それはとても大切なもので・・・
唯一の共有しているもの。
迷っていた・・・
真実を見つめること・・・
☆呼出☆
俺は学校にいる間、ずっと考えていた。
どうすればは信じてくれるだろうか。
どうすれば、信頼をえられるだろうか。
そんな考えが俺の頭を支配していて授業なんて聞いちゃいなかった。
『跡部君、この問を答えなさい』
「・・・おい、跡部あたってんぞ。おい、跡部ってば」
「あーん?なんだ?」
気がつくと同じクラスで隣の席の向日が俺を呼んでいた。
俺は不機嫌丸だしで向日を睨んだ。
「そんなに睨むなよ・・・あたってんぞ」
「あ゛?」
俺はその時教師に当てられたのに気付いた。
教師は俺がボーっとしていたのに気がついたのだろう。
黒板を見たら今習ってるところじゃない問題を出してきやがった。
いかにも大学レベルだ。
生徒いじめかよ。ったくこの教師クビにしてやろうか。
俺はそう思いながらも席を立ち、黒板に向かった。
周りからは『あんなの無理だよ・・・』『跡部様可愛そう』とかいう声が聞こえて来た。
“可愛そう”か・・・
恐らく周りの“可愛そう”は当てられたことへの可愛そうだったんだろうが、俺にはが記憶喪失になって可愛そうという風に取ってしまう。
俺は問題を解きながらも頭のどこかでのことを考えていた。
昔の笑顔に戻ってほしい。俺との婚約を思い出して欲しい・・・と。
俺はすぐに解き終え、席についた。
俺にとっては大学レベルだろうが、関係なく解けた。
俺様を誰だと思ってやがるんだ、この教師は。
案の定、教師は悔しい顔をしつつも授業を進めていった。
周りからはずっと俺への尊敬の声が聞こえていた。
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青春学園
「それにしても、さんってすごいですね」
「えっ?何が?」
「先程の振舞い方、まるでどこかのお嬢様のようでした」
「それはだって私、お嬢様だから!」
「えっ!?お嬢様なんですか?」
「まぁ・・・それなりにね。って言っても跡部君や侑士程じゃないからね!!」
ビックリしました。
さんもお嬢様だったなんて・・・
話によると、家はなんでも旅行会社の会長や議員をされているそうです。
確かに、国会議員の中にっていたような・・・
今日は舎監の管理人さんから『部屋の掃除に1度おいで』といわれていたため、私は寮へ向かった。
もちろん跡部さんには連絡を入れて。
また迎えに来てくれていたら待たせることになってしまうから。
寮の部屋には澪(みお)って子が教えてくれた。
「ここがの部屋だよ」
「ありがとうございます」
「ん〜。。。」
「あの、何か?」
「敬語ってのが違和感ありまくり。うちとは今まで1度も敬語使ったことなかったからね。ま、しょうがないし、気にしないで」
澪さんは苦笑いをしながら部屋を後にして行った。
申し訳なく感じてしまう。
やっぱり、自分が何も知らなくても、前の記憶がなくなったことに。
そして、申し訳なく感じると共に悲しくなってしまう。
まるで今の自分が否定されていると思ってしまうから。
前のと今の私は体は一緒でも別人だと感じている私には・・・
とにかく私は部屋の扉をそっと開けた。
「ここが私の部屋・・・」
部屋を見渡した。
まずはベッド、そして机。
机の上には写真立てがたくさん。
私は一つ一つ手にとって見ていった。
まるで記憶を呼び起こすかのように・・・・
しかし全部さんや澪さんなどお見舞いの時にみたバレー部という方々ばかりだった。
全て笑顔の私。決して作り笑いじゃない私。
写真を見ていくうちに明らかにバレー部ではない写真があった。
それは、2人の大人と君、そして笑顔の私。
恐らくこの2人が私の今の親なのだろう。
私はその時頭痛がしてうずくまってしまった。
まるで思い出すことを拒否しているような・・・
私はすぐに写真を伏せた。
やはり痛いのはイヤだし、これ以上どうしようもできなかったから。
そして私は引出しを開けた。
そこには1枚の写真が・・・・
「これは・・・跡部さんと私・・・?・・・っ!!」
また起こった頭痛。
しかし、今度はさっきと違う。
まるで何かが私の頭の中で爆発したような。
頭の中が真っ白になった私は意識を飛ばした。
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うちはあの後、やっぱり気になっての部屋へと向かった。
最後、うちはあんな言い方をした自分を責めた。
あれじゃ、が傷つかないわけがない。
うちはバカだ・・・
「はぁ・・・」
の部屋へ来た時、一息ついて扉をノックしようとした。
ドサッ
急に聞えて来た何かが落ちたような音。
うちは違和感を持ったが、あくまで人の部屋。
勝手に入るわけにもいかず、ノックをした。
「?うちや。澪やけど、入るよ?」
「・・・・・」
からの返答はない。
うちはそっと扉を開けた。
まず目に飛びこんできたのはが机の傍で倒れている姿だった。
体の血が一瞬にして引いていくのがわかった。
うちはとにかくのもとへ駈け寄った。
呼吸や脈を確かめたが異常はなさそうだ。
「、分かるか?うちや。澪や。分かるなら目あけて。もしくは、手を強く握って」
ダメだ・・・びくともしない。
うちは携帯を出して電話をかけた。
救急車とへ。
うちは救急車が来るまでの右手を握っていた。
よく見るとは左手に何か紙を握っていた。
うちはそれを確かめようと左手に手を伸ばそうとした時、叫び声が聞えた。
「ッ!!!」
「・・・」
「は!?どうしたの?何があったの?」
「落ち着いて、うちにもさっぱり。うちがの部屋に訪れた時すでに倒れていたの」
「どうして、ばっかり・・・」
が来て5分位して救急車が来た。
は相変わらず目をつぶったまま・・・
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