前から違和感はあった。









☆別れ☆












俺は走った。



に追いつく為に・・・

に話を聞く為に・・・


結局家についた。

恐らく、タクシーで帰ったのだろう。

俺はすぐにチャイムを押した。




「はい」




インターホンから聞こえる声は間違いなくだ。




っ!俺だ!話がしたい」


「跡部君っ!?」


「頼む出てきてくれないか?」


「・・・・」


「出てきてくれ・・・頼むっ!」


「・・・・わかった」




ホッとした俺がいた。

そして、すぐに玄関が開いた。

目の前にはがいる。




・・・すまなかった」


「えっ!?」


「さっきのって奴は弟だと聞いた。そして、がイジメに合ったことも・・・誰がやった?」




は目を大きくして驚いてた。




「そう・・・でも、ちょっと話しただけだからイジメなんておおげ「痣があってどこが大げさじゃないっ!!」


「すべて知ってるんだ・・・」


「ああ。忍足が教えてくれた」


「そう。忍足はおしゃべりだな」




冗談っぽく言うの目は涙が出てきたのか目が潤んでいて、

それを見た俺は心に矢が刺さったように息苦しくかんじた。




「すまない。守ってやると言っときながらこのざまだ」


「跡部君のせいじゃないよ」


「だがっ!」


「大丈夫だから。ねっ!?」




俺は今までにないほどあせってる自分がいた。

に別れると言われたら!?心のどこかにそういう心配をしていたのだ。

いつも楽しそうに見えていたが、どこか違和感があった

俺はそれについても聞くことにした。




、お前は俺といて幸せか?楽しいか?」


「どうしたの?急に・・・」


「幸せか?」


「ちょっと、跡部君!?」


「名前もそうだよな。なぜ名前で呼んでくれない?」




はそれを聞いた途端俯き答えた。




「・・・・幸せだよ。とっても。あなたのこと好きだもん。大好きだよ、でも・・・。ごめんっ」


ッ!!」




は最後に謝り、玄関に入ってしまった。

止めようとしたが、間に合わず、俺は再度を呼ぼうと玄関に近寄ろうとした。

その時、声がした。




「もう、今日は諦めたらどうですか?」




だ。

2階の窓からこっちを見ている。




「さっきは、殴って悪かったな」




許せない理由も俺のせいだった為、殴ったことを謝った。

は驚いた顔をして俺を見て、部屋の中に入ったと思ったら、

なんと2階から飛び降りてきた。




「玄関から出ると1階にいる姉貴に絶対止められますからね。で、痣の話聞いたんですか」


「ああ」


「さっき、悪いと思いながらも話は聞かせてもらいましたよ」


「そうか」


「跡部さんは本気で姉貴のこと好きみたいでよかったです」


「あたりまえだ」


「俺はコレ以上入る気はありません。ただ、姉貴から笑顔を盗るのはやめてください。俺は姉貴の笑顔が好きですから」


「・・・・約束する」


「ありがとうございます。今日は、本当に帰った方が懸命だと思いますよ。今の姉貴は頑として出てこないと思いますから」


「そうか・・・わかった。一つだけ、俺は諦めないと伝えてくれ」


「わかりました。必ず伝えます」




返事を聞き、俺は歩いて帰ることにした。

少し、考えたかったから。

『大好きだよ、でも・・・。』でも・・・ってなんだ?

何がいけない?

やはり、イジメがあったせいか?









それ以来、は俺に会ってくれることはなかった。

俺としても見つけて話をしようとしたが、休み時間には必ず教室からいなくなってて、

クラスの奴に聞いても「知らない」の一言だった。

集会などで見つけても周りの女どもが道を塞ぎ、のところまで辿り着けることはなかった。


結局、何も進展のないまま終業式がきた。

そして、昼に忍足から手紙をもらった。

からの手紙らしい。




からの手紙や。今日は休むそうや」


「ああ・・・」




俺はあれ以来気力が抜け落ちたようになっていた。

周りのみんなは心配などしてくるが、俺はそれよりもに近くにいて欲しかった。






・・・・・いつの間にかこんなにも好きになってる自分がいた・・・・・











跡部君へ
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今日、直接話さなかったこと許してください。
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短い間だけだったけど、楽しかったよ。
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私もいろいろと考えたんだけど、やっぱり私達は
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合わなかったのかもしれない。
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ちょうど私も青学に帰るし、別れよう?
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最後に話すことできなくてごめん。
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勇気がなくて・・・
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それじゃ、お互い元気でね。
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さようなら。
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                   より







ウソだろ・・・

俺は、また走ろうとした。

しかし、目の前にが来ていた。




「こんにちわ」


やん。どないしたん?」


「跡部さんにお話がありまして」


「なんだ?この手紙のことでいいだな?」


「はい。恐らく手紙を読み終えた後、家に行くと思ったので・・・」


「いけないん?」


「はい。じつはもう、あの家には誰も住んでません」


「どういうことだ?」


「そのままの意味ですよ。姉貴もあの家を出たってことです」


「どこに行った?」


「それは、いえません。それでは、俺も部活があるので帰ります」





・・・俺の前から消えるのか?

俺は別れたつもりはない。

必ず見つけ出してやる。

絶対に!!










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