「ったく、久しぶりに会えると思って来てみれば怪我かよ」


「まだ、怪我と決まったわけじゃ」


「あの状況で助かるとはおもえねぇな」


「まぁ、そうなんだけどさ。でさ、降ろしてくれない??」




そう、私はバレーの練習中右の足首をひねってしまい、今は跡部君にお姫様だっこで水道に向かってる。




「あーん?大人しくしてろ」


「だって・・・さっきから視線が痛い・・・」




歩いていると必ず見られる。

恐らく、跡部君のルックス&氷帝の制服というところだろう。




、お前は俺だけのせいで注目浴びてるとか思ってんじゃねーよ」


「えっ!?なんで分かったの!?」


「バレバレだ。お前も十分注目の的だぜ」







☆怪我☆





「「「すみませんでした」」」


「今回はしょうがないとして・・・謝るのは私にじゃなくてにね!」





謝ったのは、今回の件の原因となった3人。

  ボール籠の方にボールを転がした1年生

  ボール籠の前にいた1年生

  レシーブをミスしてボール籠の方にボールを飛ばした2年生


たまたま監督が職員会議でいなかったから、怒られることはなかった。




、そんなんでいいん?」


「バレー部ではこんな物よ。あんまり責任感じるようだと、プレーに影響しちゃうでしょ?」


「やさしいんやな。跡部にも教えてあげたいわ」


「あら。跡部君も十分優しいんじゃない?限定だけど」


「わかっとるやん」


「当たり前でしょ!?さて、監督が来る前に練習を再開しますっ!侑士は外で待つか、隅の方で待ってて」


「ああ」




そして、侑士は隅の方で壁にもたれて練習を眺めていた。








「ただいまぁ〜」




そう言って入ってきたのは

お姫様抱っこで帰って来たのかと思えば、跡部君が肩を貸してる程度だった。

私は、レギュラーの3年生の澪(みお)に後の練習を任せての元に走った。




「大丈夫??」


「なんとか。たぶん、痛いのは今だけ」


「やっぱり痛いんだ・・・」


「あの・・・失礼します。椅子を持ってきました」




1年生が椅子を4つ持って来てくれた。

恐らく、私とと侑士と跡部君にだろう。




「私は、いいよ。すぐに練習に戻るから」




私がそう言うと、が「私も」と言い出そうとしたので、私はは見学!と釘をさしといた。

3人(・侑士・跡部君)に座ってもらうように言うとと侑士はすんなり座ったのに対し、

跡部君はを座らせた後、の前に膝をついてしゃがんだ。

そして、の足首の様子を見た。




「まだ、腫れてはいないな。痛かったら言えよ?」


「えっ!?うん」




は焦って返事をした。まだ、こういうことに慣れてないのが良く分かる。

かわいいよねぇ〜。



跡部君はの足首を色々な方向に動かした。




「っ・・・」


「痛いのか。恐らく捻挫だな。今日病院に行けよ」


「そこまでしなくても大丈夫だよー」


「ったく・・・行く気はないみたいだな。おい、コイツ借りていくぞ」


「分かった。受診終わったらの携帯からでも連絡ちょうだい」


「ああ」


「ちょっと!!何2人で納得してるのよ!?」


「行くぞ」




そう言うと跡部君は携帯で迎えを呼び、をお姫様抱っこして体育館から出ていった。


、来週の試合大丈夫かな・・・





―――――――――――――――――――――――――――――――――




抱えられながら歩いていると目の前には不二君と英二!!!?




「あっ!?跡部とにゃ〜!!」


「本当だ。なんで跡部君がさんを抱えてるのかは謎だけどね」


「あーん?お前らには関係ねぇ」


「クスッ 確かにね。まぁ、さんが部活をサボってデートじゃないだろうから、急用なんだろうけど」


「わかってんじゃねーか」


「そうにゃのか!?」


「もー!跡部君、早く行くなら行こう!?ただでさえ目立つのに不二君達といるともっと目立つじゃん!!」


「しょうがねーな。じゃあな、不二。菊丸」


「じゃあね」「またにゃ〜」




まさかあの後、2人でラブラブだのいい感じだの言ってるとは知らなかった。



校門に着けばベンツが止まっていた。

まさか・・・とは思ったけど案の定、跡部君はその車に走って行く。

車の傍に立っていた男の人が礼をした。

跡部君が抱えてる為、礼を返したくても返せない・・・




「景吾様、お疲れ様です。病院は忍足病院でよろしいのでしょうか?」


「ああ」




男の人はドアを開けながら跡部君に聞いてきた。

景吾様って・・・やっぱり凄い・・・

跡部君は私を車に乗せて自分も乗った。




「足は大丈夫か?」


「うん。にしても、ベンツなんて初めて乗った」


「これからはいつでも乗せてやるぜ?」


「いや・・・いいよ」


「なんでだよ。にしても、2人になれたのはかなり久しぶりだな」


「そういえばそうだね。私も跡部君も忙しいし」


「そうだな」


「そういえばっ!さっき運転手が忍足病院って言ってたけどまさか・・・」


「そのまさかだぜ。忍足のところの病院だ。俺の家は病院は開設してねぇからな」


「氷帝って本当にすごいね・・・」




話して10分ぐらいしてから車が止まった。




「景吾様、到着しました」




跡部君は車から降りて、また私を抱き上げようとしたけど、さすがに病院でまで目立ちたくなかったので、

肩だけ貸してもらうことにした。

車から降りるなり、私は驚いた。

忍足・・・あんたの病院でかすぎる!!!!

こんなにお金持ちとは知らず・・・すみません・・・



病院に入り、私をソファに腰掛けさせて跡部君は受け付けに行った。

にしても、患者さん多いな・・・

今は5時半。私の番まで30分かかりそうだけど・・・




「おい、。行くぞ」


「えっ!?もう?」


「すぐにしてもらった」


「いいよ。他にも待ってる患者さんいるわけだし。横入りみたいでいい気しない」


「ったく。しょうがねぇな」




そう言って跡部君はまた受付のところまで行って帰ってきて私の横に座った。




「ごめんね。連れて来てもらってるのに・・・」


「いや、かまわねぇ。それに、のそういうところ嫌いじゃないしな」


「///」




恥ずかしくて、嬉しくて自分の顔が赤くなってるのが分かる。

跡部君は微笑みながら私を見てるし。さらに赤くなるじゃん!!

そして、15分ぐらいしてから名前が呼ばれた。




「早くない??」


「普通、こんなもんだろ」


「でも・・・患者さんこんなにいるのに」


「お前なぁ、こんだけ患者がいる病院にはそれなりに医者もいるんだよ」


「あっ!?そうか!」


「マジ、お前笑える」


「うるさーい!!」




色々と話しながら、診察室へと向かった。


診察の結果、跡部君の言ったとおり捻挫。

しかも、全治4日だと言われたし・・・

4日って試合が・・・

どうしよう!?



病院から出るなり、私はに電話をした。




『もしもし??』


?私だけど」


『私じゃわかんないわよ。オレオレ詐欺?』


「分かってて言ってるでしょ!?」


『バレた??で、どうだったの?』


「ん〜それが、捻挫だって」


『試合前には治りそう?』


「それが・・・」


『まさか!?治らないっていうんじゃないでしょうね!』




がそう言った瞬間携帯の奥から『えー!?』『なしっ!?』とか焦った声が聞こえる。

私が言いにくそうにしていると跡部君が私から携帯を取り上げた。




「俺だ」


『これこそオレオレ詐欺ね』


「テメェ、忍足をレギュラーから落としたいのか?」


『スミマセン・・・で、は治るのにどのくらいかかるって?』


「全治4日だとさ」


『マジで試合ギリギリじゃない!?』


「試合?」


から聞いてない?試合が来週の土曜日から2日間あるの』


「いや、聞いてねえ。そういうことなら以外のメンバーで行くしかないな」


『そうね。メンバーを改めて考えないと・・・ありがと』


「ああ。じゃあな」




跡部君は携帯を切るなり私に一言。




「今日から部活禁止!」


「え〜〜〜!!!」




私は、次の日もから部活禁止を言い渡された・・・



結局、1人で動かないでその場でレシーブやトスをするしかなかった。

あとは、サーブをジャンピングサーブ(跳んでアタックで打つサーブ)から

フローターサーブ(ジャンプをしないでアタックで打つサーブ)に変えて練習をしたぐらいだ。


試合に間に合いますように・・・















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