6月。

祝日もなく、とりたててイベントもない雨の季節。

問題を起こしたのは珍しく彼女でありました。




「あ、やってしまった・・・」




目の前に張り出されていたものは1学期中間試験の順位。









☆コンプレックス(1)☆










「ハハハ」

「笑い事じゃないよ・・・」

「だってハルヒが成績落としてるんだもん!」




じつはハルヒは今回3位という成績を残したのだ。




「「「「「何ィ!?ハルヒが首席から落ちた!!?」」」」」

「ハァ・・・」




案外あっさりとしているハルヒ。




「それはそれは・・・ご愁傷様とでも言うべきかな」




2年首席の鏡夜さん。相変わらず我関せず。




「ハルちゃんドンマイだよ〜〜〜!!」




3年首席のハニー先輩。すごい心配そう・・・




「つーか3番でもジューブンじゃん。イヤミかおまえ」

「そーそー。成績いいからって『アホじゃない』っつー証明になるとも限らないしー?」




1年4番5番の馨と光。成績まで仲良しって・・・




「じゃあ成績良くてアホな人っているの?」

「「例えばあーゆー人とか」」




双子が指を指した先を見れば何か探しているのか、ダンボール(私物入れ)を漁っている環さん。




「環さんって頭いいの?」

「環は俺の次だ」

「じゃあ次席!?マジ・・・」




ごめんなさい。信じられません。

ただでさえ、理事長息子っていうのも怪しかったのに・・・

で、噂の的になっている環さんはというと、相変わらず何かを漁っている。




「ない!!ない!!」

「どうしたんですか?何か探し物ですか?」




顔を覗きながら聞いてみれば・・・




「俺のシャーペンがない・・・!!」

「旅に出たのかねえ」

「シャーペンぐらい・・・」






「大体お前が順位気にするなんて意外ー」

「別にいーじゃん。退学になるわけでもなし・・・」

「退学にはなるぞ?特待生の条件は首席キープだからな。もしくは次席だな。
 当然追試だし、そこで挽回できなければ最悪退学だろうな」

「じゃあも?」




私も今回TOP10にさえ入ってない。

というのも受けなかったから。というか、家の事情で受けれなかったから。

おかげで次のテストまで特待生じゃなくなっちゃうわけ。




「今回は特待を辞退させてもらったから、ちゃんとお金払ってるよ。だから問題はハルヒだけ」

「ハルヒィィィ!!!大丈夫だ。おまえなら追試も乗り切れる!!お守りに俺のシャーペンをと
 思ったがないのでコレを!!」





コレとは、環さんの大事にしているくまさんの人形だった。




「そんなうつろな目のお守りいりません」

「冷たい!!冷たいぞハルヒ!!!」




私の目にはいつものようにみえるのだけど・・・




「どうせ俺が理事長の子なのを隠してたと思って怒ってるんだろう!!
 そんなのおまえが悪いんじゃないか!!知ってると思ったもん!!」

「イヤほんと、それに関しては自分の愚かさを呪いこそすれ、まぁ正直どうでも良いのです」




うわぁ。冷めてる〜。




「ところで、ハルヒ原因は分かっているの?」

「原因?・・・ああ。試験の方も敗因は分かっているので追試では気をつけます」

「で?何が敗因なの?」

「後で埋めようと思って空欄にしていたところを埋め忘れた」

「ハルヒらしいよ・・・ほんと・・・」

「それで・・・勝手なお願いで申し訳ないのですが追試まで3日間、部を休ませて・・・」


「「「「「どの先生をご指名かな?」」」」」




環さんをはじめ、鏡夜さんと私を抜いたメンバー全員がハルヒの家庭教師を狙っていた。




「常陸院先生はハルヒより成績がお悪いのですから辞退願えませんかねえ?」

「「イヤイヤこういうのは本人との相性が重要なんですよ須王先生」」

「ハルちゃん数学なら僕が教えたげるよ〜〜〜v」

「歴史・・・」

「さあ選べハルヒ!!家庭教師をお願いしたいんだろう!?さっさと先生を選ばんかーーー!!!!




めっちゃ追い詰められているハルヒ。

ここは一つ助け舟を・・・




「じゃあ私がしよっか」

「「「が!?」」」

「だって環さんが言うハルヒより成績が悪いっていうのも私はハルヒと同じだから問題ないわけだし。
 双子が言う相性だって女同士だし、なにより仲良しだから問題ないじゃん。
 だから、ここは私がしたほうがねっ!?」

「「「うぅ・・・」」」

「なんてね。私も今回の追試を受けるからハルヒに教える暇なんてないしvそれよりも、私と一緒に鏡夜さんに教わる?」




私はずっと鏡夜さんに勉強を教えてもらっている。

だから、追試に際しても教えてもらうことになってたのだ。

でも、ハルヒはちょっと顔がひきつっている。




「いや・・・2人の間に入るのはいくら自分でも・・・」

「そう?鏡夜さん、誰かいい方いません?ハルヒに勉強教えられそうな人なんですけど・・・」

「ハァ・・・しょうがないな。1人紹介しよう」

「本当ですか!?あ・・ありがとうございます」




よかった。ハルヒも喜んでくれている。

明日からハルヒの勉強が始まる。

まぁ、私もなんだけど。


99%大丈夫だと思われる追試だけど、油断大敵。

明日、どの方が来るのか楽しみですね。

















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