現在、音楽番組の生放送中。
『では、歌ってもらいます。Secretで“愛のかけら”どうぞ!』
顔をだしたことでこんなに問題になるなんて思ってもいなかった・・
☆Trust and Despair〜信用と絶望〜☆
歌い終わって、指定された席につく。
周りには大勢の歌手がいる。
そんな中、私達は小さくかんじてしまっていた。
「はじめまして」
そう声をかけてきたのは、最近大人気のGOD(ゴッド)のメンバーでボーカルのSHIN(シン)。
GODは5人グループのバンドを結成している。
「はじめまして」
「どうせ、お互い出番終わったし、回ってこないよ。少し話さない?」
それから放送中にも関わらず、私達は話していた。
もちろん、もまざってたし、むこうも2,3人一緒に。
「へぇ、ちゃん達彼氏いるんだ?」
「はい」
「ちぇっ狙ってたのにな・・・」
「またまた、変なナンパならお断りやで」
そんな他愛のない会話だけが進んでいた。
そして、放送が終わると私とはGODの人達に軽くお辞儀をして、楽屋へと戻っることにした。
「今日のは本当、すごいメンバーだったね〜」
「そやね〜挨拶するために早めにきといて正解やったわ」
今日の番組の話をしていたら、ドアをノックされた。
が返事をすると、ドアが開いて、GODの人たちがいた。
「Secretの2人今日この後暇?」
「私達でしたら「暇じゃないんよ。ごめんな」
が私の言葉を遮ってGODの人たちの誘いを断った。
暇なはずなのに・・・
別に話をするぐらいいいと思っていた。
「そうか・・・残念」
「ごめんなさい」
私は一応、謝っといた。
は目で合図をし、カバンを持った。
ようするに「帰るよ」と言いたいのだ。
私もカバンを手に取り、の後についていった。
「それじゃ、うちら失礼するわ」
「お疲れ様でした」
GODのメンバーの間をぬって楽屋から出て、水無月さんを探した。
「」
そう声をかけてきた先には景吾と水無月さん。
なんで2人でいるんだろう?そんなことが私の頭によぎった。
「ちょうど今そこでばったりお会いしたの。を迎えに来たんですって」
「ちょうど、親父に呼ばれてな。今日、親父ここの会議に出てたんだよ」
「そうなんだ」
心の中でホッした。
一瞬疑ってしまった。水無月さんと景吾のこと。
バカみたい。歳もかなり離れているのに。
「じゃあ、をよろしくお願いします。景吾様」
「ああ」
「、送っていくから」
「お願いするわ〜とのラブラブな時間を壊されてしもうたし」
笑いながら言う。
それを景吾がすかざすバカにする。
「バカいってんじゃねーよ」
「バカじゃないアホなだけやん。まっ、冗談はさておき、ちゃんと送り届けてな!それじゃ後でな」
「うん。また後で〜」
と水無月さんは駐車場へと向かって行った。
「お前、携帯にかけても出なかっただろ」
「えっ!?放送中じゃなくて?」
「今さっきかけたんだがな」
慌ててカバンの中を見るも、携帯が見当たらない。
ヤバイ・・・楽屋に忘れてきたのかも・・・
景吾にここで待ってもらうように言って、携帯を取りにいく。
楽屋をあけると、そこにはGODのメンバーがまだいた。
私は景吾が待っているからと、GODの人をそっちのけで携帯を探す。
「何?ちゃん忘れ物??」
「コレじゃない?」
そう言ったGODの人が手に持っていたものは私の携帯だった。
「さっき、景吾って人から携帯鳴ってたよ」
「どうもすみません」
携帯を取ろうと手を出すも、空振りに終わった。
そして、その代わりに腕を捕まれ、5人の集団の中に引きずり込まれる。
「ちょっと!!携帯返してください」
「それよりさ、面白いことしようよ」
「イヤです!!」
睨みながら言うも、全く動じてくれない。
それどころか、笑っている。
「うわぁ〜ちゃん怖いね〜」
「かっわい〜♪」
どんどん迫られる中、私の携帯がまたしても鳴った。
この着うたは景吾!
「またコイツだぜ。なに?ちゃんの彼氏?」
「ちょっ本当に返して!!」
叫んだ瞬間口をふさがれた。
「んーんーんー」
叫んでも声にならない。
GODの1人が携帯の通話を押して話はじめてしまった。
「もしもし?君だれ?俺のに何か?」
・・・・・
「正直、も迷惑がってるんだよね。もうかけてこないでよ」
・・・・・
「そうしてくれると助かる」
そのまま男は電話を切って私に一言。
「君の彼氏、物分りいいみたいだね。すぐに俺が遊ばれてたんだなって。所詮その程度の仲だったんだね」
私は携帯なんか気にせずに景吾の元へ行きたくて、手を振り解き楽屋から逃げた。
もう景吾いないかもしれない。でも・・・
私は景吾のもとへ走った。
周りの人が私を何事か?というふうに見るけれど、今の私には関係なかった。
“俺が遊ばれてたんだな”
そう言ったなんて・・・
景吾の信用なくしちゃったのかな・・・
景吾・・・景吾・・・どこにいるの・・・
その後、どうしても景吾に会うことができなかった。
私はそのまま道をふらふらと歩いて一つの公園を見つけると、ブランコに座って地面のみを見つめた。
ううん。何も見えなくなってた。
真っ暗な世界がまた私を包み込みはじめていた。
どんどん暗くなっていく中、一つの声が・・・
「?」
最後、微かに見えた顔は懐かしい顔だった。
そして、それを最後に闇が私を完全に包んだ。
「見えない・・・また見えないのぉ・・・・・・」
私の目には光はなく、涙のみが流れていた。
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