目の前にはまたフラッシュ。
少し目を細めながらテーブルへ足を進め、椅子に座る。
『では、これより跡部グループ・グループによります記者会見を行いたいと思います』
その言葉を聞くと同時にザワザワしていた会場も沈黙を始めた。
☆発表☆
『それでは、まず、グループ社長よりどうぞ』
私は座ったまま挨拶を始めた。
「皆様はじめまして。私、グループの新社長として勤めさせて頂いていますです。
皆様もご存知の通り、私の両親が事故に遭い、残念ながら先日この世を旅立つ結果となり私が引継ぎをしております。
恐らく、皆様も私が誰なのか疑問にお持ちでしょうからそこから説明させていただきます」
養子として出ていたことからほとんど全て話した。
そして、話を終えたところを見計らって、司会が進行を進める。
『では、続きまして跡部グループ社長よりどうぞ』
「皆様、本日はお集まりいただき感謝します。では、早速ですが今回メインとなりますお話をさせていただきます。
我々跡部グループとグループは本日を持ちまして合併することになりました」
今まで静かだった記者達がざわめきだした。
そして、質問の嵐。
『またどうしてですか?跡部とはライバルでは?』
「ライバルでした。しかし今後はお互い協力し、1つになろうという結論になりました」
『合併後のグループの名前は?』
「合併後は跡部グループとなります」
『では、合併ではなくグループを跡部グループが取りこんだと思ってもよろしいんでしょうか?』
「それは大違いですね。我々跡部とは同等の会社でしたから、我々が取りこむなど不可能なことでした」
『それでは何故、跡部グループと?は入れないんでしょうか?』
「簡単な話です。グループ社長は今18歳。そして我が息子も18歳。この2人が結婚する為、跡部グループとなったのです」
景吾のお父さんが記者に対して淡々と答えていく。
そんな中、ざわめきは収まらない。
そして、“結婚”というキーワードをきっかけにさらにフラッシュとざわめきが増す。
『政略結婚ということでしょうか?』
「いえ、2人はお互いを思い合っています。実際、合併の話は2人が付き合っていた為に進んだ話なのです」
『では、跡部グループとグループは結婚する為に合併するのでしょうか?』
「はい」
『結婚のご予定はいつ?』
「結婚は今週します」
『2人は学生では?』
「私の息子の景吾は学生です。しかし、グループ社長は先日学校を辞めた為、学生ではありません」
『辞めた?なんででしょうか?』
「グループ社長は素晴らしい方です。会社に力を入れるため、学校をお辞めになった」
私に対してのフラッシュが増した。
耐えきれず手を目の前にかざした瞬間、景吾が初めて発言した。
「少しカメラの方を控えていただきたい。グループ社長は人前に出るのは初めてな為フラッシュには慣れていませんので」
景吾の言葉をきっかけにフラッシュが減っていく。
でも、なくなることはなかった。
そして1人の記者がさっきの私の動作であるものを見つけた。
『グループ社長に質問です。現在されている指輪は婚約指輪でしょうか?』
「・・・・」
返事に迷う。言っていいものだろうか。
私は景吾と景吾のお父さんを一目見た。
すると2人とも軽く頷く。
「はい。婚約指輪としていただいたものです」
『それでは、もう1度見せていただいてもよろしいでしょうか?』
「かまいません」
そう言って手をかざす。
フラッシュがたくさんたかれていく。
気分が悪くなって来た・・・
すると、景吾が気付いたのか、景吾は自分の父に耳打ちをして秘書を呼び寄せた。
秘書はそのまま司会の元へ。
司会は頷くとマイクをオンにした。
『最後1つだけ質問を受け付け、本日は終了させていただきます』
それを合図に我先にとたくさんの手が上がる。
その中、1人当てられ口を開いた。
『結婚式はどこでいつ?』
「申し訳ありません。それはお答え兼ねます。結婚式は身内のみで行いますから」
『では、以上で跡部・グループの合併記者会見を終わらせていただきます』
景吾はすぐに席を立ち、私の元へ来てくれた。
そして立ちあがるのをサポートしてくれる。
「大丈夫か?」
「大丈夫。ごめん・・」
ざわめきの中、本当に小さな声だったけど聞こえた景吾の声。
周りはフラッシュの嵐。
今の私達は記者にしてみればいいショットなのかもしれない。
初めて2人がくっついているのだから。
その日は景吾の家で過ごすことになった。
私の家の方も景吾の家の方も記者に囲まれていて出れる状況じゃない。
そして、今日は私達のニュースでもちきりだった。
今考えてみれば全国の人が見ているんだ・・・
案の定、友達からのメールが殺到。
「っての養子なんてビックリ!でもはだもんね!」
「ってすげーんだな」
「いつもと違う顔だったからビックリ!!私はいつもの笑顔の方が好き〜♪」
「の幸せ者〜」
「がんばれ!」
などたくんの励ましとかのメールが送られてきた。
一生懸命メールを返す。
「メールとにらめっこか?」
「友達から来てるから返してるの」
「んなもんわざわざ返さなくてもいいだろ」
「そんなわけいかないよ。大事な友達だもん。あっ、忍足からも来てた」
「忍足からだぁ?消せ!」
「いいじゃん」
「消せ!今すぐ消せ!!あいつ今度締め上げてやる」
私は景吾の嫉妬の姿を見て笑っていた。
なに笑ってんだよ。って怒られたけど。
来週結婚式がある。
その日を以って私は跡部になる。
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