峰は部活必須なんです。特別な理由がない限りは部活をしなきゃいけないはずなんですよ」




部活しないといけない・・・?

確かには「部活してなかった」と言ったはずだ。

嘘をついているのか?それとも、特別な理由の中に入っているのか?






、一体お前は何を隠しているんだ

俺はお前の全てを知りたいと思うのに・・・

















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