「?」
最後、微かに見えた顔は懐かしい顔だった。
そして、それを最後に闇が私を完全に包んだ。
「見えない・・・また見えないのぉ・・・・・・」
私の目には光はなく、涙のみが流れていた。
☆The twins who are connected〜繋がる双子〜☆
・・・それは私の唯一の兄弟。
私たちは2人で生まれてきた存在。そう、双子なの・・・
は私と違い、青春学園で今も寮生活をしている。
その為、ずっと会ってなかったのだ。
「おい、!!大丈夫か?病院行くぞ!!」
そう言っては近くの道路まで私を引っ張って、タクシーを止めたらしい。
「大学病院まで」
その声を合図に車は走りだす。
私は暗い中、にすがりついていた。
だけが今は私の光だったから。
車が止まった。恐らく、病院についたのだろう。
そして、は電話をかけていた。
「もしもし?先生?俺、だけど、今病院の前にいるんだ」
・・・・・・
「の目が・・・」
・・・・・・
「うん。そう。わかった」
電話を切る電子音が聞こえた。
電話が終わったのだろう。
「、先生来るってさ」
「なんで、番号・・・」
「に何かあったら連絡しろって番号だけ教えてくれてたんだ」
「そう・・・」
なんでだろう。
心のどこかで冷めた自分がいる。
「ここに座っとけ」
促されるままに腰を下ろした。
背中に草木が当たったことから考えると、花壇か何かなんだろう。
そして、私とは黙ったまま先生を待った。
「ちゃん!くん!」
「香月先生!!」
「とにかく中に入って」
私はに誘導されながら病院内に入っていく。
そして、どこかの部屋に入ったかんじは感じ取れた。
目が見えない分、他の器官が敏感になっているのだろう。
先生の診察が始まったのが分かった。
目の下を引っ張られたり、昔受けた感覚がしたから。
「本当に見えないみたいだね・・・心当たりは?」
「心当たり?」
「うん。どこかに目をぶつけたとか、何か目に入ったとか」
「いえ・・・ないです」
先生が唸るのが聞こえた。
「角膜が合ってないとかじゃないですよね!?」
が問いかけるが、先生はそれを否定した。
「それはないよ。角膜はしっかりしてるし、もし、合ってないなら移植後すぐになんらかの異常がでるはずだからね」
「そうですか・・・」
「・・・ちゃん、何かショックなことうけた記憶は?」
「っ・・・」
収まっていた涙が新たに流れ出たのをきっかけに、先生は気づいたようだ。
私の肩に片手を置いて、もう片手で優しく私の頭を撫でてくれた。
「つらいだろうけど、言ってみない?」
私は一部始終を説明した。
すると、が力を込めるように囁いた。
「ゆるさねぇ・・・GODも、景吾も・・・」
「なんで!?景吾は悪くない!!」
「信じてやれなくて何が彼氏だ!!がそんなやつじゃないってあいつもわかっているはずなのに・・・。
が何年間あいつのこと思ってきたか知ってるはずだろっ!!決めた!・・・俺が行く」
「どこに」
「景吾ってやつのこと確かめてやる。どうせ、今日はここにいるだろ?には俺が説明しといてやるよ」
の殺気が伝わってくる。
そして、足音が遠のいていった・・・
「ちょっ、!!待ってよ!!」
「ちゃん・・・くんを待ってみよう。何か考えがあるのかもしれない」
「でもっ」
「ねっ。・・・ちゃんは今日は入院って形で泊まってもらうから。このまま歩くと、危ないからね」
「・・・はい・・・」
看護師さんが私の腕を取り、自分の肩に乗せ、誘導してくれて無事に病室のベッドにたどり着いた。
その頃、は・・・・・
「ってことは、の目が見えないのは精神的なショックでいいですね?」
『そういうことだろう。親御さんには俺から連絡しとくから、君ももう帰りなさい』
「はい。香月先生ありがとうございました」
ゆるさねぇ・・・
GODも景吾ってやつも潰してやる!!
俺は寮に着くなり、ある支度をはじめた。
それは、の髪の長さのウィッグ。
そう。双子だからできる技。
俺とは髪の長さを変えればソックリだから、これぐらいできるのだ。
なぜウィッグを持っているかは、青学の時にの格好で遊んだことがあったから。
格好を変えると、すぐにとの家へ足をむけた。
「お帰り。かなり遅かったやん〜。携帯も通じへんし、心配したやで」
「ごめん。ちょっとね」
「跡部にでも襲われたん?」
「ん〜・・・」
「何?図星なん?・・・・って、あんたじゃあらへん。や」
早速バレた!?
さすがに高校生だと、顔が変わってしまったのか?
「ちっ、バレたか」
「バレたかじゃあらへん!!なんやねん、の格好なんかして」
俺はとにかく、にが話したことを全て話した。
どうせ、GODを潰すにはの力が必要だったからな。
「マジかいな・・・の目が!?」
「ああ」
「で、それとの女装の関係は?」
「景吾ってやつの反応をみんだよ」
は目を大きくさせて驚いていた。
「俺はいくらの好きな奴だからって許せねぇ・・・がどれだけ思ってんのか知ってんのに・・・
がだれだけつらい思いをしてきたのかを・・・しってやがんのに・・・」
は俺の肩に手を置いて、1つ言って部屋に入っていった。
「の思う通りしてみぃ。うちも力になれたらなるさかい、何でも言ってな。
寝室はうちの隣の部屋。の寝室やけどええやろ。じゃ、おやすみ」
「ああ・・助かる・・・」
絶対に一泡吹かせてやる。
GOD。
そして、跡部景吾。
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