興奮した。

こんなに引き付けられるスポーツ、ううん。試合は初めて。






☆The coldness that misunderstanding caused〜誤解が招いた冷たさ〜☆






自分が見ていた最後の試合。

橘さんがいつの間にかいて、私に一つ教えてくれた。




「ここにまだいたのか」

「はい。私、どちらも応援すべき立場ですから」

「どういう意味だ?」

「私、少し前まで青学にいたんです」




お互い、コートから目を離さずに話している。

それだけ跡部君たちの試合がすごいってことを意味していた。




「ではこの2人の試合を見るのは2回目か」

「いえ。初めてです」

「そうか・・・この2人は前にも闘ったことがある。中学3年の時だ。
 その時はすごく長いタイブレークに突入し、結果、跡部が勝利を収めた。
 今回、俺は手塚だと予想している」

「強いらしいですからね、手塚君。でも、跡部君も氷帝の部長を務めるほど実力を持っています。そう簡単にはやられないと思いますよ」

「そうだな。跡部とはぜひ1度本気で戦ってみたい。もちろん手塚とも」

「その時は教えてください。見にいきますから」

「ああ」




試合が始まって何時間が経過しただろう。

長い時間続いている。




「まるで昔の試合を見ているようだ」




そうつぶやいたのは橘さん。




「昔もこんなにすごかったんですか?」

「ああ。タイブレークに突入してね。どちらが勝ってもおかしくない試合だった」

「私、スポーツってよくわからないけどこの試合、引き付けられるものを感じます」

「そうか・・・」




今は準決勝。

負けても勝っても全国への切符は手に入れている。

それでも、狙うのは勝ち。




「おかしいな・・・」

「え?何がですか?」

「跡部の様子がだ・・・足か?」




足を負傷した?

それだったら試合をやめるべきじゃ・・・




「昔と逆か・・・」

「昔って・・・?」

「中3の時の試合では手塚が肩を怪我していたんだ。その時は跡部が見抜いてそこばかりを責めた。
 跡部自身、手塚は将来のことを考え、勝ちに急ぐと思い、そこを攻めようと考えていたらしい。
 しかし手塚は持久戦に応えたんだ。・・・今回は跡部が怪我をしているんだろう。
 このままだと、跡部の足がどうなるか」





それからも私は食い入るようにコートを見つめた。

途中跡部君が倒れる姿を見た。

それでも跡部君は立ち続けていた。

結果6−7で負けてしまったけど、周りの氷帝コールは鳴り止むことを知らなかった。。。





















それから顔を真っ赤にさせてが帰ってきた。




「告白うけてもうた・・・」

「もちろんOKしたんでしょ?」

「断る理由もみつからん」

「よかったね」

、しっとたんやろ?」

「うん。お互いの気持ち聞いてたからねv」

「言ってくれたらよかったのに・・・」

「面白くって」

「案外って腹黒やな・・・」

「なっ!?失礼な!!」




そんな会話した後だから言い出しにくかったけど、結果をに教えた。

すると、は「そうか・・・」と一言だけ。




それから私の頭には跡部君が無事なのかだけが気がかりでしょうがなかった。

















そして決勝が行われているコートから少し離れたコートのベンチに座り込んでいた。

は不二君の応援にいかせて。

せっかくの彼氏の応援させなきゃね。




「こんなところにおったん。探したで」




関西弁。

この特徴的なイントネーションを出す人は2人しか知らない。と忍足君だけ。

男の声だから忍足君だと自然に答えがでてきた。




「私を探してたの?」




忍足君が私を探す理由が見当たらない。

それ以前に私が試合に来ていることさえも忍足君には言ってないはずだ。




「試合中、ちゃんたちが見えたんや。男子が多いさかい、ナンパされてんじゃないかって心配したんやで」

「ハイハイ。で?用事は?」

「ただ応援来てくれてありがとうって言うつもりやったんや。・・・ただ、1つ質問してええ?ちゃん、跡部のなんなん?」




忍足君の声のトーンが途中から下がった。

そのせいか私の体の中に恐怖が駆け回っっていった。

別に悪いことなんかしてないのに・・・




「何って?」

「そのペンダントおそろいやな・・・跡部と・・・」




しまった。今日は首元の開いている服を着ていたせいでペンダントが丸見えになっていたんだ。

それを忍足君が見つけて不思議に思ったに違いない。




「これは・・・」

「自分も跡部とおそろいの欲しくて作ってもらったん?わざわざ跡部の拾うて。もしかすると盗んでかもしれへんな〜」

「っ!?酷い・・・」

「跡部のファンは過激やさかい、そこまでしてもおかしいない」




私は泣いてしまいそうだった。

ここまで馬鹿にされているとは思ってなかったから・・・




のことどう騙したかはしらん。それに、俺に取りいったんのも目当ては跡部やろ」

「ちがうっ!!」

「じゃあなんで跡部と同じペンダントなん?たまたま?そんな言い訳通じへんで。
 そのペンダントは調べさせてもらったけど、既にどこにもない。しかも、特注品や。この世に2つとない品物」

「そんなの知っている!!だってあれは私があげたやつだからっ」




忍足君の顔は驚いたような顔に変わった。



「どういうことや・・・?」




私はすべてを忍足君に話した。

もうすべてを話さないと納得してもらえそうになかったから。

でも、歌手のことはまだ言えなかった。







「・・・すまんかった」

「いいよ。分かってもらえたなら」

「なんでいわへんの?もう跡部がその景吾だって確信しとんのやろ?」

「うん。そう確信したのは昨日のある出来事だったから。言う機会がなかっただけ。今度言うよ。明日にでも名乗り出るつもり」

「なら今日にせえへん?」

「えっ?今日?」




忍足君は優しく私に微笑みかけてきてくれた。

とても優しい顔で。

さっきの顔とは大違い。




「跡部、ずっとまってんねん。この5年間ちゃんのこと。それにな、落ち込んどるんや、今。
 今日の試合で足をいってもうてな、今病院におるんやけど全国までに完治するか微妙なところなんやて。
 跡部、あれでもテニスに人生かけてるんよ。元気づけてやってくれへん?」

「そこまで跡部君の調子悪いの?」

「ちょっと精神的にな・・・あいつ強がりやから見せへんけど、内心ボロボロのはずやで」

「分かった。私行くよ。病院教えて」

「近くの大学病院や」




この近くといえば、私の入院した病院だ・・・










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