やっぱり気になるってもんじゃない?
景吾だし、天然なだしv







〜VAMPIRE〜
ヴァンパイア









「聞こえない・・・」

「大丈夫やろ」

「でも、女心としては気になるっていうか・・・」

「盗み聞きバレたら景吾はもちろんにまで怒られるで」



そう。じつは今さっきの部屋のドアに張り付いていたりする。
やっぱり、私的には気になってしまって。



「景吾はいいとして、に嫌われるのはちょっと困るかも」

「なんか俺、に嫉妬しそうやわ・・・」



侑士が座り込んでしまった。
しかも体育座り。なんというか、典型的なボケ!?



「えっあっ、大丈夫大丈夫!1番はもちろん侑士だから」

「なんか軽いノリで自信なくすわぁ〜」



さらに陰が増えたかんじが漂ってくる。
うわぁ・・・これ以上は本当にヤバくなりそう・・・



「ごめん。本当に侑士好きだよ」

「ホンマ?」

「本当。信じてよ」

「ほな信じる」



急に立ち上がって抱きついてきた。
私も抱き返したけどね。
正直、私には侑士が可愛くかんじてしまう。



「ほら、行くで」



腕を捕まれたと思ったら引っ張られた。
全てが久しぶりの感覚。
いままでずっと私には景吾だけだったから。


















「ほな、頂くとするかい」



ガバっと効果音がつくような勢いで侑士が私にかぶさった。
もちろん背にはベッドが・・・



「ちょっとストップ!!」

「なんや?心の準備が出来てない言うわけないやろうな」

「違う。なんで侑士が私の部屋を知ってたのかを問いたい」



何を隠そう、この男は私の部屋を迷いもなく開け放ったのだ。
私、今まで1度も言ってないし、案内したこともない。



「そんなことかいな」

「で?なんで知ってるの?」

「愛の力やないか」

「やっぱり!?ってんなわけないでしょうが」



つい、ノリ突っ込みしてしまった・・・
私ってバカかも。



、うけるわ。ホンマ好きやで」

「ありがとう。で?」

「いい雰囲気やのに。この格好」



相変わらず、侑士は私の上からどこうとしない。
迫られるのなんて初めてで心臓の鼓動が止まらない。
でも、この私がひるむわけにもいかない。



「そんなことより、どうして知ってるの?」

「諦め悪いで」

「侑士も」

「聞いたんや」

「誰に?」

「アイツしかおらへんやろ」

「景吾に?なんで」



聞いたと聞いて、私の頭の中には景吾はもちろんいたが、コウモリの姿まで出てきた。
こういうとき、人間とヴァンパイアの差を感じる。
人間にはコウモリの言葉なんてわからないんだ、と、自分はヴァンパイアなんだと知らされる。

でも、顔に出すわけにいかない。
侑士は優しいから。きっと私と同じ立場になろうと考える。
前言ってくれたみたいに“俺をヴァンパイアにしてくれへんか?”って言うに決まっている。



チュッv



一瞬触れた唇への柔らかい感覚。
考えごとをしてて気付かなかった・・・



「何する!?」

「何ってキスや。俺としてはもっと深いのがよかったんやけどな〜」

「バカ!!」

「バカはやめてや。せめてアホと・・・」



気付けば侑士は私の心を照らしてくれる。
私のこと元気付けてくれてる。




「なんで急に・・・」




真っ赤になりながら問うと、侑士は笑顔になった。
かっこいい・・・そう思わずにいられない笑顔。



がいけないんやで。他のこと考えとるから」

「・・・ごめん」

「めずらしいやん。素直に謝るやなんて」

「やっぱり取り消す」

「えっ!?なんで!?」



自然と笑いがこみ上げてくる。
侑士、ありがとう。
前の言動『侑士が可愛くかんじてしまう』ってのは撤回。
私には侑士がかっこよく、頼りがいのある男にみえる。



「話戻るけど、なんで景吾に聞いたの?」

「あー。どうせこうなること予想したんや」

「すごい・・・」



この時ばかりは、策士に思えた。




「そろそろ、むこうも終わったんじゃない?そろそろ帰らないといけないだろうし」

「最悪や・・・結局襲えんかった・・・」

「バカ!」

「いいやん!!男のロマンやで!!」

「ほらっ邪魔!!」



侑士を跳ね除けると、ドアまで歩いて後ろを振り返る。
案の定侑士は落ち込んでた。



「侑士、大好きだよ。まだ時間はあるしいいじゃん」



パァァァと侑士の後ろに光が出てきたのはたぶん、いや見間違いではないだろう。



「行こ。2人が待ってる」

「そやな」



2人手を繋いで部屋を後にした。














「いない・・・」

「はっ?」

「だから、いないんだってば」



さっきまでいた(リビングだろうか)部屋に戻ると、景吾と姿があらへん。
どこいったんや・・



「たぶん、部屋に連れて行ったな」

「なんでそう思うん」



景吾のことならなんでも知ってる。そういうことをほのめかす言葉、ちと気になる。
俺もさすがに他の男と仲良くしているのを見せ付けられるのを黙って見れるほど、心広うないねん。
しかし、意外にもからは考え付かない言葉が・・・



「双子を舐めないでよ」

「双子やったん!?」

「言ってなかったっけ?」



知らんかったし・・・
たぶんは知っとるんやろうな。
俺だけのけ者かいな。悲しいわ・・・



「ごめん。それより、本当に時間が!!」

「ヤバッ」




俺とは走って景吾の部屋に駆け込んだ。
すると、ぐっすりなの姿が。

そのまま俺が抱えて帰ったことは言うまでもない。













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