正直驚いた。俺がの声マネをして気づかれるなんて。
それに、1つ不思議なことが起きた。
「景吾は私に遊ばれてたって思ってるんじゃないの?」
それに対しての反応が全く異なったこと。
まるで、心当たりがないような反応だったんだ。
☆Decision to has seen〜見えた決心〜☆
早く行きたかったは着替えを持って、病院へむかった。
そして、病院のトイレ(もちろん男子トイレ)で着替えを済ませた。
病院に着くと、との両親がいた。
「見つけてくれたらしいわね、」
「ああ。で、は?」
「ずっとを呼んでくれって」
「じゃあ行ってくる」
個室のの病室を開ける。
そこには、ベッドの上に座ったままのの姿。
どこか1点だけを見つめたいた。
「!!」
姿が見えていないはずなのに、の口からは戸を開けた人物がわかってる。
「俺を呼んでくれたんだって?」
「だって、昨日、何をしでかすか分からないぐらい殺気立ってたから・・・」
「大丈夫だって。の心配のしすぎ」
軽く頭を撫でてやると、安心したような顔。
でも、途端に悲しい顔へと変貌した。
「ねえ、景吾はまだ知らないんだよね?このこと・・・」
「ああ・・・」
「隠してもすぐバレちゃうんだろうけど、私としてもバレたくないよ・・・景吾、たぶん自分を責めるだろうから・・・」
お前はいつでも景吾ってやつのことばかりなんだな。
純粋すぎるんだ。は。
「がなんとかしてくれるって。の気持ちぐらいも気づいてるだろ」
「そうだね」
の顔に笑顔が戻った。
俺の言葉を信じようとする。
心のどこかで罪悪感が襲ったが、これはのため。
それに嘘はついてないはず。
俺はのことを溺愛しすぎなのかもしれない。でも、俺は唯一の片割れを絶望させたくないんだ。
俺は生まれてくるのに、なんの不自由も強いられなかった。
だけ、目がみえなかったことに俺は償いをしたいのかもしれない。
俺がの視力まで奪ってしまったから・・・
ガラッ
扉が開くと同時に扉に目を向けると、そこには母さんがいた。
「何?母さん。何か用?」
「あら、の病室なんだから私が入ってもいいでしょ?」
「そりゃ、そうだけど。さっきまで父さんと外にいたじゃん」
「にお客様よ」
に?
生徒なら、今は学校なはず。
は放課後に来ると言っていたからでもないはずだ。
「誰?」
も想像がつかないのか、母さんに問う。
「確か「俺がいく」
母さんの言葉を遮って俺は申し出た。
イヤな予感がしたから。
「来て貰えばいいじゃない。ねえ」
「でも!・・・ほらっ!目見えてないから、誰かわかんなかった時がヤバイじゃん」
「そうね〜。じゃあ、、まずはにお願いしてからでいいわね」
「うん。お願い」
「ああ。連れてくるよ」
そう言いながら病室を出て、その客が待っているというところへむかった。
どうか、嫌な予感だけは外れてくれと願いながら。
しかし、着いた先で目にしたものは跡部景吾だった。
俺は1度引き返して、の格好に着替えて跡部の元へ行くことにした。
のことが知りたかった。
なんで教室で会った時、顔を歪ませたのかも含め、なぜあんなに雰囲気がちがうのかを。
待つこと10分。
やっとが姿を現した。
「景吾、どうしたの?学校は?」
「早退してきた。が病院って聞いたからな。それに、どういうことか知りたかったからな」
そう。まだ、「景吾は私に遊ばれてたって思ってるんじゃないの?」という言葉に対して明確な答えが出ていない。
それがどういうことなのかを知りたかった。
「病院に来たのは兄弟がちょっとね。あと、前の言葉の意味はそのまま」
「意味わかんねえ・・は遊びだったのか?」
「っ!!そんなわけ「ないよ」
俺との会話に入り込んできた、その声はだった・・・
声の方を見ると、私服のの姿が。
が2人・・・?
「幻覚か?これは・・」
「っ!どうして!?」
「ちゃんとお母さんには許可をもらったわ。お母さんに誰か聞いたら、跡部って名乗ったって聞いたから。
全て話したら、自分で解決しなさいって。、やっぱり何か企んでたんだ」
「違うっ!!」
「じゃあ、着替えてきて。私の姿してるんでしょ?」
「・・・わかった」
そんなに簡単にの格好ができるもんなのか?
ありえねえ・・・
景吾の頭は思考回路がパンク寸前だった。
でも、1つ分かるのは、目の前にいるのは本当のだということ。
雰囲気・顔・声・・・なにをとってもだった。
「ごめんね弟が・・・景吾」
「いや。なんで病院なんかに・・・」
「目、また壊れちゃった・・」
苦笑いをしながら言うの顔はイタイタしくて、見てるこっちまで苦しくなって、思わずを抱きしめた。
「なんでだよっ!なんで今更!!」
「それをお前が言うか?跡部景吾。から離れろ」
現れたのは、見たこともない奴だった。
ただ、分かるのはさっきまでの格好をしていた奴(弟)だろうということ。
どことなくに似ていたことと、雰囲気がさっきと一緒だったから。
「誰だテメェ・・・」
「・・俺、こいつ許せねえよ。GODなんかの嘘に惑わされて、のこと簡単に捨てやがったんだぞ!」
「!!やめて!!」
俺がGODに惑わされた?
俺がを捨てた?
何言ってんだ、こいつ。
「やめれるわけねえだろっ!、自分がどれだけ傷つけばこいつなんかのこと忘れる!?」
「景吾は悪くない!!私がGODなんかに携帯取られたのがいけなかったの・・・」
「おい、跡部景吾」
「あーん?なんだ?」
「お前、いいかげん離せ。捨てられたんだろ?に」
意味わかんねえ・・・
俺がを捨てたと言いながら、今度はが俺を捨てた?
「俺は、を捨てた覚えも、捨てられた覚えもねえ」
「テメッ!しらばっくれる気か!?」
「どういうことだ?俺はをそう簡単に手放す気はねえよ」
そう。何があったて俺はを手放すことなんかしない。
「じゃあ、GODが言ったのは嘘だったの・・・?」
自分の胸の中にいるが呟いた。
「何言われたんだ?」
はあった出来事を1つ1つゆっくりと説明してくれた。
「そういうことか。GOD・・・ただじゃ済まさないぜ・・・この俺様を怒らせたんだ」
「景吾、ごめん。私、鵜呑みにしちゃってた・・・」
「俺も、1人で行かせて悪かった。いいか、は安心して目を治すことだけ考えてろ。おい、お前」
そう言って俺はという奴を見た。
「お前じゃねえ。という名前がある」
「、を頼むぜ。俺は決着をつけてくる。まぁ、すぐ終わるがな」
「わかった」
は景吾の目をまっすぐと見つめて頷いた。
「、その前に言うことあるんじゃない?景吾に」
「・・・その・・・・・・」
「!!」
「あーもう!わかったよ!!疑って悪かった!!」
からの一喝が入り、少し居心地悪そうな顔では謝った。
それを見て俺は軽い優越感をかんじてしまった。
さっきまで、あんなに威勢のよかった奴が謝る姿をみたからだろう。
「、さっきも言ったが俺はお前を手放す気はねえ。俺を信じろ」
「うん・・・」
「、愛してるぜ」
耳元で呟いて、をしっかり抱きしめた。
そして、をに預けると俺は家へと帰宅した。
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