ザーゴポポポポ・・・








☆××先輩のプライベートビーチ(6)☆









勿体無いことを・・・

カニ一杯いくらだっけ?

そういや、慌てて手近な部屋に飛び込んだみたいだけど・・・

ここって誰かの・・・



洗面所を恐る恐る出ると、そこには男の人が。

しかもシャワー上がりらしく髪も濡れていて、上半身裸ときた。




「済んだか?」




誰?

見たことないです。




「すみません。見ず知らずの方の部屋に・・・」

「こらこら俺だ」




部屋を出ようとしていた自分は相手の声で振り返ると、男の人はメガネをかけていた。

鏡夜先輩・・・・




「鏡夜先輩でしたか・・・皆は?」

「“猫澤先輩の正体に迫る会”とやらを発足して飛んで行ったぞ。それで?環に謝る気になったって?」

「ハァ・・皆さんにもご心配をおかけしたようで・・・スミマセン」

「別に心配はしていない。俺はが心配だったぐらいだ。あー、あと双子があの3人を半殺しにするのを食い止めたり、
 ご心配をおかけしたお客様にお詫びの花束を手配するなどの苦労ならさせてもらったが・・・」

「それは大変なお手数を・・・(汗)」




もしかして、花束代も借金!?

というか、本当に鏡夜先輩はしか眼中にないらしい。




「それよりどうする?せっかくだから何かしとくか?」

「は・・・?何かって?」

「そりゃ、男と女の営みとか・・・?」




ちょっ!鏡夜先輩が迫ってきた。

しかも電気消してるし!!




「花束代は体で払ってもらってもいいぞ?お前は男も女も関係ないと言うが、俺は男でいつだってお前に手を出せるし、
 女のお前は絶対に俺に勝てない」




そのままベッドに押し倒された。

なぜか自分は鏡夜先輩の言葉をずっと、黙って聴いていた。




「関係ないと思う前に自分の甘さを見直すんだな。天然なのは勝手だが、あまりに無防備なのはお前のミスだ」




あっ。そうか。




「・・・鏡夜先輩はしませんよ。だって自分に手を出しても何のメリットもないでしょう?
それに鏡夜先輩はを裏切るようなことはしません」

「ぷっ。確かに。クスクス・・・」




笑いながら鏡夜先輩は自分の上からどいた。




「まったく面白いね、お前は。それで?理解したのか?」

「はい。鏡夜先輩が意外に優しいって事がわかりました」

「なんだ。それは」

「だって今の環先輩のフォローでしょう?わざと悪役に回って教えてくれたんですよね?」




が惚れるのはこういう部分なのかな?




「鏡夜、お前ローションとか持ってる?日焼けが意外と痛・・・」




急に環先輩の声がしたと思えば、ドアが開いてた。

環先輩はこっちを見て黙り込んでしまった。




・・「ほら勝手に使え。俺は他の奴らと明日の予定を決めてくる」





鏡夜先輩は環先輩にローションを押し当てながら部屋を出て行った。



















羽織るものを取りに部屋に帰ると、ちょうど携帯が鳴っていてつい長話をしちゃった。

私はさっきの部屋へと戻ろうと廊下を歩いていた。

その時、ある一室から声が聞こえてきて、それは間違いなく鏡夜さんのものだとかんじた。

鏡夜さん、部屋に帰ってたんだ。

なら・・・

と、ドアをノックしようと手を上げた瞬間。




「そりゃ、男と女の営みとか・・・?花束代は体で払ってもらってもいいぞ?お前は男も女も関係ないと言うが、
 俺は男でいつだってお前に手を出せるし、女のお前は絶対に俺に勝てない」




体が硬直した。鏡夜さんの声で間違いはないはず。

じゃあ相手は?誰?

考えたら即行動派の私は恐る恐るドアを開けた。

すると、そこにはベッドに倒れているハルヒとその上にかぶさっている鏡夜さんがいた。

2人は気づいていなかった。

私は頭が真っ白になり、その場から逃げ出した。


ワケがわかんなくて、涙が溢れ出て止まらなかった。

信じたくなかったけど、見てしまったから。



廊下を走っていると、一人の人にぶつかってしまった。

それは猫澤先輩で。




「どうしました?」

「いえっ、ごめんなさい」




そのまま猫澤先輩から逃げ出す形になってしまった。

猫澤先輩に涙見られちゃったかな・・・

はずかしい・・・




私は別荘を出た。

出るしかなかった。

部屋はいつ誰が来るか分からない。

思うがままに走った。




ザァァン・・・ザァァン・・・




猫ヶ岩では、静かに波の音だけが木霊してた。

あれから私は猫ヶ岩についた。

それから色々考えて、どうにかして見たものを夢にしようとしていた。

でも、それは現実で、妄想でもなんでもなかった。

ただ、現実とだけしか・・・











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