あれから私は跡部君と会うこともなくなっていた。
ううん。避けていた。
☆It is found out at last〜ついに発覚〜☆
今日は新曲発売日。
“巡り合い/希望(カバー)”
唄:Secret
土曜日、学校があった。
放課後、と2人でCDショップに行くことにした。
すると、見事に店頭にたくさんの私たちのCDが並んでいて、そのCDらは私たちの目の前で消えていく。
たくさんの人達が買ってくれてるのだ。
「今回も1位狙えそうやね〜。これで届くやろっ!?」
「うん。もし、ダメだったら私・・・」
「そん時はそん時や」
他のCDを見出した私達の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「あったぜ〜Secretの新曲」
「岳人まだたくさんあるんやから、そな急がんでも・・・」
「今回のはカバー曲もあるんですよね」
「ああ。確か俺らが中3の頃のだぜ」
後ろを振り返るとさきまで私たちがいたところにテニス部レギュラーが。
話の内容からすると、私たちの新曲を買いにきたらしい。
その中には跡部君の姿もあった。
「あっ、試聴もできるみたいですよ」
わらわらと団体が動く。
その中で唯一跡部君はその場を動かずにCDを見ていた。
何かを探している。そんな感じで。
「跡部〜!聴いてみろよ。マジいいぜー」
岳人君は跡部君を呼び寄せ、自分が使っていたヘッドホンを跡部君にかぶせた。
跡部君は眉間にシワを寄せながらも静かに聴いている。
「次、カバー曲いくぜ」
岳人君がボタンを押した瞬間、跡部君の表情が一転したのを私は見逃さなかった。
それは、私だけではなく、もらしい。
「決定的やな・・・」
「うん」
「そや、侑士が明日から試合あるゆうてたやろ。見にいかへん?」
「・・・行く」
日曜日。
見事な晴天に恵めた試合日。
私とは午後から試合会場へ向かった。
「氷帝、残ってるらしいで」
今日は高校最後の試合になるかもしれないらしい。
勝てば全国大会が待っている。負ければ終わるってって忍足君が熱弁していたのを思い出す。
にしても、人多すぎ。
会場にはたくさんの人が行き来していた。
迷子にならないようにしなきゃ。
そんなコト考えて歩いていたら、誰かにぶつかってしまった。
「キャッ!・・すみません」
「いや。こちらこそ悪かった」
目の前には黒いジャージの人達が。
ぶつかった人には額にホクロがあった。
「大丈夫?」
「うん。全然平気」
が心配してくれた。
「全く・・・余所見してるから橘さんにぶつかるんだよ。困るんだよね。制服みたところ氷帝だし。
この間の試合で俺らに負けたから腹いせにぶつかってきてんの?弱いからしかたないじゃん・・・」
「やめろ、深司」
「すんまそん・・・」
すっごい小さい声でぼやかれた。
しかも、話によると氷帝はこのチームに負けたらしい。
「すまなかったな。うちの部員が」
「いえ・・・」
「謝る必要あるのかなぁ・・・っていうか青学と氷帝の試合見に行きたいんだけど・・・」
「えっ!?もう試合始まってるんですか?!」
「知らなかったのか?今回の大会で見物の試合だぞ。一緒に行くか?」
「はいっ!」
氷帝と青学の試合が見物なんだ。
というか、相手青学!?
本当に・・・?
ありえない・・・
コートまで黒のジャージの方々とお互い自己紹介をした。
この人たちは不動峰高校のテニス部らしい。
それで、私がぶつかってしまった人は部長で“橘桔平”さん。
すっごいぶやいていた人は“伊武深司”さん。
あと、音楽をずっと聴いてた人は“神尾アキラ”さん。
曲は大音量で私達にまで聞こえていた。
他にも“石田”さん、“桜井”さん、“内村”さん、“森”さんというらしい。
会場に着くと、ダブルス2の終盤で氷帝からは忍足君と岳人君。青学からは乾君と海堂の試合が行われていた。
どんどん試合が続く。
初めてテニスというものを見たけど、ここまで引き付けられるものを見たのは初めてかもしれない。
そして遂に跡部君の試合が始まった。
ここで負ければ、今日でテニスも終わってしまうらしい。
現在の結果は、
ダブルス2 忍足・向日 ○6−4● 乾・海堂
ダブルス1 宍戸・鳳 ●3−6○ 菊丸・大石
シングルス3 樺地 ○6−4● 桃城
シングルス2 芥川 ●2−6○ 不二
となっていた。
あとはシングルス1の跡部君と手塚君の試合だけ。
私達は結構コートから遠いところから見ていたけど、跡部君へのコールはすごかった。
『勝つのは氷帝 負けるの青学 勝つのは跡部 負けるの手塚・・・』
あれは正直恥ずかしいと思うのは私だけ?
そして、他のメンバーにも増して女子の歓声。
本当にすごいよ・・・
「あれ?さんにさんじゃない?」
「あっ、周助やん。おつかれさま。圧倒的やったなー」
「クス。いいの?敵なんかに労いの言葉かけて」
「ええの。ええの。うちらはいつでも青学の味方やで〜」
「ありがと。ねえ、さん」
「?」
「さん借りてもいいかな?」
「どうぞv」
そのまま不二君はを連れてどこかへ行ってしまった。
は少し困惑していたけど。
じつは私は知っていた。
不二君ものことが好きだと。
お互い、相思相愛なのにどちらも1歩を踏み出せずにいたのだ。
でも、今回不二君が動きをみせた。
このままくっついてくれると嬉しいんだけどな・・・
私は1人コートへ向き直ってただ試合を見つめていた。
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