私には歌う理由がある。

もちろん歌がスキっていうのもあるんだけど、じつは13歳の中学1年時・・・








☆Old little event〜昔のちょっとした出来事〜☆








『永遠なんてない そんなこと分かってる

 でも今は希望を 見逃さないで・・・


 運命なんて 自分の足で 初めて開かれる

 季節が 通りすぎていく まるで車のように

 風だけかんじながら』






ガチャ





私は病院の屋上で歌っていて、誰かが屋上に上がってきた。

屋上は滅多に人が入ってこないからお気に入りだったの。




「おい、お前」

「私ですか?」

「ああ。今誰か歌ってただろう?知らないか?」




声からしたら、私より年上かな?

私は声の聞こえた方を振り向いて首を縦に振った。




「知ってます。と言うより私でしたから。もしかして迷惑でしたか?」

「いや、俺がココに来た途端歌うのを止めたからな。俺の方が迷惑かと思ったぜ」



・・・・



「歌」

「えっ?」

「歌わないのか?」

「でも・・・恥ずかしいですね。誰かいて歌のは初めてですから」

「いいから、歌え」

「はい。じゃあ失礼して」




私は深呼吸を1回してまた歌い始めた。




『永遠なんてない そんなこと分かってる

 でも今は希望を 見逃さないで・・・


 運命なんて 自分の足で 初めて開かれる

 季節が 通りすぎていく まるで車のように

 風だけかんじながら


 いつから追うのをやめたんだろう

 いつから見失ってたんだろう


 見捨てないで 置いてかないで・・・

 1人で歩くこと恐れて 1人で生きることに恐れてた』




私はとりあえず、覚えてるところまで歌った。

歌い終えたら拍手が聞こえはじめた。さっきの男の人かな!?




「いい歌だな。声もいいしな」

「そんなことないですよ。でも、ありがとうございます」




男の人はしゃべりながら私の横に来るのがわかる。




「お前、名前は?俺は景吾だ」

です」

か。お前はココに入院してるのか?」

「はい。産まれつき目が見えてなくて・・・。今度手術で助かる方法が見つかったそうなんです」

「お前っ!目見えてねえのか!?なのに、俺の方を見たりしてたが・・・」

「産まれつきですからね。声や足音で居場所が分かるんですよ。ちなみに景吾さんの年齢は恐らく15〜20ってところですか?」

「残念だな。13だ」

「13!?私と同じ歳なんですね。声がすごい大人っぽいからてっきり年上の方かと・・・ごめんなさい」

「いや。かまわねぇ」





それ以来、景吾さんと私はよく屋上で会うことがあった。

会うことが当たり前のように化したある日。




「景吾さんって入院してるんじゃないんですね!?」

「ああん?俺は入院はしてねえよ。それより、。そろそろ呼び捨てにしたらどうだ?」

「そんなっ!」

「どうせ、同じ歳だろ」

「じゃあ・・・景吾」

「それでいいぜ」




そういうと、景吾の足音が近づいてきて私のおでこにキスを落した。




「顔真っ赤だぞ」

「景吾のせいじゃないですか!?」

「そう怒鳴るな。そうだ、敬語もやめろよ」

「努力します」





ガチャ・・・





ちゃーん?」

「あっ、はーい」

「病室に戻ってね。大事な話があるから」

「わかりました」




私は、そう返事すると景吾に向きなおして、




「今日はこれで失礼しますね」




礼をして屋上を去っていった。








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「あら?跡部様の・・・」

「あん?誰だテメェ」

「ここの看護師長をしている者です。ちゃんとは友達だったんですか」

「ああ。あいつ目見えてないんだろ?」

「ええ。でも、今度見えるようになります。アメリカでの手術になりますけど・・・
 予想以上に難しい手術になるそうです。成功率も50%と低いみたいですし。コレ以上はプライバシーのため、
 跡部様でもお教えできません」




そう言い残すと師長は病院に入って行った。

あいつとは2度と会えない予感がした。

その予感が外れてくれることを願った自分がいた。

一目見ただけなのに。

少し話しただけなのに、どこかに見えるあいつの強さに惹かれたのかもしれない。

心の中に浮かんだ考え。でも、俺はそれを否定した。

俺様が女に惚れる?そんなことあるわけねえ・・・と。













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