タクシーを拾って、病院へ向かった。

懐かしいな。







☆New reunion〜新たな再会〜☆









病院に着くと、跡部君の姿を探した。

でも、どこにも見当たらない。

私はウロチョロしていたらとある人にぶつかってしまった。




「すみません・・・」

「いや。こちらこそ。大丈夫かい?」

「はい。・・あっ!香月先生」




私がぶつかったのは5年前まで私の主治医だった香月先生だったのだ。

香月先生は私のことを全くわすれているらしく、誰だ?って顔をしていた。




「先生忘れたんですか?です」

「えっ!?ちゃんなの?!綺麗になって見違えちゃったよ」




香月先生はまだ結構若い。

私の相手をいつもしてもらっていたことを思い出す。




「そうだ!先生、跡部景吾って人知りません?今日外来で来たと思うんですけど・・」

「跡部君?知ってるよ。さっき僕が診たからね」

「えっ。どこにいるんでしょうか?」

「もう帰ったはずだけど・・・」

「そうですか・・・」

「入れ違いだったのかな?」




残念ながらそうらしい。

これで跡部君の居場所がわからなくなった。

どうしよう・・・忍足君に相談してみるべきか・・・




考えた結果、相談してみることにした。

病院内は携帯が使えない。

久しぶりに屋上にも行きたいし、屋上で話せばいいか・・・



先生とお別れして、私は屋上へと向かった。




















屋上の扉をあけると、屋上のベンチに座っている人が・・・


あれは、跡部君。

下を向いたまま動かない。




「クソッ・・・」




聞こえた声には自分への悔しさがあふれ出ていて、私が無償に悲しくなった。

跡部君は泣きたくても泣けないでいるんだ・・・

強がりだから。部長という威厳を保つためにも。


私の気配に気がついたのか跡部君はおもいっきり振り向いた。

そして驚いた顔と同時に私の名を呼んだ・・・




「・・・・・

「お疲れ様。試合感動したよ」




すぐに跡部君は下を向いたまま動かない。

私は跡部君の横に座った。




「足のこと少しだけど聞いた。まだ希望あるんでしょ?諦めちゃダメだよ・・・」

「お前に何が分かる」

「分からないよ。私スポーツ選手じゃないもん」

「じゃあ口出しすんな」

「でもっ!跡部君見てると私がつらい・・・なんでか分からないけど・・・跡部君ムリしてる・・・そんな感じがするの」




私は思ったことを口にしていた。

跡部君は不機嫌だったけど、私は自然と怖いとは思わなかった。

ほっとくことができなかったのだ。




「つらい時はつらいって誰かに頼ればいいじゃない。泣きたい時は泣けばいいじゃない」

「泣いてなんになる。泣いたら治るのか?そんな簡単なことじゃないだろ」

「“泣くと角膜に酸素や栄養を供給するらしい。それに、泣く行動にはストレス解消の役割もあるって言われてる”
 ・・・・いつか景吾が私に言ってくれた言葉。今度は私がお返し」

「!?お前・・・じゃあ・・・」




私はペンダントをはずして、跡部君に見せた。




「ずっと探してた・・・景吾」

なのか?本当にあのなのか?」

「うん・・・。ちゃんと約束守れたよ。帰ってくるって約束・・・」

「ああ・・・俺もずっと探してた。約束も守ってた。こうやって・・・」




そういうと、景吾はペンダントを首から外して見せてくれた。




「泣いて・・いいんだよ・・・」

「俺の代わりにお前が泣いてるじゃねーか」




私の頬を伝う滴を景吾は優しく拾い上げていく。

久しぶりに会う感覚が私の中に浮かび上がっていく・・・




「足、治るから。絶対間に合うから・・・」

「ああ。が言うなら本当かもな。言って間違ったことは今までなかったからな。といっても少ない数だが」




そのまま私と景吾は抱き合う形で時間をすごした。





















―次の日




私は忍足君に呼び出された。

はものすごい浮かれ声で不二君とのデートで行けんって。

なんか嫉妬しそう・・・

を取られたとかじゃなくて、が幸せそうなのが。。。

なんか無償に悔しいんですけど。




♪〜♪〜〜♪〜♪〜〜♪


「もしもし?」

ちゃん?』

「私の携帯なんだから当たり前じゃない」

『この前はが取ったやん。あんときはビビったでー』

「あっ・・・ごめん」

『まっ、ええわ。で、まだ家なん?』

「うん」


・・・・・・


『約束すぎとるやん!!一体何時間待たされてる思ってんねん!!』



耳痛い・・・



携帯電話を耳から離しながら時計に目をやると、そこには11時と知らせてあった。

約束は10時。

あれ??一時間過ぎてます・・・

そりゃ、怒るよね・・・?




「うそーーー!?ごめん!!マジごめん!!すぐ行くからーーーー!!」

『当たり前や〜!!ってもうちゃんの家の前やけど』

「えーーー!?なんで家しってんの??」

に聞いた』

「ああ。なら教えそうだね・・・」



ピンポーン♪



げ!?もしかして、もう到着??


恐る恐るドアを開けると、そりゃとっても笑顔の忍足君が。
怖いです・・・マジ怖いです・・・


手に持ってた携帯を切ると、すぐさま忍足君に謝罪。



「本当っごめんなさい!!もう二度としませんから〜」

「当たり前や!!二度もされたらたまったもんじゃないわ!!・・・ったく、もうええから、行くで」

「ハイ・・・」




着替えとかは済んでいたから、財布とかを荷物に詰めて家を出て行った。

その時、大家さんと会って、「あら?ちゃんデート??若いっていいわねぇ〜」とか言われたけど、思いっきり否定しといた。

勘違いですよ。大家さん。




マンションを出ると、表に大きい車が1台。

誰??有名な人でもいるの??

って私も結構有名人か・・・


そんなことを思ってたら忍足君が悠々とドアを開けた。

そして、乗っていく。




「ちょっ!忍足君!?」

「なんや?のらへんの?」

「だって・・・その車・・・」

「ん?あ〜。この車俺んちのやで」

「えーーーーーーーー!!?」




そういえば、氷帝に行ってる人ってお金持ちが多いんだよね!?

特待生かお金持ちしかいないって噂だし・・・

もしかして、忍足君ってお金持ち??




「俺の親しらん?ちゃんが昨日行った大学病院の院長しとんのやけど」

「マジですか・・・?」

「マジです・・・」




忍足君は笑いながら返答した。

っていうか、ありえないんですけど。

そんなに忍足君の家すごかったんだ・・・





「ほら、はよせえ」

「あっ、うん」




忍足君から声を掛けてもらうまで私真っ白だったよ。

というか、これからどこ行くんだろう?




「そんな不安な顔せんといてや。連れさらって襲おうって気は全くないから」




そんなに不安な顔してましたか?私・・・

それに、全くないと言われるのもちょっと複雑。私って色気なさすぎ??




「今から跡部ん家に行くで」




跡部君の家!?

あの噂の豪邸に!?

入れてもらえるのかな?というか、昨日初めて名乗り出てどんな顔して会えばいいんだろう。




「跡部からの呼び出しでもあるん。だからあんま、気にせんといてや」




跡部君から・・・たぶん今までのこと聞かれたりするんだろうな・・・











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