ずっとつらかったんだろ?

なぁ・・・









m a l e - a t t i r e









「おかえりなさいませ」




俺を迎えたのはじゃなかった。いつものメイド。

奥の方ではバタバタした感じが漂っていて、俺を迎えたメイドに何かあったのか聞いた。

すると返ってきた言葉は俺の心を抜き取るような答えだった。




「ご存知ないのですか?様がこの家を出られるそうなんです。ですから、メイド一同で片づけを」




が。がこの家を出る!?

そんなの聞いてねぇし、納得いかねぇ!!




はどこだ!!」

様は、その・・・」

!!」




俺はメイドをどかせて、の部屋に入った。

すると、そこにはダンボールの山。

そして、1通の手紙。





『景吾へ

 急にいなくなってごめんなさい。怒ってるよね?
 私、決めてたの。景吾に女ってバレたら出て行こうって。
 だから、出て行くよ。今まで楽しかった。ありがとう

                     ことより』





たった3行の手紙。

それに全てが詰まっているとでも?

の今までの気持ちはその程度なのか?




ちゃん泣いて行ったわ」

「おふくろ!!なんで止めなかった!!」

「止めたけれど、ちゃんの意思は固かったのよ」

「どこに行った!あいつはどこだ!!」




早く追いかけなければ。そう思えば思うほど焦る自分がいた。




「教えられない。これはちゃんから口止めされているの。あと、ちゃんのお父さんからもね」

「何故だ!?何故そこまでしてっ」

として来た理由を景吾は知っているの?」

「知らねぇよ。教えてくれなかったんだ。アイツは・・・アイツは・・・帰ったら教えるって・・・
 そう言ったのに。いなければ意味ないじゃねぇか!!」

「そう・・・じゃあ私から教えてあげるわ。景吾コッチへ」




俺はその時、おふくろが促す方の部屋へと入っていった。

そこはおふくろの仕事場。




「まぁ座りなさい」

「いいから教えろ!!」

「景吾。何も知らずにいたら、いつかミスするわよ。ちゃんを引き止めることだってできない」




その言葉で俺は冷静へとかえる。

そして、ソファにすわり、次の言葉を待つ。




「あなたは今まで何人の女性と付き合った?」

「おぼえてねぇよ」

「じゃあ、あなたは今まで好きで女性と付き合っていた?」

「女は正直好きじゃねぇ。あくまでも体のみ、欲求のみの付き合いばかりだ」

「そのことをちゃんは知っていた。ううん、私達が教えて男装することを進めたのよ。
 ちゃんは他の女の子と違って大事なところの娘さんなの。あなたの毒牙にかかってはいけなかったのよ」

「・・・・」




何も言えなかった。

今までの自分の行為が原因でこんなことになってしまったことに俺は激しく後悔した。

自業自得というわけか・・・




「もし、ちゃんは特別なら、自力で探しなさい。あなたにならできるはずよ。ちゃんはしっかりと
 ヒントを残したと言っていたわ。貴方の前でちゃんにしかできないことをしてるはずよ。
 今までのちゃんを思い出しなさい。テニスが好きなあなたなら分かるはずだから」




初めは言われていることが分からなかった。

とはどこにでもありそうな普通の生活をしてきたつもりだ。

が特別なサインを出してるふうには見えなかったしな。

一体、なんなんだ?



俺は思い返しても思い返しても答えに辿り着けなかった。



今までの・・・テニスが好きな俺なら分かる?

テニス・・・のテニス・・・!!!



そうだ!!は特有な技を持っていた。

確か選手だったか。鳳が今日言っていたな。



すぐに部屋に取り付けてあるパソコンで選手に関する情報を引き出した。

すると、そこには“現在アメリカで活躍中”と表示されていた。

ということはもアメリカか。




「おふくろっ!」

「どうしたの?景吾」




俺はお袋の元へ走り、叫んだ。




「アメリカに行く。を連れ戻してくる」

「アメリカといっても広いわよ」

「大丈夫だ。選手ならアメリカではかなり有名だからな。すぐに居場所はわかる」

「そう・・・そこまで言うなら、行きなさい」





おふくろから許可も降りた俺は、すぐに自家用ジェットの手配をしてアメリカへと向かった。

















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