あれからハルヒの弱点を調べるべく、色々してた。
たとえば、高所恐怖症を疑ってみたり。
暗所恐怖症だの先端恐怖症だの閉所恐怖症とか・・・
高所恐怖症は私で、閉所恐怖症はハニー先輩じゃないか。
☆××先輩のプライベートビーチ(4)☆
『君は海は好きですの?』
「はい。綺麗ですよね。あっ、皆さんももちろん綺麗ですよ」
笑顔で返せば、真っ赤な顔が返ってくる。
こんな時、正直罪悪感をかんじることもある。
だって、みんなを騙してるわけだから。
「お?」
「なんだ。ビーチにでれんのかー」
なんでも猫ヶ岩は一般道路に繋がってるとは聞いていたけど、こうも人が入ってくるとは・・・
しかも、いかにもナンパしそうな男3人組み。
どうせ、ココで行き止まりだからすぐに帰るだろうと、海を眺めなおした。
『きゃ?』
「いーじゃん。遊ぼーよ」
「こっち女ばっかでつまんないでしょー?」
『困ります。ここはプライベートビーチで・・・』
「何ソレ?お嬢様ってヤツ?おもしろそーじゃん一緒に・・・イデッ!」
急に何かが飛んできた。
よく見るとそれは海の幸で(タコやウニがあった・・・)。
投げたのはハルヒみたい。
さすが怖いもの知らずだよね。
正直言うと、私はどうすればいいか迷ってた。
怖いっていうのもあったし、でも、ここでは私は男という立場。
みんなを守らなきゃって思った。
そんな中、ハルヒは何も恐れずに海の幸を投げつけてきたのだ。
本当、すごいよ。ハルヒは・・・
「離してくれませんか。嫌がってるでしょう。迷惑だと言ってるんです」
『ハルヒくんっ・・・』
「・・・っんのガキ・・」
男たちがハルヒに向かって行った。
私の中で何かが弾けた。
「さっきの話きいてなかったわけ?あんたらさ、迷惑なの。男3人で卑怯だと思わないの?」
「あ゛ー??」
3人の意思逸れたかな?
そう思ってたら案外むこうも賢いみたいで、メンバーのうち1人がこっちに来た。
1人はハルヒを捕まえたままで、あと1人はタコに捕まっててそれを剥がすので夢中みたいだったけど。
「なんじゃこの細っこい腕は」
ハルヒを掴んでる男が言った。
すると、私を掴んでる男も腕の細さに気が向いたのか、私の腕を掴み上げながら言った。
「こっちもだぜ〜。なんだよ、やっぱり金持ちのお坊ちゃんは貧弱なのか〜?」
「女みてーなくせしてかっこつけてんじゃねーよ。ガキは大人しく海水浴でもしてろっつーの!!」
「「ハルヒッ!!!」」
『『キャアア・・環様!!ハルヒくん!!』』
最後の言葉と共にハルヒが殴られ、海に落ちた。
それを走ってきた環さんが追いかけるようにして飛び込んでいった。
「許さない。絶対に許さない」
「お前も同じ目に合わせてやろうかっ!」
そう言って私の腕を掴んでた男が殴ってきた。
『くんっ!!』
私はお客様を心配させないよう、お客様に向かって笑顔を向けた。
心配そうに見ているお客様。
駄目だな。。。あんな顔させたらホスト失格なのに・・・
「あんたの力そんなもんなの?」
「テメェっ!!」
そう言ってもう1発殴ろうと拳を上げられた。
私はその衝撃に備えて目を硬く瞑った。
しかし、いつになっても衝撃はこなくて、目を開けると鏡夜さんと双子、モリ先輩やハニー先輩がいた。
「よくも、俺の部員に手を出してくれたな」
鏡夜さんから暗いオーラがでていた。
よく見ると、既に残りの2人はモリ先輩とハニー先輩に捕まっていた。
それを気づいたのか、または鏡夜さんのオーラに負けたのか、私を掴んでいた腕から力がぬけ落ちた。
それから、男たちは見事に御用となった。
海岸に駆け寄ると、ちょうどハルヒと環さんがあがってきた。
ハルヒは環さんによって抱えられていた。
「ハルヒッ!環さんっ!!環さんごめんなさいっ」
「・・無事か?」
「はい。ごめんなさい・・・」
謝るしかなかった。
自分で守れると自意識過剰な行動をとってしまった故にこんなことになるなんて。
「・・・あいつらは?」
「身分証を預かって丁重にお帰り頂いたよ」
「そうか。鏡夜、光と馨もお客様をホテルにお送りする手配を。ハニー先輩は猫澤先輩に医者を呼んでもらって」
「大丈夫です。医者なんて・・・」
ハルヒは環さんの腕の中からモリ先輩の腕の中へ移動した。
そして、環さんはハルヒに問いかけた。
「お前はアレか?実はハニー先輩みたいに有段者だったり、飛び込みで入賞経験でもあるわけか?」
「は・・・?」
「それじゃ何?俺たちが近くにいんのに呼びもしないで。女の自分ら2人で男3人も何とかできるってどうして思うわけ」
「男とか・・女とか関係ないじゃないでしょう?あんな所に居合わせてそんな事考えてる暇なんて・・・」
「ちょっとは考えろ!!馬鹿!!」
「迷惑かけたのは謝りますけど、それ以外で怒られる意味がわかりません。間違ったことはしてない!!」
「・・・・そうかよ。それなら勝手にしろ!!間違いを認めるまでお前とは口をきかん!!」
そう叫ぶと環さんは離れていった。
そのまま離れて行くと思えば、チラチラハルヒを見てるし・・・
「・・・もう話したそうだよ」
「ハルヒ、謝っちゃえば」
「・・・嫌だ」
馨と光の言葉に私も妙に納得していた。
それから、私達は鏡夜さんが言う別荘へ行くことになった。
やっぱり猫澤先輩の別荘なんだと思いながら・・・
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