が寝てから2時間ぐらい経とうとしていた。
微かに俺の服が揺れる。
何故かはわかっている。が起きそうだということだ。
☆安心☆
「んっ・・・」
体が動いたと同時にから声が漏れる。
やべぇ・・・マジ色気ありすぎだろ。
「んん・・・」
の目が徐々に開いていく。
「起きたか?お姫様」
俺の存在に気付いたは驚いた顔と同時に真っ赤に変わった。
「なっ!?景吾!?っていうか、お姫様ってなに?」
「ふん。お前は俺のお姫様だろ?」
「あのねー、そう軽々と・・・」
最後はモゴモゴしていく言葉。
真っ赤なのは変わりがなく、先程まであんなに強かったとは思えないほどだった。
「どれくらい寝てた?」
「ああ・・・2時間くらいか?」
“2時間”という単語を聞いてはまた驚いた顔。
「2時間!?そんなに寝てたの!?ヤバイ、こんなことしている場合じゃない!」
「あーん?俺様といるのがそんなにイヤか?」
「そんなこと言ってないでしょ。今日がなんの日か分かってる?両親のお通やだったのよ。早く戻らなきゃ」
「そうだな。合併の話しはどうする?」
「落ち着いてから後日跡部の家に訪ねる」
「分かった。前もって連絡入れとけよ。親は滅多に家にいねえからな」
「りょーかいv私、戻るけど見送り出来なくてごめんね」
「いや、構わない」
答えると、は笑顔になって俺に「ありがとう」と呟いた。
俺は最後にを抱き寄せ、頬に唇を落す。
「口にはまたな」
そう言うと俺は部屋を後にした。
廊下に出るとたくさんの大人がいて、俺を睨みつける。
しかし怖くはない。俺はいつもの微笑を浮かべながら進み家を背後にした。
そして携帯をポケットから取り出し、迎えをよんだ。
待っている間思ったこと。それはプロポーズ。
言うつもりが言い逃してしまった・・・
まぁ、今度家に来た時でいいだろう。
10分程で迎えは到着し、俺は帰宅した。
帰宅後1発目に両親のおで迎え。
「めずらしい。俺の出迎えとは」
「合併の話しは進んだか?」
「なんだ。俺が向かった先をご存知でしたか」
「当たり前だ」
俺の親はさも当たり前のような顔をする。
「合併の話しでしたら後日連絡をくれるそうですよ。今日は忙しいみたいですので」
「そうか。わかった」
正直それだけかよ。と思った。
しかし、それ以上を求めているわけでもない。
俺の親はそういうもんだからな。
そう思っていたのだが・・・・
「すまなかった」
「!!」
俺はかなりの衝撃を受けるほど驚いた。
親父が謝った・・?
生きていて初めての出来事と言っていいだろう。
「俺達は景吾の気持ちを理解できていなかったのかもしれない。いや、出来ていなかったんだ。
今回、お前が取り乱す姿を初めて見て、俺はなんてふがいない親なんだと思った。
子供の気持ちを理解できていない所か、初めて俺達の意見に反対したお前を無理やり押しつけようとしたんだからな」
「しょうがないですよ。それが上に立つ人間です」
「成長したな」
「当然。あなた方の息子ですよ!?」
いつもの微笑みを浮かべながら俺は部屋へと向かった。
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式場にいる私。
目の前には母と父が。
もうすぐお別れの時。
夜は暗く、満月が綺麗に見えていた。
「様、様からお電話が入っております」
「・・・わかりました」
式場から出て近くの部屋の電話を取る。
「もしもし?」
『?』
「うん」
電話ごしに聞えるのは懐かしい親友の声。
『部活にもずっと出てこないし、携帯かけても出ないし、侑士からご両親が亡くなったこと聞いて心配したんだよ』
「ごめん。でも大丈夫だから」
『無理・・しないでね。頼ってほしい・・・が決めたことだから何も言わないけど、後悔だけはして欲しくないよ・・・』
「今は無理しないと自分保ってられないぐらい。壊れてしまいそう。でも、大丈夫。今日、気合入れたから」
『・・・』
「それに、私は後悔はないよ。景吾とも無事に付き合えそうだし」
『えっ!?どういうこと!?』
の慌てる声。
想像通りで嬉しいかも。
「合併することになった。正確には私が跡部家への嫁入りなんだけどね」
『嘘・・・信じられない・・・跡部家と家が!?・・・・・・・よかったぁ・・・・』
電話の向こうでの安心した声。
そして最後の方はすすり泣く声。
の声を聞いていたら、また部屋から戻るように。と声がかかった。
「ごめん、。また落ち着いたら連絡する。合併の話しは内密に。。。正確には決まってないから」
『わかった。じゃあ、頑張って』
「うん」
それから私は母と父とのお別れまでの時間を惜しんだ。
次の日、火葬。
これも2人仲良く行った。
私は涙が枯れることはなかった・・・・
明日から新たな1歩がはじまる。
お通やからは、指輪が指に1つ。
首には2つ掛かっていた。
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