「お前、携帯にかけても出なかっただろ」

「えっ!?放送中じゃなくて?」

「今さっきかけたんだがな」




は楽屋へと携帯を取りに行った。

しかし、そのまま帰って来くることはなかった。


1人で行かせた事が間違いだったのかもしれない。








☆An invisible true figure〜見えない真実の姿〜☆










と別れたあと、景吾は帰ってくるのが遅いに電話をかけた。

すると、出たのはではなく・・・




『もしもし?君だれ?俺のに何か?』




知らない男だ。




「誰だお前。がいるだろ、出せ」

『正直、も迷惑がってるんだよね。もうかけてこないでよ』

「バカかテメェ。が俺様を迷惑がるわけねえだろうが。いいから、を出せ」

『そうしてくれると助かる』




話のかみ合いもないまま、電話はきれた。

景吾は直感で何かあった。と思い、すぐさまの楽屋を探しに走り回った。

でも、楽屋の場所など把握してるわけもなく、知らない廊下をとにかく駆け回ってSecretと書かれた楽屋だけを探していた。




「景吾様!?どうされたんですか?」




景吾は呼ばれたと思い、振り返れば事務所の奴が2人。

何回か見たことのある奴だ。




「Secretの楽屋を知ってるか?」

「Secretでしたら、そこの角を右に曲がってすぐありますよ」

「サンキュ」




そのまま後ろで呼ばれた気がしたが、景吾はシカトをして進んでいった。

右に曲がると、3つ目のドアに“Secret様”と書かれた紙が貼っている。

ここだ!!と思い、ドアを開けると、しらねえ奴らが5人立っていた。




「君だれ?」

「お前らこそ誰だよ」

「何?俺らのこと知らないの?その年代で。俺らはGOD。聞いたことぐらいあるでしょ?」

「そういえば、女子が・・・」




話しているときに気づいた。

話しているそいつの手には見慣れた携帯。

そう。のものだ。




「テメェらか。さっきの電話」

「は?」

「さっき電話に出たのはテメェか?って聞いてんだよ」




そう言った瞬間、男達の顔が何かに気づき笑った。

恐らく、さっきの電話が俺だったのだと気づいたのだろう。




「君だったんだ?しつこいね、君も。は俺のって言ってるでしょ?」

「いいから、携帯返せ」

「ダメ〜。今から俺らの登録したり、ちゃんの番号登録するんだから」

「今から登録すんのか?それじゃ、さっきの言葉は嘘ってことじゃねえか。バカだな、お前ら」




今から登録するなら、知り合って間もないことを意味する。

それは、「は俺の」という言葉も意味をなさいことになっていた。




「なっ!?バカって失礼だな。君はタレントかなんか?それなりにいい顔してるけど。まっ、俺らより下だけど」




余裕をかまして、笑っているGODのメンバー。

それを見て、景吾自身も笑った。




「テメェらこそ知らねえのかよ。俺様の顔を」




GODはSecretと同じく、跡部プロダクションの歌手。

景吾の名前ぐらい知っていてもおかしくはないはずだ。

しかし、GODは




「知るわけないじゃん」

「そのこと後悔するぜ。とにかく、今はの携帯を返せ」

「しつこいなぁ、君も。もういいや。はい」




自分の手に渡った携帯を見て、景吾は一安心した。

そして、の行方を聞くもGODのメンバーも知らないという。




に何かしてねえだろうな?」

「なーんにも。楽しもうと思ったけど逃げられちゃった」

「ふん。よかったな。もし、なんかしてみろ。お前らの明日はなかったぜ。まぁ、芸能生活ももう終わるがな」

「はぁ?君こそバカ?俺ら、今人気が出てきたばっかり。もう終わるわけないっしょ」

「ま、せいぜい頑張るんだな」




景吾は最後にそういうと、の家に向かおうとした。

すると、さっき楽屋の場所を教えてくれた事務所の2人が楽屋前に立っていた。




「景吾様、至急お父様が戻られるようにと。。。」

「親父が?」

「なんでも、奥様が倒れたとかで」

「ちっ・・・」




今すぐにでもの元へ行きたいって時に。

たぶんは大丈夫だろう。

がいるはずだ。

それに、お袋が倒れたんではしょうがない。

景吾はすぐに事務所の2人と家へと戻った。













次の日、学校へ行くとすぐにのクラスへと足を向けた。




「なんとかいけてるやん」

「当たり前。だけ、分かるのは」




いつもの2人で話をしていた。




「おい、




呼びかけると、の2人が振り向く。

もちろん、周りの女子はキャーキャー騒いでいた。

に何かを話して、は一瞬顔をゆがませたのを景吾は見逃さなかった。




「どうしたん?跡部」

「テメェじゃくて、に用事なんだよ」

「何?景吾」




いつもと違う雰囲気に違和感を感じた。

声も少し違って聞こえる。

だが、目の前にいるのはで間違いないはず。




「風邪でも引いたのか?」

「なんで?」

「声がいつもとちげえ・・・」

「!?」




驚いた顔の

なんで分かったの?って顔だ。




「・・・ちょっとね。喉やられちゃっただけ。すぐ治るよ」

「そうか。ならいいんだが。歌手なんだから得に気をつけろよ」

「うん。・・・で?用事って?」

「ほらよ」




携帯をポケットから取り出して、に渡した。





「これ・・・」

のだろ。GODって奴らが持ってたから取り上げてきた」

「・・・・ありがとう。でも、なんで?」




突然が問いかけてきた。

あまりにも当たり前すぎることだったから俺は何が聞きたいのか分からなくて問い返す。




「何がだ?」

「なんで、取り返してくれたの?」

「当たり前だろ。のためなんだから」




俺はの彼氏であり、好きな奴のためなんだから。




「景吾は私に遊ばれてたって思ってるんじゃないの?」




一瞬が何を言ったのかと思った。

でも、それはしっかり景吾の耳に届いていて・・・




「ちょっとこい!!」




乱暴だったかもしれないが、俺はとにかく人気のないところへ行きたかった。

しかし、それをが止める。




「ちょっとまちぃ。を連れて行かせるわけにはいかんねん。跡部、わるい。
 今日だけ、見逃してくれへん?明日でもええやろ?」

「ダメだ。今すぐにでも聞かねえと、気がすまねえ」

「いいよ。行く」

、今から病院行かなあかんやろ。今、病院からメールきたで。今日はやめとき。
 跡部もどうしても聞きたいんなら、家にきたらええ」




病院?何故が病院に行く必要がある?

それも、学校に来てすぐだというのに。

メールで呼び出されたということは、肉親に何かあったのか?




「病院から・・・わかった。、後よろしく」

「まかせとき。よろしくいっといてや。放課後向かうさかい」

「了解!!・・・景吾、また今度」




何か含みを思わせるような“また今度”という台詞。

一体何がを変えた?

あの優しい雰囲気はどこにいった・・・




「おい。、どういうことだ?」

「何が?」

、なんかいつもとちげえ・・・」

「そこまでは分かってんやな。でも、その先は分かっとらんのか・・・もう少し、自分で考えてみぃ。
 全部人に聞くのは誰でも出来るで。跡部景吾の力を見せてや」




忍足の親戚ともあって、も謎な奴だ。

いいぜ。自分で確かめてみようじゃねえか。












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