鏡夜さん達と合流してたくさんの生き物に出会いました・・・・

ワニ、ピラニア、サメ、人食い花など・・・

日本に生息しているか不明な生き物ばかり。

しかも全て危険なもの・・・








☆鳳アクアガーデン(2)☆








「・・・なるほどワニの放し飼いは極めて危険・・・と
 ピラニア池も要考慮。流水プールのレバーの場所も問題アリか・・・」

「鏡夜さん?」

「礼を言おう。いいデータがとれたよ」

「もしかして、まだ試作段階なんですか?」




おそるおそる聞いてみると、笑顔が返ってきた。




「ああ。言ってなかったか?アトラクションは試作段階のものが多くてね」

「「「「言ってませんっ!!」」」」









「にしても・・・大体どこなんだココは・・・」

「ジャングルって感じですね・・・環さんも怖いんですか?」

「怖いってもんじゃないだろ」

「そうですよね・・・やっぱり・・・」

「ここなら南亜熱帯ゾーンだろうな」




そう説明しながら鏡夜さんは時計を見た。




「そろそろ・・・」




鏡夜さんは呟きながら私の肩を抱き、小屋っぽいところへ歩き出した。

そして、屋根がある部分に着いた途端大雨が降り出した。




「スコール体験サービスの時間だ」




他のメンバーを見るとびしょ濡れ。

ハルヒなんか水着じゃないから服がビッショリ。

重たそうになっていた。

帰る前に着替えを貸してあげなきゃね。




「鏡夜さん、地図とかないんですか?」

「ああ。ここにあるぞ」




そう言って鏡夜さんは地図を取り出した。

それにツッコムのはハルヒなわけで・・・




「鏡夜先輩、あるなら初めから出してくださいよ・・・」

「とにかく、これでハニー先輩の行った方向が分かったわけですから、効率よく行きましょうよ」




スコール体験サービスも終わり、今ではカラッと晴れていた。

地面に地図を広げて全員で囲んだ。

そして環さんを中心に話が進む。




「我々の現在地がおそらくここでハニー先輩が流れ着くと予測されるのがこの2ヵ所。距離にして約3キロ!!」

「ふと思ったんですけど・・・」

「なんだ?隊員」




隊員!?

ノリノリだよ。。。環さん。

私は気にせず話を続けた。




「私達も流されればハニー先輩と同じところへあっという間に行けたと思うんですけど…」

「「「「・・・・」」」」

「何故それを早く言わない!!」

「今思いついたんです」




環さんが私の提案に対して納得してくれたのか思いっきり叫ばれた。




「では、全員飛び込む準備はいいか?」

「もうムリだ」

「えっ?」




ムリ宣言をしたのは鏡夜さん。

皆鏡夜さんを振りかえった。




「なんでムリなんです?」

「さっきのレバーが壊れて水の勢いが止まった」

「ようするにもう流れるプールじゃないと言う訳ですね?」

「そういうことだ」




マジですか・・・

せっかくの提案も水の泡。




「しょうがない。地面を行くか。
 いいか、これはサバイバルだ!!我々はこの密林を無事脱出してハニー先輩を救出しなければならない!!
 効率よく二手に別れよう。モリ先輩チームとキング君チーム!!俺と共に行くという勇気ある人間はこの指に・・・」




シカト・・・

そしてモリ先輩についていく。

ハニー先輩の場所ならモリ先輩の野生の勘で分かりそうだし。

失礼だったかな?

でも、二人はいつも一緒だから・・・




私達がシカトして歩いてるのに気付いた環さんは走ってこっちに来た。

結局1人は嫌いなんだよね、環さん。

全員で行くことになったし・・



私の目の前をモリ先輩が歩いていた。

モリ先輩の後ろだと安心できる。

守ってくれそうだし。



そう思っていたら急に目の前からモリ先輩が消えた。



えっ!?魔術?

ふとそんなことが頭をよぎったが、すぐに現状を理解した。

溝にモリ先輩の片足がハマったのだ。




「わー!!モリ先輩が溝に!!」

「あたかも殿のようなドジを!!」

「殿のごとしヘマを!!」

「ナヌッ!?失敬な!!」




上から光・馨・光・環さんの順だ。

確かに失礼な内容だけど、否定できない内容でもある・・・

ごめんさい、環さん・・・




「心配なんだね・・・」

「ハルヒ?」




ボソッと呟いたハルヒ。




「ごめん、聞えた?」

「うん。でもよくは聞えなかった」

「あんなに動揺してるモリ先輩初めて見たから、よっぽどハニー先輩が心配なんだなって思って」

「そうかも・・・」




さすがハルヒだな・・・

周りをよく見ている。

冷静なハルヒはこういう時鋭い。




「そうか。幼馴染とか・・・」

「「従兄だよ」」

「えっ」




ハルヒの思ってたことに突っ込んだのは常陸院ブラザーズ。

ちゃっかり聞いてたのね・・・




「銛之塚は代々埴之塚に仕えてきた家柄でね」

「つっても二代前の婚姻で親戚になったわけだし主従関係なんてとっくに風化しているはずだけど」

「それでもモリ先輩が常にハニー先輩についてんのはさ」

「“血”が騒ぐんだろうな・・・モリ先輩の中に古代より流れる家臣としての血が――・・・」




鏡夜さん、光、馨、環さんが説明してくれた。

そして自分で説明しながら感激している環さんを見て私の感動的な場面が一気に崩れた。

いつも最後はかましてくれるよ。この人は・・・


ハルヒはこの話を聞いてどう思っただろうか。

私にはハルヒの気持ちは分からないけど、モリ先輩のところに行って励ましていたハルヒを見て感動したんだ。と思っていた。




ピロピロピロ・・・



私の横に立っていた鏡夜さんの携帯が鳴り出した。




「ああ俺だ。いや・・・少々面倒な状況でね。先輩が行方不明なんだ。・・・流水プールからだ。
 ・・・ああ、そうだな。お願いする。・・・特徴は小さい。もちろん男だ。・・・ああそれじゃ至急頼む」




ピッ。




「誰からですか?」

「ここの管理者だ」

「ハニー先輩のこと言ってたみたいですけど・・・」

「捜索チームが出動してくれるそうだ。俺達が探すより的確だろう。ゲートに戻って待機を・・・おい?」




鏡夜さんは私から視線を環さん達に持って行き、話が止まった。

なんでも、環さんが1度も「水着を見たい」と言わないからとかで双子がからかっていたのだ。

で、鏡夜さんの話を聞いていなかったというわけ。




「ところで、モリ先輩とハルヒは?」

「いない・・・」




初めに気付いたのは鏡夜さんだった。













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