外のざわめきが一層大きくなっていくのを感じた。。。







☆騒動☆








母からの手紙を読み終え泣きそうだった私に突然の知らせがきた。




様っ!大変です」


「どうしたんです?母と父の見送りの日に・・・」


「それがっ、様を出せとわめく輩がいまして」


「私を?」


「はい。名前が・・・」




知らせに来た男が名前を言うか言わまいかどもるかんじになった。




「名前が分かっているなら教えて」


「それが・・・」




よっぽどヤバイ相手なのか、それとも私が上に立つことを反対な相手なのか。




「早くしなさいっ!」




いつまでたってもはっきりしない男に私は痺れをきらした。

男はビックリした顔を私に向け、徐々に言葉をつないだ。




「跡・・・跡部家の・・ご子息でらっしゃるようです」


「景吾が?・・・・わかりました。その人をお通」


様、外の騒ぎがすごいようですっ!!」




私が「お通しして」という前に部屋にまた1人入ってきた。

収まりがつきそうにないのだろう。




「景吾1人・・・?」




私はそう思った。

確かに跡部景吾はすごいと思うが、大人数の大人相手にここまでできるとは思えない。




「他には誰かいないの?本当に跡部景吾だけ?」


「いえっ、他にも・・・様が上に立つことを反対している輩がこの騒ぎにまぎれて・・・」


「なるほど・・・」




分かっていても悔しい・・・

後から来た私にトップをとられることを良く思ってないことは分かっていた。

でも、こんな日に・・・


私はいても立ってもいれず、部屋を後にした。










目の前にはたくさんの人だかり。

私は自分に気合を入れ、思いっきり空気を吸い込み叫んだ。




「静かにっ!!」




私の声に反応する人がたくさんいて、騒ぎが収まっていく。




「一体なんなのですか。場所と時を考えなさい!母と父が築いたものをあなた方は仇で返すつもりですか。
 確かに急に出てきた私、しかもまだ高校生に上に立たれるのはイヤだと思います。しかし、これは全てあなた方が
 慕ってきた両親の意向なのです。今回のことは厳重に処分を下すつもりです。異議のある人は後で聞きます」




そう言って私は集団へ足を進める。

道をどんどん開けていく大人達。

そして、進む方向には景吾が見えた。

景吾と私はお互いに目を合わせたまま逸らそうとはしない。




「跡部景吾、ここがどこかお分かり?」


「ああ。知ってなければ来ないだろう」


「・・・分かりました。お話を伺いましょう」




みんなを解散させた後、景吾を連れて先ほどの部屋へと戻った。

戻る間、お互い無言のまま・・・

張り詰めた緊張感だけがさまよっている。




「で、このような騒ぎを起こした理由は?」




ソファに腰掛けてもらい、向かい側のソファに座る。



「理由だ?そんなの決まってるだろう。、俺はお前を手放す気はない」


「言ったはずです。私はあなたのことはもう嫌いになったと。手放してもらわなければ困りますね」


「違う!お前はを継ぐから俺と別れる選択をしたんだろ!?」


「・・・」




図星をさされると人間ってどうしてこうも話せなくなるのかな。。。




「その証拠としてお前はまだ俺の指輪を持っている」




そう。机の上にはさっき両親の指輪と一緒に景吾からの指輪も置いていたのだ。

墓穴ほっちゃったかな・・・




「わかりました「そのしゃべり方やめろ」




話そうとした時、景吾から注意を受けた。

今の私は上に立つ人間としての話しかただ。




「・・・景吾の言うとおり。私はを継ぐと決めた時に景吾との別れを決めた。それは認める。
 でもね、今更景吾が私のこと手放す気がなくてももう遅いんだよ。もう・・・」


「遅くねぇ」


「どうして?と跡部・・・対立もいいところじゃない」


「お前の母親から手紙が来たんだよ」




母から?

なんで景吾に?まさか、手紙に書いていた合併の件・・・




「お前と結婚して合併しないかって・・・」


「お母さん・・・」


「俺は親も説得した。後は、お前だけなんだ」




景吾は私の横に移動して座り、手を取った。




・・・決めてくれ」


「・・・・・私、景吾のこと諦めなきゃって・・・ずっと思ってて・・・嫌われるようにしなきゃって・・・
 好きだけどどうしようもなくて、色々悩んだけど、両親がやっぱりいて私がいるから、ここは両親とらなきゃって思って・・・」




涙が止まらない程溢れてくる。

止めなきゃ。。。って一生懸命唇噛み締めたりするんだけど、止まらない。

そしたら、私の体を包む感じがした。




「泣いていいから。我慢するな。お前はいつも我慢しすぎなんだよ。俺がお前の息を抜ける場所になりてえ」


「・・・うん・・・」




そう言われて、景吾に包んでもらって思いっきり泣いた。

しゃくりあげても関係ない。

今は景吾の胸で泣く自分が惨めに思えない。




「お父さんと・・・お母さんにやっと・・・会え・・たのに、すぐに・・いなくなちゃって・・・また1人なんだって・・・思・・った。
 お母さんから・・・の手紙で・・・景吾と幸せに・・・って書いてあって涙でそうだったけど・・・泣く自分が弱く感じて・・」


「弱くねえよ。離れててもお前の親なんだ。泣いたってかまわねえ。誰も責めたりしねえよ」




そのままは眠った。

そして、ちょうどその時誰かが部屋を訪れた。





コンコンッ



「入っていいぞ」




入ってきたのは40代の女。




様、寝られましたか」


「ああ」



様”そいつはここでそう呼ばれているのか・・・

そして、そいつの話し方からしての傍にいたやつだと悟った。




「最近ずっと寝られてなかったから、心配してたんです」


「寝てない?」


「はい。様は昼間はもちろん学校でした。夜はピアノを弾いてたそうです」


「そうですということは、誰かの情報か?」


「ええ。娘の」




ようするにこいつの娘は青学の寮ということか。




「あなたにもお会いしたことがあるそうですよ。跡部景吾さん」


「俺に?誰だ?」


「葉月澪という子なんですけどね」


「葉月澪?しらねえ」




葉月なんて苗字聞いたこともない。




「あらら、一方的な知り合いですこと」




微かに笑う葉月というやつ。

その間俺はずっと頭を巡らせていた。

葉月澪・・・葉月澪・・・




様が記憶喪失になった際、電話で話したと言ってました」


「あーあいつか。気の強い女だとしか覚えてないな」


「確かにあの子は気が強いですよね・・・」





葉月というやつとも談話が進んでいた時、が微かに動いた。




「そうだ、寝室はどこだ?」


「案内します」




その言葉を聞いてを抱き上げた。


こいつこんなに軽かったか?

それだけ無理しているってことか・・・





葉月に案内されたところは客室らしく、必要最低限のモノしかなかった。

そこでをベッドに乗せ、俺は離れようとした時に何かに引っ張られた。

引っ張られた先を見ると、そこはの手で。

ずっと俺の服を握ってたらしい。

正直、こんな時に可愛いと思ってしまう自分がいた。




目覚めた時、もう一度言葉をかけよう。

の為だけのプロポーズを・・・













next→