景吾さん、さんから館への許可をもらって数ヶ月が経った。
監視もほとんどなく、外へ出るチャンスが何度かまわってきたんだ。
〜VAMPIRE〜
ヴァンパイア
「ええか。行くで」
「了解」
私と侑士、お互い頷き合うと窓に足を掛け飛び出した。
これも慣れたもの。
あれから5回以上抜け駆けに成功している。
無事に着地!!・・・と思ったら。
グキッ!!
見事に着地失敗。。。
「大丈夫なん?」
「痛い」
尻餅を着いた私に手を差し出してくれた侑士。
優しい。と思ったのもつかの間。
「はお留守番やな」
と・・・
「はぁ!?何言ってるの!?私が留守番!?」
「そんな足で行けるわけないやろ」
「行くっ!!行くったら行くムグッ」
「そんな大声だしたら見つかってしもうやん」
「ん゛ーーー!!」
「おっと、スマンスマン」
口とともに鼻まで押さえられて息ができず、暴れたら侑士がやっと手を離してくれた。
でも、ふつう鼻まで押さえる!?
「殺す気・・・」
「ナイナイ!を殺したらあいつに殺されるやん」
たぶん侑士が言うあいつとは景吾さんのことだ。
「とにかく行くで!、ハイ」
ハイって・・・
侑士は私の前にしゃがみこんだ。
ようするにおんぶするという事だろう。
「大丈夫」
そう言って歩こうと1歩足を出すが、激痛が走る。
「ほら言うこと聞かんからこうなるんやで。素直におぶられ」
「・・・」
無言で侑士の背中にくっつく。
侑士は「素直やないな」とか呟き、笑っていた。
「侑士っ!?」
館に着くと、一目散に駆けつけてきたのはさんだ。
「久しぶりやな。元気しとった?」
「私は大丈夫なんだけど、景吾が・・・」
「景吾さんがどうかしたんですか!?」
“景吾が・・・”確かにさんはそう言葉を濁らせた。
「。少し話しあるんだけどいい?」
「はい」
「侑士はごめん、景吾のところに行っててもらえるかな?」
「なんや、女同士の会話かい・・・わかったわ」
さんが私に話すことがあるなんて意外で、正直驚いた。
「、足くじいてもうたんねん。話終わったら呼んでや。運ぶさかい」
「そう・・・それで。・・・わかった」
「それじゃ頼むで」
私たちは近くの部屋に入り、侑士は私をそこにあったソファーに降ろすと、さんに景吾の部屋を聞き出て行った。
静かな部屋に侑士の締めた扉だけが響いていた。
「あの、話って・・・」
「景吾のことよ」
やっぱり、さんと景吾さんは私の知らない何かで繋がっているように思えてしょうがなかった。
いくら同じヴァンパイアだからといっても、ここまでお互いに干渉し合える仲というものに私は心のどこかで嫉妬というものが生まれていた。
「景吾さんがどうかしたんですか?」
「景吾、あなたを本当に愛してるのかしら」
「・・・」
「あなたの痣、それさえなければ景吾はあなたを突き放しているのよ」
「・・・・」
静かにもソファーに腰掛ける。
「あなたには残酷かもしれないけど、景吾は「知ってます」
はの言葉を遮った。
「そんなこと私の痣を見たときの景吾さんを見ればわかりました。私を介して他の人を見ていることぐらい」
「じゃあなんで」
「好きなんですよ。それでも、私は景吾さんが好きなんです」
「・・・」
は静かにを抱きしめ、言葉を繋いだ。
「景吾には好きな人がいたわ。でも自分の手で殺してしまったの。ヴァンパイアになったせいでね」
はポツポツと雫のことや自分達の関係、ヴァンパイアについて話した。
そして横にいたの瞳には涙が浮かび、達の今までのことを静かに聞いていた。
「そして、達が現れた。ってわけよ。って泣いてるの!?」
「だって・・・悲しすぎる・・・」
「クスス・・・ありがとう」
は嬉しかった。自分のことのように感じてくれる人がいたこと。
こうやって友達のような関係を持つ人ができたこと。
「、景吾最近危ないのよ」
「どういうことですか・・・」
「血をね、一滴も口にしてないの」
血を口にしない。ようするに食事を口にしないこと。
それぐらいにも理解はできた。
「なんでっ」
「それはね・・・」
が説明を始めようとしたとき、扉が思いっきり開かれる。
「っ!テメェ」
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