「わざと?」
その言葉をきっかけに1つの答えが出てきた。
それは、ハルヒも同じだったようで。
☆ハニー先輩のバレンタイン(3)☆
「モリ先輩ってもしかして・・・わざとハニー先輩に嫌われようとしてたんじゃないですか?」
「んなワケないじゃん。ハニー先輩に嫌われるなんてモリ先輩にとっちゃこの世の終わりみたいなもんなのに」
「う〜ん、例えば・・・モリ先輩はハニー先輩の虫歯を自分のせいかと思ってて・・」
「モリ先輩、教えてください」
みんなが聞きたかったことを、私ははっきりとモリ先輩にぶつけてみた。
すると、ちゃんとモリ先輩から言葉が紡がれた。
「俺のせいだ。光邦の虫歯は俺の不注意だ。・・・昼寝の前に歯磨きさせるのを二度程忘れた・・・」
「えっ!?そんなのモリ先輩の責任じゃ・・・ないんじゃ・・・」
「私も馨と同じでそう思ったんだけどね・・・でも、モリ先輩らしいというか。。。なんというか・・・」
「・・・」
「モリ先輩?」
「総入れ歯になったりしたら・・・」
そんぐらいで・・・なんて思ったのは内緒で。
「光邦に投げ飛ばされるくらいじゃないと俺の気がすまない」
「・・・あの女の子の申し出を断ったのも?それも自分に罰を与えるために・・・?」
ハルヒが言ったあの女の子とは、以前私がハルヒを図書室まで迎えに行った時に偶然見た場面のことだろう。
「バレンタインの自粛の件は伺いました。でも私・・・どうしても銛之塚くんにチョコを受け取って頂きたくて・・・
気持ちを受け入れてもらえないのはわかってます・・・だからせめて・・・せめてチョコを受け取って
もらえたら諦められるからーーーー・・・」
「・・・無理だ」
その時、同時に浮かんだハニー先輩を見に行った時の馨の言葉。
「ガッカリしているとしたら殿と・・・ああ、あとはアレか。モリ先輩ファンの子かねーーー
モリ先輩ファンは内気な子が多いからネ。しかも相当本気になっちゃうケースが多くてさーー
いつもならチョコを受け取って、せめてもの気持ちをくんでやるのがモリ先輩流の断り方ってわけ」
モリ先輩はやさしすぎる。
だから、女の子を断った時は驚いたけど、でも今なら分かる気がする。
女の子を傷つけることで自分も傷つけたかったのだと。
あまり経験のないモリ先輩には精一杯なやり方だったんだろう。
「・・・だそうですよ、ハニー先輩。どうしましょうね?」
しっかり覗いていた、環さんとハニー先輩。
ハニー先輩は目一杯に涙を浮かべていた。
「わああん!!!ごめんね崇ィ〜〜〜!!!僕もう歯磨き忘れないよォ〜〜〜!!」
「よかったですね、モリ先輩」
「??」
モリ先輩は何がなんだか分かってないようだったが、あえていい場面なので私はほっとくことにした。
「「ひょっとして殿も気付いてたワケ?」」
「ハイハイ。では皆の衆、至急明日バレンタインの準備を!!」
「「ハァ?何言ってんの?今からじゃ誰もチョコなんて・・・」」
「言わなかったか?俺はフランス紳士だぞ?とすれば無論!!」
「男から女へ!ですね!」
「さすがは!分かってるじゃないか」
その後は、部屋のセッティングに花の注文と鏡夜先輩は忙しそうだったけれど、帰りには一緒に帰ることができた。
「お疲れ様です」
「本当だ」
「鏡夜さんでも予想のつかないことがあるんですね」
「俺だってパーフェクトじゃない。のこともな」
「そうかもしれませんね。女は秘密を持つことで綺麗になりますから」
私はそういうと、カバンから箱を取り出して鏡夜さんに差し出した。
「違反になっちゃいますけどv」
「いいんじゃないか。自粛も解けたことだしな」
「そうですねvでは改めまして、好きです鏡夜さん。受け取ってください」
「ありがとう。俺も好きだ、」
「照れますね」
たぶん、今真っ赤になってるのを鏡夜さんが見逃すわけもなく・・・
「いつまでもそのままのでいてくれ」
「はいっ」
−次の日−
「どうぞ」
「わぁ〜vすごいw」
「今回は欧米式のバレンタインです。お客様には薔薇を」
「キャvありがとう君」
「いえ。楽しんでくださいね」
1人1人とお客様と接していく。
時々目の合う鏡夜先輩とは笑顔で交わす挨拶。
幸せな時間がどんどん進んでいく。
後日、山ほどのチョコがハニー先輩へと届けられた。
もちろん、ハルヒと私も虫歯完治のお祝いに2人で手作りチョコを作ってあげましたv
next[環の本性を・・・編]
※パラレルストーリーはヒロインを入れ込むのが難しいので飛ばさせていただきます。ご了承ください。