「残念ですわ・・・自粛なんて・・・」
ホスト部=第3音楽室ではそんな言葉が色々なところで聞かれる。
それは、自分のお客様も論外ではなく。
☆ハニー先輩のバレンタイン(2)☆
「くんは、チョコ好きでしたの?」
「まぁ、それなりに好きですよ。甘いものは疲れを取るとも言われますしね」
「残念ですわ。。。」
「俺はその言葉だけで十分ですよ。ありがとうございます」
「くん///」
少しは手を上げたでしょ。私も。
「。ハルヒはどうしたか知らないか?」
「いいえ。知りません・・・」
「そうか・・・」
接待中に鏡夜さんが話しかけてくるのはよくあることで、最近ではその姿がお客様にうけているという。
いわゆる光と馨?
まぁ、それとは違うってお客様は言うけど・・・
じゃあ何?って聞くけど教えてくれない。というか、言葉であらわせられないそうだ。
私もハルヒのことを聞かれて、気になったので、お客様にお断りをして席を立った。
そして、鏡夜さんの下へ行くと、ちょうど馨達に聞いていた。
「ハルヒはどうした?」
「図書館寄るって」
「えっ!?馨、ハルヒそんなこと言ってたっけ?」
「さっき言っていったからは知らないはず」
どうりで・・・
「じゃあハルヒ迎えにいってくる!どうせ勉強か本読んでいて時間忘れているだろうから」
「そうか・・・じゃあ頼んだぞ」
「はいっ!!」
私は鏡夜さんの笑顔を見て、私も笑顔を返して音楽室を出た。
向かう先は図書室。
それには近道で中庭を通る。
その中庭を歩いていると、ハルヒの姿が見えた。
「ハルヒ・・・?」
ハルヒは一生懸命庭を眺めていた。
目線の先を追うと、そこにはモリ先輩と女子生徒が。
いわゆる告白というやつだろうか。
ここでは私もやはり女子。
興味がないわけではない。
心の思うまま私はハルヒと共に覗いた。
−2月12日−
お菓子断ちから2日目。
ハニー先輩の猛攻撃がはじまった。
お菓子のための作戦だ。
●ハニーおねだり作戦 その1 『かわいくアピール』
「たーかしっv僕虫歯治ったみたい!!」
「・・・そうか」
そっけない・・・
「腫れも引いたし!!」
「・・・そうか」
また?!
「だからね〜〜いっこだけ〜〜」
「・・・光邦」
そう呼んだ瞬間!
モリ先輩はアイスをハニー先輩の口へ。
ハニー先輩は声にならない痛みを感じた。
そりゃそうだ。冷たいものを虫歯に当てられたらキーンと痛いはず。
「完治には遠そうだな」
モリ先輩ってハニー先輩だけには優しいかと思っていたけどどうじゃないんだ。。。
そして、色々続く作戦を目にしてきたが、作戦は見事失敗に陥っていった。
−2月13日−
ブラックモードのハニー先輩登場です。
正直恐いです・・・
イライラ感がこっちにまで。。。
「・・・誰か話しかけろよ・・・」
「じゃあそういう馨が話しかけたら?・・・」
「えっ!?ヤダ。コワイよ・・・」
「確かに・・・じゃあ光」
「行けばいいだろ」
「いや。私も同じでコワイもの」
「素でダークモードが拝めるとは思わなかったネ」
そんな話をしている間にもハニー先輩はお菓子を探していたらしく・・・
それに1番に気が付いたのは光だった。
「あっお菓子の棚に!!」
でも、そんなことはお見通しの鏡夜さん。
「安心しろ。中は空だ」
そして、その代わりに環さんの熊が入っていて、見事に投げられた。
「ああ!俺のくまちゃんが!!!」
「殿ガマン!!」
「そうですよ!馨の言うとおり我慢です!!」
コテン。。
音の方を見れば、ハニー先輩が倒れた。
「あっ息絶えた!!」
「3日でギブか・・・意外ともったな」
「鏡夜さん・・・」
意外とって・・・
もたないって分かってたんですか・・・
環さんは代表でハニー先輩の下へ。
「ハ・・・ハニー先輩・・・?」
ガブッ!!
あっ、手を咬まれた。
「ハニー先輩、それお菓子じゃありませんよっ!!」
叫んでも聞こえてないらしい・・・
全く離す気配なし。
「・・・光邦。人や物にあたるな。見苦しい」
「崇の・・・ばかあっ」
「「「「「!!!!!」」」」」
綺麗に一本背負い。
モリ先輩が投げられた・・・
「ちょっとぐらいいーじゃん!!けちんぼ!!石頭!!ハゲ!!崇なんか・・・っ」
「ダメですっ!ハニー先輩!!」
「崇なんか大っキライ!!」
言っちゃった。。。
後悔する言葉を・・・
「・・・大丈夫か?」
「・・・はい。大丈夫です。さすがに卒業しなければ。後悔してももう遅いですから・・・」
私が唯一後悔する言葉。
“大嫌い”
昔、祖母に言ってしまい、祖母はその後事故で亡くなった。
私の最後の言葉は“大嫌い”・・・
それだけがすごく後悔してしまって、私は祖母の墓の前で謝り続けたのを覚えている。
ハニー先輩は音楽室を出て行った。
そして、見事にダメージを受けたモリ先輩。
「んなヘコむんなら最初からあんな嫌われるよーな行動ばっかとらなきゃいーのに」
「馨、そうだけど、モリ先輩だってそれぐらいわかってるでしょ・・・何かあるんじゃないの?」
「じゃあは分かるの?」
「・・・わかんない」
「ダメじゃん」
「うるさいわね。分かってたら苦労しないわよ」
「・・・わざと?」
最後に呟いたのはハルヒ。
その言葉を聞いて私は今までのことを振り返ってみた。
そしたら1つの答えに辿り着いた。
モリ先輩は自分に何か罰を下したかったのかもしれないと・・・
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