っ!テメェ」

「あら」

「あら。じゃねぇ!!テメェに何吹き込んでっ」



勢い良く飛び込んで来たはいいが、景吾は体勢を保てないまま崩れようとした。

しかし、景吾は地に着くことはなかった。






〜VAMPIRE〜
ヴァンパイア







「ナイスキャッチやろ」



そう。侑士が後ろから景吾の腋窩の下を腕で支えたのだ。



「本当だわ」

「それよりも!大丈夫なんですか!?」

「気にしなくていいわ。いわゆる貧血ってやつだから」

「でもっ・・・」



を見ると苦笑いをして、言葉を発した。



「言ったでしょ。血を一滴も口にしてないって。それは、あなたのせいなのよ」

「えっ・・私の・・」

・・テメェ・・」



景吾はの言葉を遮ろうとするが、力が入らず弱々しい声へと変わる。
そして、はそれを無視するかのようにだけを見つめていた。



「あなた人を傷つけるの嫌いでしょ」

「そりゃ・・・まさかそれで!?」

「単純よね。でも、景吾はあなたを失うのが怖いのよ。また怖いって言われるのを恐れてるのよ」



の頭の中では前、景吾と話した光景が回想のように浮かんでいた。

























「なんで!?なんで吸いに行かないのよっ!?」

「もう、好きな奴に拒否されるのは耐え切れないんだよ・・・」

「景吾!!あなたはじゃなくて雫をっ「ちげぇ!!」

「ちげぇよ。確かに前は痣を通して雫を見ていたのかもしれねぇ。でも今はなんだ。が大切なんだよ・・・」

「景吾・・・」

は絶対に人を傷つけることを許すような奴じゃねぇ・・・悲しませたくないんだ」































「そんな・・・私のせいで・・・・・・・じゃあ!私の血を吸ってください!!」

「プッ・・・ハハハ・・本当、あなた最高だわ」



は初めはビックリしたものの、予想外な言葉につい笑ってしまったのだ。



「なんで笑うんですか」

、テメェバカか・・・」

「バカじゃありません。私の血じゃやっぱりおいしくないとか・・・」

、俺は反対せぇへんけど、襲われてもしらんで」



侑士はニヤニヤしていた。
景吾は呆れているのに近いが・・・



「そや。は俺の血吸わへん?」

「いいの?」

ならかまわへんで。というか大歓迎や。コイツやったらイヤやけどな」

「俺もイヤに決まってるだろうが」

「そんなこと言っていいん?手離すで」

「テメェ・・・」



「あっ、早くしないと!!吸ってください!!」



は立ち上がろうとソファからお尻を離そうとすると激痛が走った。
一瞬の出来事だった為、視線をずらしていた侑士は気付くことなかったが、隣のと景吾は気付いた。



、お前どうした」

「だったね。足くじいてたんだよ。・・・そうだ。侑士、景吾をココに連れてきて」



そう言っては立ち上がり、自分が座っていた位置を叩く。
侑士は「了解」と言うと景吾に肩を貸すような形で半強制的にソファに連れて行った。
もちろん、侑士は「男なんか運びたない」と、景吾は「ヤメロ。。。」とブツブツ文句を言っていたが、誰もに逆らえる人はおらず・・・

は運び終えた侑士の腕を引くと、部屋を出て行った。
最後に「ごゆっくり」と言葉を残して。

















次回はヒロイン1と2に分枝します。






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