何を話せばいいか分からず・・・

沈黙が続くばかり・・・







〜VAMPIRE〜
ヴァンパイア








「おい」

「はっはい!」



緊張していた為に、声が裏返ってしまった。
恥ずかしい・・・



「緊張してんのか?」

「まぁ・・・そりゃ」



好きな人の横にいて緊張しない私じゃない。
心臓バクバクいってるよぉ。
聞こえないことを祈ってます。



「心臓の音丸聞こえ」

「えっ!?」



考えた側からこれですか!?



「嘘だよ。確かに俺達は耳はいいが、心臓の音まできこえねぇよ」

「もぅ。脅かさないでください」

「マジに受けるテメェがいけないんだろ」



景吾さんは笑っている。
でも、顔色が悪いのは変わらなくて。



「あの・・」

「なんだ?」

「血・・・」

「いらねぇ」

「でもっ!」



そんなに私の血は飲みたくないのだろうか。
でも、血を吸わないのは私のせいだし・・・



「私の事嫌いですか?」

「そんなこと言ってねぇだろ」

「私は景吾さんが好きです。例え、他の人を好きでも大好きです。だから、死んで欲しくない・・・」

「・・・」

「飲んでくれませんか?」

「・・・・俺は他の奴なんか好きじゃねぇ。、お前はどこまで鈍いんだよ」

「景吾さん、ちゃんと向き合ってください。雫さんの死を・・・。あなたが私を好きなんじゃない。
 あなたは私の痣を通して雫さんを見ているんです」



景吾さんをまっすぐ見つめると、驚いた顔をしていた。
そりゃそうだろう。私が雫さんの存在を知っているんだから・・・



だな。あいつ最後まで話してないのかよ・・・はぁ・・・言っとくが、俺は雫の死は自覚しているし、
 あいつは既に俺の思い出だ。今はが好きなんだよ。・・・結局言っちまった。の奴・・・」



私を・・・?誰が?景吾さんが?好き???
ダメだ。突然すぎて頭が混乱してきた。







「それより、こそ足くじいたってどういうことだ?」

「いや、コレはそのぉ〜」



なんかヤバイ雰囲気。
めっちゃ睨まれていない??
内容によってはただじゃおかないぞって感じが・・・



「歩いていたらグキッっと・・・」

「プッ。バカかテメェは。ハハハ」

「バカ言わないでください」

「普通歩いてただけでくじくワケねぇだろうが」

「そんなこと言われなくても分かってます。しょうがないじゃないですか。ブツブツ・・・」

「わりぃわりぃ。そう拗ねるな。なっ」



景吾さんは私の肩に手を廻して抱き寄せた。
一気に景吾さんとの距離が縮まり、いつの間にか収まっていた心臓が鼓動を大きく再開させる。



「あのっ・・・」

「いいだろ」

「それなら、血、飲んでください。交換条件です」

「アーン!?おかしいだろ。ソレ。抱き寄せられたら、も嬉しいだろうが」

「とにかく!!飲んでください」

「ハァ・・・わかった。侑士かのを貰う。それでいいだろ」



苦笑いをして降参した景吾さん。
ん?侑士かさん?
ってかさんが大丈夫なら何故初めから貰わないのだろうか。



さんからも大丈夫なんですか?」

「大丈夫なんだが、の体力も同時に奪ってしまうんだよ。だから正直もらいたくねぇ」

「私のじゃイヤなんですか?」



苦味を潰したような顔から一気に落ち込むような顔に景吾さんはなった。
今日はよく表情がコロコロ動く日で、正直色々な面が見れてうれしかった。



「・・・怖いんだよ」



さんが言っていた私に“怖い”と言われるのを恐れているからだろうか。



「私、嫌ったりしません。私の血でよければ」

「違う。雫が死んだ理由を知っているだろう」

「あっ・・・」



さんからの説明でもあった。
“雫さんの死”それは景吾さんが極限まで血を吸ったからだと。



「だから怖いんだよ。雫に続いてまでは失うハメになるかもしれねぇ」

「・・・大丈夫です」

「大丈夫なわけねぇだろ。そんな確証なんてないんだよ」

さんは何故私に託してくれたんでしょうか。・・・景吾さんなら乗り切れるとそう思ったんだとおもいます」

「・・・」

「私は信じてます。景吾さんのこと。雫さんの時とは状況があまりにも違いすぎますから、大丈夫です」

「もし、が死んだら、俺も死ぬ」

「では、景吾さんが死んだら私も死にます」

「本当、会った頃から変わらず変わった女だ」

「ありがとうございます。でいいのかな?」

「じゃあいただくぞ」

「どうぞ・・・」



静かに景吾さんは両手で私を抱き寄せる。
私もそれに応えるかのように景吾さんの首に手を廻した。

そして、首筋を一度ゆっくり舐められ、チクッと痛みが走った。
血が抜ける感覚なんてなくて、ただ少しぼーっとした感覚があるだけ。
本当に抜かれているのか不思議なぐらいだ。









何秒経ったか分からない頃、ゆっくりとから離れた。
何日ぶりかの血。
のということもあってか正直おいしかった。血まで綺麗な味をしていたんだ。


ずっと俺に手を廻していた
動かない・・・
何故だ?



「おいっ!!」



からの返事はなく、俺の頭の中で昔の嫌な思い出がよみがえる。

まさか・・・まで・・・嘘だろ・・・

そんな気持ちと同時に“やっぱり”という言葉が頭をよぎる。











しかし、予想は裏切られるもので・・・
俺の真横からは寝息が聞こえた。



「マジかよ・・・寝てるだけか・・・」



静かにを体から離すと、抱えて自分の部屋へと進む。
体は前のように力を込めることができる。これものおかげだ。



思ったよりは軽くて、こんなんでよく生きていけると思った。
部屋に着くと、をベッドに降ろして自分はベッドに座る。
の髪を梳きながら。



「驚かせるなよ。俺を今動かせるのは、お前だけなんだからな。
 ・・・・愛してる。離さないからな。死なせないからな」



















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