私は理事長室から離れると、部屋に戻った。

そして、一条拓麻に優姫が止められたことを思い出して優姫を探していると・・・









本当の姿



〜覚悟と実際〜










「そういえば・・・どうして僕が君の存在を黙認しているのか打ち明けたことはなかったね」





枢?





「僕も黒主学園の平和の危うさを分かっている・・・だから考えたんだ。
 この箱庭で今優姫の盾がわりになれるのは誰か・・・君なら彼女を裏切れない・・・
 それだけの恩があるはずだから・・・そのために君は生かされているんだよ
 ・・・・・零。僕にね・・・」





読めない。

枢は優姫をどうしたいのか。

なぜそれならば私に言ってこないのか。


そして、枢は方向を変えてこっちに向かってきた。





・・・聞いていたんだね」


「何故、零なの?私じゃダメなの?」


「・・・、君はいいのかい?傍にいればいるほど君の正体がわかってしまうんだ。
 異血種は稀な存在だが、優姫もヴァンパイアの存在を知ってる身。いづれ理解してしまうよ」


「それでもっ!!私は優姫を」


「ごめん・・・今のは口実。僕はを危険な目に合わせたくないんだ」


「そんなのっ!!」


「僕の気持ち分かって・・・ね、


「・・・」





枢は静かに私に手を伸ばす。

そして、抱きしめた。




「枢っ!?」


「本当ならこうやってずっとこのまま僕の手元に置いておきたい。それぐらい好きなんだ」


「・・・」


「ナイト・クラスへの編入をそろそろ本気で考えておいて・・・」


っ!!」





後ろから声がして、振り向けば零が枢に銃を向けたまま立っていた。





「何をしている・・・」


「見ての通り。別に咬んでいたわけじゃない。キミのように」





カチャ


零がトリガーを引く準備をした音だ。





「やめてっ!!枢、零を挑発しないで今日は帰って!!零も銃を降ろして」


「わかったよ。が言うなら。でも、、本気で考えてね」


「・・・わかったわ」





枢はコツコツと足音を残しながら帰っていった。





「何をしていた?」


「零が関することじゃない」


「あいつと付き合っているのか?」


「それならどうしたっていうの?」


「あいつはヴァンパイアだぞ。しかも純血の・・・」


「・・私は純血だろうが恐くはないわ」





だって既にヴァンパイアですもの。





・・・」





この時、零はに対しての違和感を拭いきれずにいれなかった。













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君なら彼女を裏切れない・・・それだけの恩があるはずだから・・・
そのために君は生かされているんだよ・・・・・零。僕にね・・・






「玖蘭枢なんか・・・関係ねーだろ」





浴室・・・正確には更衣場で考えていると。





「あー疲れたあっ・・・とっ零。これから入るところだった?お風呂」





優姫が入ってきた。





「・・・ノックぐらいしろよ」


「そっちこそノックしない常習犯でしょ。姉の裸も見たんじゃない?」


「馬鹿か」


「ムー!!とにかく、ちゃんとドアにタオルかけておきなよ。鍵壊れてるんだから」


「・・・玖蘭枢は一体お前をどうしたいんだろうな・・・・・・・」


「・・・え・・・」


「いや・・・いい・・・もう出てけって・・・」


「ちょっと」


「・・・くっつくなよ」


「1つ言い忘れていたんだよね。零の思い過ごしだってこと。私は枢センパイに血をあげたいなんて
 思ったことないからね」


「あっそ・・・」


「あっそって・・・零が言い出したんでしょ・・・」





そう。俺が前に『吸われるなら・・・俺なんかじゃなく玖蘭枢にお前は血を

すって欲しかったんだろうな・・・』って言ったからだ。

それをずっとコイツは気にしていたのか?





「あのねぇ・・・私は零に血を提供する責任があるの。これからずっとそのつもり。
 大盤振る舞いであっちもこっちもあげるなんてできないですから。
 零にとって私は押しつけボランティアみたいなものかもしれないけどさ・・・」





なぜ、そこまで言える?





「こっち見なさいよ。聞いてんの?まさかまたイヤとか言う気じゃないでしょーね」


が納得しないだろ。反対されているんだからな」


「確かにそうだけど・・・でもっ!姉もわかってくれる!!私はそう思うから。
 それに、覚悟決めたよね零も・・・私も」




だから、なんでそこまでいえるんだ?血を吸われるのを恐怖に感じないわけがない。

優姫に悪いが俺は優姫の腕を押さえつけ、壁にあてた。





「え・・・いっ・・・」





徐々に顔を近づける。





「今・・・?」





首筋に顔を近づければ、優姫の体に力が入った。

ほらみろ、やっぱり恐いんだろうが。





「馬鹿じゃねーの?覚悟できてないのはお前のほうだろう・・・もう行けよ」





そう言って俺はお前を突き放した。

それに対して、優姫はタオルなどをなげつけたきた。





「本気にしたよ馬鹿・・・次また試すようなことしたら怒るからね」





叫ぶと、優姫は出て行った。

どうして今怒らない?




「なになに?なんか優姫怒って走っていったけど」





優姫と入れ替わりに入ってきたのはコイツ(理事長)だった。





「でもちょうどよかった錐生くん。キミだけに話があったんだよね」


「なんですか・・・」


「政府秘密機関『ハンター協会』の方からキミ指名で“連続殺人鬼レベル:Eを狩ってこい”と」





なんだと・・・。





「やだねぇ・・・キミが“使える”かどうか試すつもりなんだよ・・・連中は。
 『零は大丈夫』ってこの間言ってやったんだけどねぇ・・・」


「俺は・・・」


「残念ながら零−−−キミに拒否権はないよ−−−−」






そう言うと理事長は出て行った。

俺がヴァンパイアを殺す。同じ人間からヴァンパイアになった奴を・・・







その頃、理事長は外で呟いた。





、キミは零に近づけなくなってしまうのだろうか・・・」





と・・・・・















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