未来を決める決心はついたよ・・・


ごめんね、景吾。


私は・・・両親のもとへ・・・







☆決断☆








はどないしたいん?跡継ぐってことは跡部とも・・・」


「分かってる。でも、そんな不純な動機で断りたくないし」


「そやな。さすがはやわ」




私は俯いたまま、忍足と話を続けていた。

そうすると、部屋のドアが開いた。




ちゃん、診察終わったから病室行ってもいいよ」


「あっ、ありがとうございます」


「一つだけ、伝えておく」


「?」


「ご両親だが、後1週間がいいところだろう。特にお父さんの方だが、4日もてば・・・」


「そうですか・・・ありがとうございます」




私は頭が真っ白になるよりも、“ああ、そうなんだ”と納得してしまう自分がいた。

父から後がないと聞いた時点で覚悟はできていたのかもしれない。




立ちあがり、部屋を出ようとすると、急に腕を掴まれた。

それは、まぎれもない忍足で。




は悩みすぎ。それに、色々と背負いすぎや。少しは自分の好きなように生きてもええんやないか?」


「ありがとう。私、決めたよ。跡継ぐ。忍足、相談のってくれてありがとう」




忍足の腕が外れ、私は部屋を後にした。



最後の両親の望みくらい叶えたい。

例え、自分を捨てた両親でも、親だから・・・

産んでくれたから・・・


ごめんね、景吾。。。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――



最後の「ありがとう」では、の顔がものすごく悲しく笑っているように見えた。




「親父、は少し不幸すぎん?」


「そうだな・・・しょうがないと言えばそれまでだが。あれがあの子の運命なんだよ」


「神様ってのは残酷やわ・・・」




俺は携帯を手に部屋を出ていき、外に出た。

病院内では携帯は使えんからな。




プルルル・・・プルルル・・・



俺の耳には無機質な音が鳴りつづけた。




「こういう時に跡部、出ないやん・・・」







その頃、跡部は・・・・





「母上、何故分かってくれない!!」


「当たり前です。それはあなたのワガママだからです」


「そうかもしれない。しかし、俺はあいつが・・・が好きなんだ!!」




本当、俺はにベタぼれなんだと自分でも思う。

しかし、ここまで愛したやつは他にいない。

その分、手放したくないんだ・・・




「景吾様。なぜ私ではいけないんですか?景吾様にとってはどんな女も一緒じゃないですか!?」




俺に意見してきた女は俺の婚約者と名乗っている“桃井 

最悪と思えるが、俺の好きなと同じ名前だ。

同じ名前でもこうも違うとはな。

そして、気付くヤツは気付くが、桃井といえば、氷帝バレー部の部長もしている桃井の妹だ。

姉の方は、とも仲がいいらしい。

しかし、妹はのことを良く思ってない。




「言っとくが、は唯一俺様が愛した女だ」


「お姉様も言ってました。はとてもいい子だと。なぜみんなそんなにあの人に執着するんですの!?
 何故私ではダメですの!?」


「おい、桃井妹」


「・・・・」


はな、お前と違って自分を犠牲にできる女なんだよ。自分よりも他人。そういう女だからこそ俺は惚れた。
 だから、お前の姉貴もあいつをいい子だと言ってるんだ」


「・・・・」




納得したのか、下を向いてしゃべらなくなった桃井。

俺は次の相手、母上と話を始めた。




「母上、俺は何があってもあきらめるつもりはない」


「ハァ。。。どこまでワガママなのかしら。景吾、考えてごらんなさい。あの子はなんの血統もないのよ」


「だからなんなんですか?」


「跡部家にとってどんな利益があるというの?」


「俺にとっては利益はあります。と一緒にいられるという利益が」


「それはあなただけね。しかし、これから跡部家はもっと大きくなっていかなければいかないの。これもひとつのチャンスなのよ」


「俺の結婚はあなた方の道具ではないっ!!」




俺はコレ以上話が進まないと思い、自分の部屋へと戻った。




「ったく!!なんなんだ!!俺様は道具か!?」




その時、携帯がなっていた。

俺は、鞄から携帯を取りだし、ディスプレイを見た。



“忍足”



通話ボタンを押し、電話に出た。




「なんだ?」


『やっと出たわ。さっきからかけとんのに』


「親と話していたんだよ」


『ああ。結婚のことかいな』


「ああ。で、用件はなんだ?」


のことやけど』


がどうした?何かあったのか?!」




こんな時だからこそ、焦る自分がいた。




『落ち着きぃ。今、と色々と話してたんや。で、簡潔に言うで?』


「ああ」


『なんでも、家を継ぐらしいんや』


「はぁ!?簡潔すぎて意味わかんねえ」


『あっ、やっぱり?・・・んとな、今親父んとこに家の両親が事故にあって入院しとんねん。
 で、家は残りがないことを知って、後継ぎをどうにかしないとと考えた末にに頼んだんや』


「それで、はOKしたのか・・・」


『そうや。どうするんや?』


家か・・・ライバル会社じゃないか・・・は知ってて言ってるのか?」


『ああ。言ったんやけどな、家と家はライバル同士やって』


「・・・・」




やっぱりだな。

恐らく、両親への恩返しのつもりで継ぐんだろう。

そんなことで俺様から逃げるつもりか?

まぁ、逃がしてやんねえけどな。




『どうするん?ここで諦めるんか?』


「はっ、忍足、誰に向かって言ってやがる」


『それでこそ跡部やないか。で、どうするつもりや?』


「ふん。逆に利用するんだよ。家に戻るなら、親も納得させやすいってもんだ」


『そうなん?』


「俺の両親は血統を気にするらしいからな。家の次期当主なら親も納得いくだろう」


『それはそうやな。がんばりぃ』


「ああ。いい知らせありがとよ」




ピッ。

電話を終えると、ディスプレイに着信の跡が。

中を見ると、忍足から5件も来ていた。

忍足には世話になったな。。。。


・・・にがさねえぜ・・・




―――――――――――――――――――――――――――――――――――





「もしもし?お母さん?」


ちゃん?久しぶりね。どうしたの?』


家から跡継ぎのお話がきて・・・」


『聞いていたわ。ご両親、事故ったみたいじゃない。大丈夫なの?』


「今のところは・・・」


『そう。で、ちゃんはどうしたいの?』


「私は・・・跡を継ぎたいと思っています・・・」


『分かったわ。それがちゃんの意思なら何も言わないわ。例え、に戻っても、ちゃんは私達の子供よ』


「ありがとう・・・また、落ち着いたらかけます。それじゃ」




私は、電話を切り、病室へと足を向けた。

答えを伝える為に・・・








コンコン




「どうぞ」




私は、声を合図に部屋に入った。




「失礼します。気分はいかがでしょうか?」




目の前にはさっきと変わらない姿が2つ。




、敬語はいらないわ」


「そうですか・・・では、失礼して。大丈夫?」




私は敬語をやめるのと同時に笑顔で話かけた。




「ええ。今のところはね」


「そう。ならよかった。で、跡継ぎの話なんだけど・・・」


「やっぱり、イヤか・・・」




跡継ぎの話になって父は反応を示した。

父は母よりも重症らしく、管が母より多くかんじた。




「ううん。私、継ぐよ」




私の言葉に両親は目を大きく見開き、笑顔になった。




「本当か?本当にいいのか?!」


「うん。の両親にも話した」


「そうか、ありがとう」




両親は泣いていた。

自分は笑顔で見つめてた。



自分の中ではこれでいいんだ。と言い聞かせながら・・・













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