現在地・・・


跡部景吾の部屋の前。










m a l e - a t t i r e










コンコンッ




「誰だ?」

「わた、俺」




危ない!!緊張のせいで“私”って言うところだった・・・




「入っていいぞ」




その声を合図に扉を開けて、恐る恐る中に入る。

景吾は眼鏡をかけて、ソファに座りながら何か分厚い本を読んでいた。




「時間いい?てか、何その分厚い本・・・」

「あ?これか。ただの洋書だ」

「洋書!?洋書ってあの英語のやつ!?」

「英語もあるが、これはドイツ語だ」

「ドイツ語・・・・」




本当に景吾は私と同じ学年なのでしょうか・・・

かなり疑わしい・・・

そりゃ、生徒会長にもなるわけだわ。




「で、用事は何だ?」

「あっ、あのさ、景吾って女嫌いって本当なのかなぁ・・・って」




私何してんの!!

直球すぎるでしょうが!!

ほら・・・景吾、眉間に皺寄せちゃったじゃん。




「誰から聞いた」

「・・・そんな怒らなくても。あくまでも噂だよ」

「・・・俺様は女は嫌いだ」

「なんで?もしかして、聞いてはいけない範囲なら無理には聞かないから」




景吾の顔なら過去に嫌な経験あってもおかしくないからね。




「いや、別にかまわねえよ。ただ、女は信用しきれない。それだけだ」

「はっ!?なんで!?」

「今まで俺様に寄ってきたやつは俺様自身を欲しがっているわけじゃねえ。全て家と容姿だ。
 誰一人として俺様の内面を見ようとしなかった。だから・・・って何泣いてやがる!」

「だって・・景吾が・・かわいそうでっ」




今の私の顔は不細工間違いないだろうな・・・

でも、景吾がかわいそうで。




「だからってそんぐらいで泣くか、普通・・・」

「しょうがないじゃん!!涙が出てくるんだから」

「本当、女みてぇ・・・」




一瞬心臓が跳ねた。

バレた!?




「女じゃ・・・」




否定しきれなかった。

景吾には嘘をつきたくなかったから・・・

そのせいで、言葉に詰まる。

でも、景吾はあの私の一番大好きな笑顔で謝った。




「わりぃ、わりぃ。は男だったな。いいからもう泣き止め。男に泣かれても嬉しくなんかねえよ」

「そんなのわかってんだよ。景吾のバーカ!!」

「テメェ・・・殺す!!」

「ギャー景吾がイジメル〜」




ふざけあって、私はソファのある反対側のベッドにダイブした。




「きもちぃ〜♪」

「ヨダレ垂らすなよ」

「垂らさないよっ!!」

「どうだかな」




ほら、またこの笑顔。

景吾はこんなにも優しい顔ができる。

まだ短い付き合いだけど、内面だっていいヤツだと私は思う。

こんな笑顔ができるんだもん。




私もまだ容姿だけなのかもしれないけど、これから少しずつ景吾を知って好きになっていきたい。

叶わない恋かもしれないけれど・・・



跡部家を出て、女として会ったとしても景吾は私を怒るだろうから。

騙してたことを許してくれないだろうから・・・

















、いい加減に・・・・寝てやがる・・・ったく」




寝ている顔もまるで女みてえだ・・・




「んっ・・・」




覗いていると、寝返りを打った。

驚いた。起こしたかと思ったのと同時に、可愛いと思ってしまった俺様。

こいつ、女以上だぞ・・・本当に男か?とマジで言いたくなる。



待て、俺様は一体ドコでねるんだ!?

少し、起こす気が引けたが、ここは俺様らしく。




「おい。、起きろ。テメェの部屋は隣だ」

「ん・・・けいごぉ?連れてって〜」




起き上がったはいいが、寝ぼけて抱きついてきやがった。

その時、軽い、細いと思ったが俺はそれに対しては軽く流して、しょうがなく連れて行ってやることにした。

もちろん半分引きずって。


そして、の部屋に着き、ベッドに乗せるとちょうどの携帯が鳴った。






−着信:杏−






杏?彼女か?

俺様はが起きてはいけないと、音楽を止めるためにも取った。

すると、すぐに聞こえた声。




「あっ、先輩!?」








?誰だそれは・・・

















next→